【感想・ネタバレ】それゆけ、ジーヴスのレビュー

あらすじ

笑いの古典、巨匠と認められたコミックの天才との賛辞を賜る大ウッドハウスのおマヌケ千万なおバカ者列伝。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ウッドハウスのジーヴスものの第一巻。ジーヴスが初登場する作品はもちろんのこと、主人公バーティの平穏な生活を常に引っ掻き回す旧友ビンゴも、この巻ですでに登場している。

訳者あとがきにも出てくるのだが、ジーヴスものは落語でいうところの『粗忽長屋』である。登場人物たちは、ジーヴスを除いておおよそ全員がそそっかしく、世の中を浮草のように揺蕩う愛すべきおバカであり、粗忽者である。
ただ、主人公バーティは自分自身も奔放な生活を楽しみつつ、決して頭が悪いわけではない。随所にシェークスピアや欧米圏における古典のセリフを出したりしていて、いわゆる「教養」は持っている。知性を兼ね備えたおバカなのである。
そのうえで、自分と周囲の友人たちのバカな行動に振り回され、窮地に陥り(ジーヴスものでは頻繁に「僕は首までスープに浸かっている」という表現でピンチを表している)、そのたびにジーヴスに救われる。

水戸黄門にも似た、「最終的にはハッピーエンド」という造りの物語ばかりなのだが、毎度毎度、よくもまぁここまで違うタイプのトラブルやピンチに巻き込まれるものだ、と感心するしかない。そのあたりは著者の力量が並外れているということだろう。

作品ひとつあたり30ページぐらいしかないので、ノンビリ読んでも1時間あれば1本、読み終えられる。1時間のショートコントを堪能できると思えば、これほど贅沢な話もない。

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2022年06月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジーヴスシリーズはやっぱり短編の方が笑いのエッセンスがギュッと詰まっていて面白い。「ジーヴス登場」はバーティーがジーヴスを執事として採用した時の話。初めての出会いで癒しのそよ風のように音もなく玄関口をふわりと浮かんで通り抜ける身のこなしや、ジーヴス考案による遅い夜の翌朝の一杯で、いきなりバーティーの心を鷲掴み。バーティーとフローレンス・クレイ嬢との婚約を快く思わないジーヴスは…。初っ端からジーヴスリードでバーティーの主人としての威厳も呆気なく崩れた。「コーキーの芸術家稼業」、ニューヨークで仲良くなった肖像画家の卵コーキー。結婚したい相手を、脛をかじっている金持ちな叔父に紹介したいのだと相談にきた。ジーヴスの妙案で上手くいくかと思われたが…。「ジーヴスと招かれざる客」お気に入りのネクタイを過分に装飾的で不適切とジーヴスに言われ意固地になったバーティー。険悪な雰囲気の中、アガサ伯母さんの友人が息子の面倒を見て欲しいと訪ねてきた。有無を言わさず世間知らずのお坊ちゃんを押し付けられたが…。
「ジーヴスとケチンボ公爵」口ひげを生やしたバーティーに不満なジーヴス。友人の危機を助けるべくフラットを貸すことに。その他、「伯母さんとものぐさ詩人」「旧友ビッフィーのおかしな事件」「刑の代替はこれを認めない」「フレディーの仲直り大作戦」「ビンゴ救出部隊」ときて、最後の「バーティー考えを改める」が語り手がジーヴスという貴重さで一押し。ご主人様への愛に溢れた?描写が抜群で、最高!ジーヴスが紛れもなくドSであることはまず疑いない。
Carry on,Jeeves/P.G.Wodehouse/1925

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2012年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

腐った目から見ると、今回のジーヴスには実にドキドキさせられた。ジーヴスに、というよりは、日本語の表現に、というべきなのかもしれないし、そもそもウッドハウスがねらって表現したのかもしれない、なんて考えるのはバイアスがかかりすぎているだろうか。100ページでバーディーの唇の上に請求権を行使しようとする(という表現)なんて、まさしくそっちか!?と思わせるに十二分だ。・・・まあ、ここは思いっきり表現の問題なのだけど。

常々、バーディーはジーヴスを誉めちぎっているけれど、ジーヴスはバーディーをどう思っているのか気になっていた。いつも頼られ、利用?され、それを恭しく受けるのは、主従関係がなせる技なのか…
今回、「バーディー考えを改める」でジーヴス視点の話があり、大変納得してしまった。ジーヴスは、前から思っていた以上に腹グロで、悪魔的で、策士家で、ドSだ。でもかなりバーディーを気に入っているらしい。
なかなかおいしいコンビですねー

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2012年01月05日

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