【感想・ネタバレ】ハンナのいない10月はのレビュー

あらすじ

大学の万年講師・森川譲は猫のハンナと研究室で暮らす変わり者。ある日学長から、大学に潜むスパイを探せと命じられ、次々起きる大学存亡の危機に立ち向かうことに――感動の青春ミステリ!

猫部屋と化した研究室には、今日も厄介な客が訪れる。

狙われた大学公印、頻発する謎の停電、潜り込んだスパイ、学生自治会長選挙の不正疑惑、大学御用達の定食屋の後継者問題、女子学生の洋服盗難、学生への不公平な単位付与問題—―続発する大学存亡の危機に立ち向かうはめになった万年講師・森川と愛猫のハンナ。彼らがたどり着いた、事件の裏にある切なくて苦い真実の数々とは?
切ない真相に不意打ちされる、優しい涙が溢れる傑作!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

大学キャンパスを舞台にしたミステリー。
いろんな謎があり作品全体がとても自然な流れ。研究室で猫を飼っている変わり者の教員、陰では「穏やかな狂人」なんて呼ばれていたりするけれどしっかり地に足ついた展開。めっちゃ好き。

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2025年06月23日

Posted by ブクログ

大学講師の森川を中心に巻き起こる大学内外でのささやかな、でも大変な出来事を。森川が研究室で飼ってるハンナという三毛猫が大変愛らしい。猫の縁も無視できない出来事に繋がる。面白かった〜!まさか食堂継いだらどうしよう…!って途中なったけど。こういう変わった先生、実は私の大学にも居たのかなぁ。出会ってたら少しは違ってたかなぁ。

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2023年07月23日

Posted by ブクログ

本に対する愛情たっぷりの一作。文章がとても読みやすく、一気読みできました。大学の裏側を描く内容や少子化問題が経営に影響を与えていることなど興味深い話もおおかったけど、やはり本にまつわるエピソードが一番心に響いた。「本に順位なんてつけられない。どれも同じぐらい大切だよ」という森川先生の言葉はすばらしい。ほんとうにそうだと思いました。猫のハンナはかわいいし、あの人やこの人がどうなっていくのか、続きが読みたいです。

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2020年09月25日

Posted by ブクログ

凄く面白かったです。学べたことがたくさんありました。例えば、
・悪目線での気持ち。
・大学の生き残り問題。
・(定食屋を通じての)仕事の在り方。
・誠実やルールを貫く、作者の意図がしっかりした良質なミステリ。
・希望の見つけ方。
・決めつけることへの警鐘。
などです。

秀逸な、青春ミステリ小説です
オススメの一冊。良本です。

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2020年08月20日

Posted by ブクログ

平々凡々と生きてきた男子学生、学生自治会長を務める才女、大学の夜間警備員など、一見普通の暮らしを送っていても誰もが人知れぬ悩みを抱えていて、少しずつ傷つきながら生きている。猫のハンナと主人公の森川先生の穏やかさがそれらを包み、癒していく。コロナ禍で社会が殺伐としてしまったこの時期に読めて良かったと思う。

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2020年06月06日

Posted by ブクログ

帯に”心優しい登場人物が織りなす青春ミステリー”とあり、大学時代のラブストーリーで、彼女の名前がハンナだろうと憶測したのは安易な考えだった。ハンナは大学の万年講師・森川譲が研究室に飼っている猫の名前とわかり、まず予想が裏切られた。
大学公印が狙われたり、頻発する謎の停電や他大学からスパイが潜り込んだりと、現在の大学は昔の大学と違いさまざまな問題を抱えているのに驚かされる。猫の髭はポルトガルでは『天使の忘れ物』って呼ばれて幸運のお守りらしい。大学の夜間警備アルバイトをしながら小説を書いている男性が登場する。文学賞に応募しては落選する彼が追い求めているテーマを森川に語る。「子供の頃から悪のヒーローに憧れている理由に主役が放つ絶対的な眩さよりも悪役が持つ影の部分に強く惹かれていた。光は何もかもを明るみに引き出すが、影や暗闇に隠れたい人だって大勢いるのに。正しさがすべてじゃない、そういうものを書きたかった」と。
学生自治会長選挙の不正疑惑や大学御用達の定食屋の後継者問題なども描かれている。
森川は学長から大学に潜むスパイを探せと命じられるが、自らも不正単位授与問題に引き込まれてしまうこととなった。ヘッドハンティングを蹴った彼へのライバル校の工作か? 少子化で大学も厳しい経営の岐路に立たされていると時代の流れを思わずにいられない。中規模私立大学で危機に立ち向かうのは、猫のハンナと暮らす変わり者の万年講師・森川と男女の学生2人。「生きるっていうのは、きれいごとばかりじゃないからね。誰でも混乱することはあるし、間違えることだってある」

他補う5つは箇条書き

1、「真実のすべてが美しいわけじゃない」
2、年齢を重ねれば重ねるほど時が早く過ぎると感じるのは”ジャネ―の法則”と呼ばるるものがあるらしい。各年齢における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例する。60歳の人にとって1年の長さは60分の1ほどだが、6歳の子にとっては6分の1。つまり子供と大人では時間の価値や体感速度が何倍も違う。
3、 ジャン=クロード・ムルルヴァ著「さかさま川の水」も面白そう。13歳の少年トメックは不死の水を求める少女の面影を胸に旅立つ。冒険の果てにたどり着いたのは、さかさまに流れる川だった…
4、国が大学での専門強化を打ち出し教養科目の地位が低下した時期があった。でも、近年になり再び教養科目の価値が見出されてきたのは、教養を学ばないままに卒業した学生たちが社会に出て大きな壁にぶつかり始め、いわゆる専門馬鹿では通用しなくなってきたから。
5、著者は福岡在住、イイネ!

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2020年07月24日

Posted by ブクログ

大学ってもっと人間的な方がいいよね。もっと書いて欲しい。大学って人が交わるところなんだって。おもしろかった!

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2020年07月23日

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大学講師の森川先生と、その授業を履修する(でも就活で出席日数の足りてない)大学4年生、その彼とたまたま出会った3年生を中心に、森川先生の研究室にいついたネコのハンナを交えて展開する物語。

大学の存亡を侵そうとする陰謀があったりして、ところどころハードボイルドな展開になったりもするけど、基本的には相川栄輔らしいやさしい世界が展開します。森川先生が、巻きこまれ型のようでいながら、しっかりとした芯があって揺るがないのがいいよね。というか、みんなすごくまっとうなのだ。今時、それこそがファンタジーじゃね?と思わなくもないけど、なんかほっとする。ハンナも(:_;)

これを機に「惑星と口笛ブックス」シングルカットの「ハミングバード」と、「たべるのがおそい」3号の「エスケイプ」、『ヒドゥンオーサーズ』の「引力」を読みかえしてみた。「引力」は、本書でもちらっと地球をかすめる小惑星の話で、こんなにやさしい話を書く人だけど、どこかに滅亡願望みたいなのがあるのかなと思ってちょっとおもしろかった。もう少し深堀りしてみたい作家さんです。あと、この森川研究室の話ももう少し読みたいかも。

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2020年06月15日

Posted by ブクログ

テンポの良いストーリーテリング。中規模大学とその関連で起きるできごとに巻き込まれる主人公や登場人物。ご都合主義といえばそうだが,人生の奇縁もそんなもの。物語の背景にあるライバル大学からの攻撃?は解決されないが,発生する出来事を通して登場人物が少しずつ成長するので,読後が爽やかで希望がある。伏線は回収しきっておらず,登場人物が老若男女おり,追加の人物もいれやすいので,映像作品化しやすい(それを狙っている?)と思った。

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2023年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラノベっぽいキャラクター重視の作品なのかな、と期待せず読んでみたら、そんなことはなかった。二人以上の登場人物が「事件に巻き込まれる」ためにはそれぞれ理由が必要で、とくに連作ものだと、「一つ目の話の事件関係者」が二つ目でも三つ目でもずるずる関わっていたらさすがに違和感がある。そういう点でも、特に学生ふたりを毎回の事件に、出しゃばらせず、さらっと登場させていて、上手いなあと思った。

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2021年10月19日

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