あらすじ
ブルース・リーに捧げる、衝撃の学園バイオレンス!
暴力の支配するその学園を人はカンフー・ハイスクールと呼ぶ。壮絶な抗争を拳で切り抜ける少女を描く気鋭のノワール作家の問題作。
マーティン・ルーサー・キング・ハイスクール。
ドラッグの密売で強大な力を持つ生徒リドリーと、それを黙認する校長ダームーディーの独裁下、暴力の日常的に吹き荒れる高校。生徒のほとんどが格闘技を身につけなければ生きてゆけない、通称「カンフー・ハイスクール」。
15歳のジェニーは、兄のキューとともにカンフー高に通う。だが、世界的なカンフーの達人でいとこのジミーが香港からやってきた日から、カンフー高は揺れ始める。もうこの拳は振るわないと誓うジミーだったが、学園の暴力者たちは意に介さず、事態はエスカレートしてゆく……
金曜日、すべては暴力のカオスとなって爆発する。
殺らなければ殺られる、だからわたしは殺る――。
新進ノワール作家、ライアン・ギャティス。
彼がコロンバイン高校銃撃事件などのスクール・バイオレンスを材にとり、ヤングアダルト小説の古典『チョコレート・ウォ―』と、
ブルース・リーの『ドラゴン危機一髪』へのオマージュをこめて一気に書き上げられたのが本作である。
英米各誌で『キル・ビル』『ファイト・クラブ』『アメリカン・サイコ』と並び称された、ポップでイカレて残忍なスクール・バイオレンス・アクション。
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Posted by ブクログ
文藝春秋がけっこう満を持して翻訳版を出してきたので買って読んでみたのですが、あんまり乗り切れなかったなぁ。この手のジャンルは翻訳者の文体で好き嫌いがずいぶんと変わるってことかな。全然リズムが合わないし、読み返しても登場人物達の体の使い方が追い切れない描写ばかり。
アクション描写は平山夢明『ダイナー』の方が上。建造物内での群衆スペクタクルは呉勝浩『スワン』の方が上。日本人作家、すげぇな。再認識した。
この作品で着目すべきは、最終的に勝ったのか負けたのかはさておき、社会階層、職業、人種、貧困、性あらゆる差別と抑圧への抗いの描かれ方だった。その差別は本作のテーマとして「暴力」に表出しているのだけど、結局は「無理ゲーをやらざるを得ない現代の若者のサバイバル」に収束するメッセージなんだろうと読んだ。
そこの筋だけはすごく良かったな。