【感想・ネタバレ】涙をなくした君にのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

評価が低いのは、幸せな人生を送ってきた人が多いのかな、と感じた。
この著者、藤野恵美氏の本を読むのは、ショコラティエ、以来2冊目だと思うが、前作より断然よかった。

両親の愛を受け育てられた、とは思えないカウンセラーの宮沢橙子。
テニスのインストラクターをしている夫の律と、小学一年生の息子の蓮と、見た目は平穏な生活を送っている。
ただ、心の中では自分よりも収入の低い夫に遠慮し、息子に(カウンセラーである知識のもとに、いけないと理性ではわかっているのに)怒りをぶつけてしまう。

幼少の頃、小学校教員の父親が家庭内では絶対的な采配をふるっていた。暴力行為もあり、母親は後に離婚して元々の夫より高収入の男性と再婚。妹は、絶縁して住まいも教えていない。橙子は高校の頃、機能不全家庭であると認識、カウンセラーを目指し、父親より高学歴になり、無事その職につく。
やがて、父親が肺癌になりその後亡くなる。
喪主は、母親が出ていった後、ヘルパーをしていた女性。父親が実の母親とは別の人と再婚し、看取られたことも、遺産も何もかも、心の奥底で認めていないのだろう。

カウンセラーにかかっていた経験もあり、両親の話も、その後の交流も、自分の話か、と思うことが多かった為、読んでいて思い出したこともあり辛かった。心の奥底をえぐり出すような。

最後の、墓参りに行き、ありがとうの墓石を見て……のくだりは、うまくまとめようと持っていった感じで自分は嫌だと思った。そもそも、四十九日の夜の橙子の夫への絡み具合、あれをそのまま受け入れてくれる夫、というか人っているのかな。読んでいて、自分は夫の逆鱗にふれるから止めて!と思うほどだった。それは自分がそういう人としか、出会えていないということか…

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2023年01月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

毒親に育てられた橙子。親の様にはなるまいと、温かな家庭を築いているけれど、心のどこかで冷めている。立派な先生だった父親。実態は自分の思い通りに家族を支配していた。そんな父に嫌気をさして出て行く妹。母親も父の支配に耐えていた様に思えたけど、父を財布としてしか見ていなくて、再婚相手が見つかるとさっさと離婚してしまう。誰にも共感出来なくて嫌な気分になりつつも読む手が止まらなかった。父が亡くなってその呪縛が解けた橙子がやっと前を向けて良かった。

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2020年02月06日

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