【感想・ネタバレ】牛疫――兵器化され、根絶されたウイルスのレビュー

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Posted by ブクログ

牛疫のコントロールをめぐる一国主義と国際主義のせめぎあいが、帝国主義と冷戦構造を背景に描かれる。牛の健康は、肉やミルクの供給だけでなく、労役を通して農業生産にも寄与することから、人の食に直結する。第二次世界大戦後の「欠乏からの自由」を実現するための取組として、科学者の国際的情報共有、官僚機構の整備、現場の農民の協力などが編み上げられていく。

食の安全保障を国際的な協力で実現していくことの意味は大きいが、一方で牛疫が細菌兵器になりうることの脅威も示し、さらに単一の疾病のみを対象にしなければ国際協力が成立しにくい現状を示唆する点が興味深い。

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2021年12月30日

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