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Posted by ブクログ
評価が低いのは、幸せな人生を送ってきた人が多いのかな、と感じた。
この著者、藤野恵美氏の本を読むのは、ショコラティエ、以来2冊目だと思うが、前作より断然よかった。
両親の愛を受け育てられた、とは思えないカウンセラーの宮沢橙子。
テニスのインストラクターをしている夫の律と、小学一年生の息子の蓮と、見た目は平穏な生活を送っている。
ただ、心の中では自分よりも収入の低い夫に遠慮し、息子に(カウンセラーである知識のもとに、いけないと理性ではわかっているのに)怒りをぶつけてしまう。
幼少の頃、小学校教員の父親が家庭内では絶対的な采配をふるっていた。暴力行為もあり、母親は後に離婚して元々の夫より高収入の男性と再婚。妹は、絶縁して住まいも教えていない。橙子は高校の頃、機能不全家庭であると認識、カウンセラーを目指し、父親より高学歴になり、無事その職につく。
やがて、父親が肺癌になりその後亡くなる。
喪主は、母親が出ていった後、ヘルパーをしていた女性。父親が実の母親とは別の人と再婚し、看取られたことも、遺産も何もかも、心の奥底で認めていないのだろう。
カウンセラーにかかっていた経験もあり、両親の話も、その後の交流も、自分の話か、と思うことが多かった為、読んでいて思い出したこともあり辛かった。心の奥底をえぐり出すような。
最後の、墓参りに行き、ありがとうの墓石を見て……のくだりは、うまくまとめようと持っていった感じで自分は嫌だと思った。そもそも、四十九日の夜の橙子の夫への絡み具合、あれをそのまま受け入れてくれる夫、というか人っているのかな。読んでいて、自分は夫の逆鱗にふれるから止めて!と思うほどだった。それは自分がそういう人としか、出会えていないということか…