あらすじ
新直木賞作家、驚異のデビュー作
選考委員も絶賛した松本清張賞受賞作。
戦を厭いながらも、戦でしか生きられない島津の侍大将。
被差別民ながら、儒学を修めたいと願う朝鮮国の青年。
自国を愛し「誠を尽くす」ことを信条に任務につく琉球の官人。
秀吉の朝鮮出兵により侵略に揺れる東アジアを、日本、朝鮮、琉球の三つの視点から描く。
松本清張賞選考委員会でも絶賛された歴史エンターテインメント。
解説・川田未穂
※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
読みやすい歴史小説(できれば世界史)にハマっている身には、かなり当たりの作品だった。
薩摩、朝鮮、琉球、明…東アジアの中の狭い地域の話だけれど、この時代に国境を越えての物語があるということにロマンを感じる。
最後の場面。表紙絵のシーンだと気付き、何度も絵を見返しては感じ入ってしまいました。
短めに区切られた章立ても非常に読みやすい構成だったし、本の編集部分も含めてトータルで素晴らしい「本」でした。
Posted by ブクログ
豊臣秀吉が天下を取り、朝鮮出兵を行った頃。朝鮮国の卑賤の身である明鐘、島津に属する武士である大野久高、琉球国の商人(密偵)である真市のそれぞれが、朝鮮出兵での倭と朝鮮・大明との戦争、そしてその後の倭・琉球との戦争に巻き込まれていく。それぞれの文化や思想に触れながら、人として生きるとはどういうことかを儒学思想をベースに描いていく。
卑賤の身でありながら、幼い頃から良い師の元で儒学を学び、そして己の身分や触れる文化が目まぐるしく変わっていくが、全て自ら選び取ってきた明鐘。常に侵略する側として人の上に立ちながら、国や家の方針に従い、人を殺し続けてきた久高。この二人の心理の対比が面白い。
また、王とは、礼とは、人とは、生きるとは何かを、侵略をする側・される側という舞台装置の中で描いたのも、登場人物たちの心情や葛藤が分かりやすく、見事。