あらすじ
文庫本で東大からの学力。伝説授業の真実。
橋本武、現在100歳。戦後、公立校のすべり止めだった灘校で、文庫本『銀の匙』だけを3年間かけて読むという空前絶後の授業を始める。明治の虚弱な少年の成長物語を、横道にそれながら丁寧に追体験していく。五感や季節感を大切にしながら進められる橋本の授業は、生徒の興味でどこまでも脱線していき、子どもたちは自分や友人の“個性”に気づく。一学年200人の中高一貫。6年間を繰り上がりで一教科一教師担当制の灘校で、橋本の『銀の匙』授業を受けられたのは30年間でわずか1000人。そして『銀の匙』授業3巡目の昭和43年卒業組は「私立初の東大合格者日本一」に。実社会でも旺盛な好奇心で、教科書なき道を切り開いていく彼ら。現在の東大総長、副総長、最高裁事務総長、弁護士連合会事務総長、神奈川県知事など、各界の頂点が“銀の匙の同級生”である。「燃え尽きない一生学び続ける好奇心」を授けた伝説授業を、橋本自身と教え子たちへの1年間の及ぶ取材から解析し、スロウリーディング・ブームの火付け役となった感動のノンフィクションが文庫化。(2012年10月発行作品)
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Posted by ブクログ
公立中学の滑り止めだった私立中学で、「1冊の文庫本を3年間かけて読む」という異例の授業を行った教師がいた。
その教師の名前は橋本武。
橋本は「銀の匙」という文庫本を興味がある部分で横道にそれながら、主人公の少年時代を追体験していく授業を展開する。
駄菓子屋のシーンで実際に駄菓子を食べながら朗読、凧揚げのシーンで1から凧を作って揚げる。
生徒たちは体験を通じてスローペースで物語に没入し、楽しみながら学んでいく。
そんな異例の授業は、カリキュラムや効率重視の現在の国語教育へのアンチテーゼにも見えて非常に面白い。
教え子たちは皆、学ぶ力の背骨となっているのが橋本の授業だと語る。
様々な事象に興味を持つ。興味があることを徹底的に調べる。楽しみながら挑戦する。
中学時代を通して読み込んだ文庫本1冊が、大人になっても人生の素地になっている。
今の国語教育には類を見ないことで、非常に興味深い。
「すぐ役立つことはすぐ役立たなくなる」
文中の橋本のこの言葉が頭をよぎる。
今はまだ学歴、偏差値主義な世の中だが、今後は様々な事象に興味を持ち、どんどんチャレンジできる人間が価値を産む。
今こそ「横道にそれながら、ゆっくり学ぶ」教育が必要なのかもしれない。
Posted by ブクログ
信念が無いとできない教育方法だよなあ。
今だったらモンスターペアレントにフルボッコされそう…
すぐに役立つことはすぐに役立たなくなる
この言葉、橋本先生の言葉として紹介されてる感じだけど、小泉信三じゃないの?