【感想・ネタバレ】彼女が好きなものはホモであって僕ではないのレビュー

あらすじ

同性愛者であることを隠して日々を過ごす高校生・安藤純は、BL (ボーイズ・ラブ)好きの同級生・三浦紗枝の告白を受け入れ、付き合うことに。しかし、純には身体を許す既婚の中年男性のパートナーがいて……。純、紗枝を応援するクラスメイト、唯一純の苦悩を受け入れ共有してくれるネット上の友人「ミスター・ファーレンハイト」……周囲との軋轢の中、すれ違う二人が導き出した理想の関係とは? 決して交わることのない少年と少女が、壊れそうな関係を必死に守ろうとする姿を追う感動の青春群像劇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ホモの僕が、同性愛者であることに苦しみ、異性愛者になろうと奮闘するも、逆に自分は同性愛者なのだと再確認する結果になる。
性的な好きと、人として好きっていうのは伴っていないといけないのか。人として好きな人が同性だったら友達に、異性だったら恋人になるってのが今の世の中なんじゃないかなと思ってる。同性愛者の場合は逆。
社会学の授業で、性的なことと伴侶っていうのは別でもいいんじゃないかっていう話題があった。確かにそう思う。それはたぶん私が上記のような考えだから。家族が男と女の組み合わせじゃないとだめなら同性愛者の人は苦しい。なら、性的なものは家庭の外に求めてもよくないか?恋愛経験がないからこんな考えになるのかなあ、世間的にはおかしいんかなあ。

世の中を簡単にしてしまう、つまり人を簡単に分別して自分の分かりやすいように都合いいように解釈する。こういうことが世の中ではよく起こる。
あの人はホモだからこう。こんなことするのはあの人がホモだから。そう言ってしまえば私たちは安心する。その人自身を見てそれに振り回されるのが動揺するのが困惑するのが怖いから。その人の奥に触れたくないから。自分が把握できない分からないものがあるのが怖いから、自分が分かるように簡単にする。
けど主人公は自分自身を見てほしいんだと気付かぬうちに心の中で思ってる。それをしてくれる女の子が現れる。女の子が。


「俺たちは認めてる。お前らが勝手に隠しているだけ。そういう風に、責任逃れしたいだけなんじゃないか。俺たちは認めない。だからお前たちは隠せ。」
かっこいい言葉だと思う。いい人の振りをしない。自分の要求は押し通す。それが相手も自分も平和に暮らすためになると思っているから。


「たった一つの特徴を自分の全てだと思い込んで、本当の自分自身を見失っている。」
これはホモであることだけじゃなくどんなことにも言える。このマインドを持っとくことは、今後コンプレックスに押しやられそうになっても前をむく糧になると思う。

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2023年06月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルにそもそもホモって侮蔑的な言葉が入ってるけど大丈夫?と読む前は思ってたけど、
全然そんなことはなくて、むしろ世間が思っている認識しているリアルを理解するためにあえてこのタイトルにしたのかもしれないと思った。
ラストらへんで安藤くんから三浦さんに対しての言葉でこの内容について回収されてて、
藤くんが三浦さんに本当に自分をさらけ出して、これからも人間同士として大好きでいようという決意が見えた瞬間でもあった気がする。

三浦さんのスピーチの「彼は透明な壁を目の前に置いてて、この世界を壊さないように、自分がこっち側にいるようにしてる。彼は自分が嫌いで私たちが大好きなんです」辺りが本当にくらった。。。
わかろうとしてても他人のことは奥深くまでわかるものじゃないし、それでもただ単純にそのままありのままそこにあることを皆が当たり前と思うだけで、誰かが救われることもあると思う。
普通なんてどこにもなくて、自分の中の普通に自分が寄っていく
摩擦や空気抵抗をなくすみたいに自分を偽らない
難しいけど差別偏見をなくすには知識とリアルを知ることなのかなやっぱり、、
この話があまりに当たり前すぎてつまらんよねって言われるぐらい、皆が色んなことを知って普通の認識を変えられる世の中になって欲しいと本当に思う。
後書きのエンパシーの話も印象的でした。

映画も見たい!

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2022年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作品名で買ったけど途中鳥肌立つくらい超絶面白かったしタイトルだけでは語れない素晴らしい内容だった

近年特にこう言った話題が取り上げられて自分も含めみんな綺麗事を吐いている。だけどいざ実際に同性愛者がいたら純くんがゲイってバレた最初の月曜日の亮平と同じ普段通りに見えるけどぎこちなくなるんだろうなって思った

だから小野が言ったみたいな同性愛者がコソコソ隠れる世の中なんだろうなとは感じた
口で言うのと行動するのは全然違うって改めて感じた





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2022年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

同性愛者の安藤純がBL好きの三浦紗枝と交際し、その中で自分の性について葛藤し、自分なりの生き方を模索するお話。
本作品のタイトルである「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」。このタイトルを見た時、交際しても尚彼女のBLへの愛が止まらず倦怠期に入り、彼氏の純が思い悩むストーリなのかな、と思ったけど蓋開けてみると真逆。三浦目線の「彼が好きなものはホモであって私ではない」が正しいのではないか!?笑と思ったがまあ置いておこう。

本作では純と三浦以外にも魅力的なキャラクターが登場している。印象に残っている人物を挙げたい。まずは近藤さん。彼は異性愛者なのだが、ホモに対しての偏見を純に対して述べている。多数派からみる同性愛者に対する視点は純の性への葛藤を引き出すために必要悪な存在であり、近藤さんはその役割を果たしたのだろう。次にミスター・ファーレンハイト。純の数少ない同性愛者の友人で、時折知的なアドバイスをもたらす。彼の自死は同性愛者の生きづらさを全面に読者に伝えるもので、この作品の欠かせない存在だと言える。そして、小野である。彼はこの作品において異質な存在で、近藤さんよりも同性愛者に対して拒絶反応を示している。私は途中まで小野に嫌悪を抱いていたのだが、ディスカッションの中で「俺たちは認めない。だからお前たちは隠せ。」と主張したところでこのキャラクターの魅力に気づいた。多様性を全面に諾うこの現代で、無理やりマイノリティとマジョリティを共存させるのではなく、うまく棲み分けする方が大切なのではないか。現代の多様性に対してのアンチテーゼ的存在である。一方親友の亮平は純が同性愛者とわかっても彼に親身に対応する。彼の献身的な関わりがあってこそ純は立ち直れたのだろう。この小野と亮平のスタンスの違いはなかなか面白かった。
全員が全員亮平のように接することは出来ないし、かといって小野のように非人道的な対応をするのもはばかられる。同性愛者の接し方という問題はこれからも答えが見つからないのだろうなと思う。

最後に純と三浦に注視したい。彼らの関係は非常に興味深かった。まず純が勃たなかったシーン。このシーンによって「ただち○ぽこが、ち○ぼこがどうしても上手く勃ってくれない。」というセリフが生まれる。シリアスなシーンなのに笑ってしまった。勃つ「好き」と勃たない「好き」で分けるのはなかなか面白かった。そして純の同性愛が三浦にバレるシーン。BL好きな三浦でもリアルの彼氏がホモというのは受け入れ難いだろう。そもそも浮気だし。その後純が自殺未遂してもなお彼の傍にいると決めたのは強い女の子だなと思った。三浦さんが未成年の主張をするシーンもそうだが、彼女は行動力がある。その行動力で胸が熱くなったシーンも数え切れない。最終的に彼らは「男女関係としての別れ」を選択する訳だが、クイーンの例もあったように、2人は魂で繋がっているためこの先も関わってゆくのだろう。

最後の純の自己紹介のシーンが特に印象に残っている。2つの自己紹介を用意しておいて「決めた。あっちにしよう。「僕はー、、」」と終わる。ここまで読んできた読者にはどちらを選んだのか分かるようになっている。最後の純は同性愛者としての自分を愛してあげる選択を取り、自己の完成を目指している。
これは、「范の犯罪」に少しにいていると思った。理想の自己、本統の生活を目指す調和型の思想のようなものを感じ取った。読み終わったあとに、自分のありのままの姿を愛してあげようという気持ちになった。

*本作品において面白かったワードをいくつかピックしておく。
・ビタミンBL
・BL星
・ペニスが勃つ「好き」と勃たない「好き」

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2025年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

安藤純
同性愛者であることを隠して日々を過ごす高校生。帰宅部。

三浦紗枝
純と同じC組に所属する女子。美術部。BL本を買っているところを純に見られた。

ケイト
新宿二丁目で昼はカフェ、夜はバーをやっている店のイギリス人オーナー。レズビアン。

マコト
佐々木誠。純の初めての彼氏。行為の時は純に父さんと呼ぶ契約で出会った。四十過ぎの妻子持ち男性。

純の母
昼間はスーパーでパート社員として働き、夜は小さなスナックに出向いてホステスとして働く。

ミスター・ファーレンハイト
HIVの感染者。

高岡亮平
純のクラスメイト兼幼馴染。

小野雄介
亮平と仲が良いが純とはそうでもない。

佐倉奈緒
紗枝の腐女子仲間。大学生。

近藤隼人
奈緒の彼氏。大学生。

今宮くるみ
バスケ部の女子マネージャー。

小野の彼女
やたらめったらおっぱいが大きい。


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2024年12月18日

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