【感想・ネタバレ】詩的私的ジャック JACK THE POETICAL PRIVATEのレビュー

あらすじ

大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

個人的にとても好きな作品だった。

話の構成や、トリックなど、どこを取っても今までの作品の中でも良く出来たものに感じた。

特に、最後の3つ目の密室のトリックに対するミスリードの部分には完全に引っ掛けられたし、萌絵と同じように?が浮かび続けていた。

犀川が半分いないまま話が展開していくところや、犀川の内的思考の描写が今までの作品のようにないことがとても印象的で、萌絵の心理描写が多いところも今までとの差分があって面白かった。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

答えに行き着けるかどうかは、正しい問いを立てられるか、なのだろうなと思った。今作も鮮やかだった。

犯人が最初から計画していたという冷静さがとても恐ろしい。
「なぜ密室を作ったのか?」というわかるwhyと、「なぜ凶行に至ったのか?」と完全にはわからないwhyの対比が印象に残っている。人が何を考えているのかはわからないし、言葉にしないと伝わらないんだろうな、と。

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2025年08月22日

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ネタバレ

9章の萌絵のプロポーズ、読んでいてニヤニヤしてしまいました。探偵ものの異性バディが恋仲になることは許せないタチでしたが犀川&萌絵のやり取りにニヤニヤしてしまう…。最後の会話もよかった。
あと、解説でも書かれていたけど途中の国枝女史と萌絵の会話が今作の中で1番印象的で好きなシーン。

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2024年07月07日

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ネタバレ

シリーズ4作品目!

今回の事件はミステリ要素は少し控えめだが、人間描写が綺麗だった。
天才博士が出てこないのは初めての作品だった事もあり、事件の動悸や謎としては今まででは一番奇抜ではないように感じた。その為読みやすかった!

森博嗣先生の作品は全体的に家族構成や恋愛対象が特殊に絡んでくるものが多いなという印象。

段々進展していく、犀川と萌のやり取りも面白いので続きが気になる!

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2024年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何か心がザワザワして、考えることを放棄してひたすら読み進めてしまいました。
リセットする、と言うかまっさらにしたい、という気持ちはわからないでもない自分が居て。ただ度合いの問題なのだろうと。完璧を求めすぎる人間の恐ろしさですね。

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2025年10月25日

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ネタバレ

久々にしっかりサイコパス犯人
瞬間接着剤とセメント、ナンバーにあんまり意味がなかったのはちょっと残念

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2025年07月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
s&mシリーズの4作目。
大学で起こる謎の密室殺人。しかもそれは人気ロック歌手の結城稔の曲の歌詞に酷似している。その事件を萌絵と犀川が解決に導くという話。
今回の話では1件目と2件目の事件で萌絵達が当事者でないから、いつもより積極的に事件に関わろうとはしていなかった印象。それもあって序盤はやや退屈だと感じた。しかし3件目からは萌絵の大学、しかも知り合いが被害者だという事もあって面白くなっていった。
結城寛はマジですごいと思った。数時間でこのシナリオを思いついたのかと驚かされた。最後の事件を密室に見せるためのそれまでの事件、お腹のナンバー、とても緻密で冷静なシナリオだと思った。ただ真っ白にするためにこんな事ができるのかと感じた。この人からは一度決めたら必ずやるというような執念を感じた。この殺人はあくまでも自分を貫くためやったものだから関係のない萌絵を殺さなかったのかなと思った。
犀川の篠崎に対するそれは英語で言える?って聞いたところは最後スッキリした。なんかお洒落。
萌絵と犀川の関係も読んでて楽しい。
萌絵が犀川の事を全然知らないと感じて論文を読んだり、質問を考えたり、転勤の可能性を考えて慌てたり、酔った勢いでプロポーズしたりしちゃってて可愛い。最後に一生懸命言葉にした想いを笑われちゃったのも可愛い。
犀川の方も萌絵が大人になった事を認めてタバコをあげたり、萌絵に影響されて少しずつ変わっていた事を自覚したりしていて、2人の今後が楽しみ。

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2025年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

事件と日常が、作者風に言えばシーケンシャルに進行する好調な語り出しで、これは来たなと思ったら、最終的にやって来たのは、文学性高めのアート的映画の上映終了後のようななんとも言い難い無言の空気で、作品像が掴めなくなってしまった。
なにか90'sトレンディドラマと終わらない青春学園ラノベを燃やした灰を混ぜて練ったコンクリで作ったブルジョア風マンションにゲバ棒(萌絵の学園闘争的に)隊が突撃して爆破したみたいな漠然とした印象だけが残った。

最初は事件を中心に回転していた物語は、次第に萌絵が中心になり、更にその周囲に犀川の物語、犯人の周辺の物語、萌絵と才川の関係といくつも軸が増え、そのギア同士は噛み合ってない感じがした。
事件のプロセス説明の授業は相変わらず良かったが、犀川も興味ないけど片手間でまたやっちゃいました的な、よくある不感症的主人公タイプの匂いを少し醸し出してきて、不安が増してきた。
なんだかアイドルのライブを後方で黙って腕組みして見た後、終了後パフォーマンスについて本人に駄目出しをするみたいな感じになっている。F島で副所長の依頼を断り本格介入した時の犀川はどこへいってしまったのか……
そもそも萌絵の甘え=自己中心的な性格を動力に回転する話なのに、彼女から甘えを取り除いたら物語自体が空中分解して墜落しかねない。
その兆候はすでにアイドルの代わりにマネージャがステージに上がり、最終的にアイドルより目立ってしまうといった様な、まさしく天秤のような萌絵と犀川のバランスを欠いた構造に表れている。萌絵の葛藤より原始的な犀川の方を定番化してほしかったが封印したようで残念。
この作者にしか出来ない音楽ライブの爆音圧の独特の表現は良かった。《ふたりは数字の11より接近した》なんて表現も作者くらいしか思い付けないだろう……

今回の犯人の能力には驚く。知能、スキル、フィジカルと三拍子揃った万能型、更に忍者のようなスピードと隠密能力を有していてたぶんシリーズ中最凶なのでは。短期決戦ならばFの犯人をも陵ぐと思われる。
午前三時に飛び出しおそらく2時間弱でたった1人であの偽装工作を完遂し、一切の無駄の無い動きで犯行を行い密室を作り上げ、そして持ち手のない60キロのコンクリート体を10数Mとはいえあっさり運搬する(10キロの米袋6つ持って階段登れる人間がどれほどいるだろうか?)。こんな化け物が暗殺者で命を狙われたらたまらない。

唯一、致命的と言える欠点は文庫版のあとがきで、三大読書罪の一つ、〈ミステリの犯人をバラす〉と同等の罪を犯してしまっている。
あの5文字を見た瞬間、本を閉じたので詳細は不明だが、展開によっては先が読めてしまいかねず、どうも、ここで来るかという楽しみが無くなってしまったような予感がしてテンションが落ちた。
感想サイトなら自業自得だと思っているが、シリーズ物の前作でやるのはアウトだろう。しかも《今作までのネタバレを含みます》と注意書きをしてその先もネタバレするという悪質な罠まで仕掛けている。
なにか著者の作品のあとがきは思い入れからか、筆が先走りすぎている傾向がある。そういう面では本編に触れず、実情はこうですよとステレオタイプ化を牽制しながら本編の楽しみ方を簡潔に語り、余韻を崩さなかった笑わない数学者での森毅氏のあとがきはかなり好感が持てる。あとがきや解説というのは作品強度を高めるものじゃないと駄目だ。

あと動機が不明とよくあるが、本作の場合、解釈可能だといえる。
例えば、絶対に今この商品を買わなくちゃいけないとか、午前中でこの数のタスクを終わらすとか、人は自分の中の合理性、強迫観念的意識にどうしても勝てないものだ。自分の感想が異常なほど長文になってしまうのもそうだし、ネット上の荒らしや不可解なコメントだって理由はわからないが、いくら刈っても生え伸びてくる雑草のように現象としてはありふれている。だから動機の仕組み自体に関しては取り立てて特殊というわけではないと思うが、雑草も定期的に刈り取らないと家は荒廃してしまうし、どうして雑草が生えてくるのかを考えてもしょうがないという意見も一理ある。

それは動機ではないと言われたらそれまでだが、この犯人の場合、事件を訊いた瞬間、電光石火の如くアイデアが閃き、なんとしてもそれを実行しなくてはならないという強迫観念に囚れたのだろう。
動機が不明というのは全く共感出来ないか、恨みや憎悪ではないということだ。しかし、主目的は妻の殺害であり感情的理由がないとは断言できないと思う。
言葉を知らず興味だけで動く子供の行動の場合は動機が読めないと言い切れる。たぶんその純粋さめいた添加物の無い目的意識を綺麗だと形容したであろう犀川の洞察もわかるが、大人の場合では危険な思考になり得る。
ヒトラーの『我が闘争』には《将来の主観的な決断を実行するために、あらゆる客観をおろそかにしない》みたいな一節があるらしい。Fの犯人もそうだが、この強固なエゴイズムによる意思は今作の犯人と共通性がある。この犯人の場合の客観とは、自分に向けられるあらゆる疑いであり、それを解消するため何者も寄せ付けない強い主観をもって計画殺人を決行したのであり、詩的どころではなく死的である。

そもそも傷害致死を無かったことにするという意図は、会社の資金を押領して隠蔽工作するのとさほど変わらず、その意思自体の肯定はかなり難しい。小説中の論法を使えば、出来事自体を無かったことにするというのは、出来事を隠すという行動によって確実にあったことになる。
犯人の意識についての考察内容をより完璧に達成するためには自己消滅しかないと思うのだが、シンプルな様態を複雑にして、単なるリセット願望を上手いこと誤魔化された気もした。
なぜ一人で死なないのかまで考えると確かに理解不能で、非常に倒錯した利己的な人格が浮かぶ。狂った行動をさせれば狂人はいくらでも描けるが、ここまで詳細にサイコパスを描いた創作物は珍しい。不可解に見える人物の頭の中では自己中心的な計算回路が本来あるはずのエラーを修復し、その人物の主観行動は常に正常で合理的なのだ。しかも客観性を分析し目的に合わせ外部からは異常がないかのように偽装出来る。その結果が〈そんな事をするような人には見えなかった〉という定番のセリフである。
作者は動機について言及することで、動機や人物像を説明している。よく云われている理系的な技巧や手法だけの作家ではないことがわかる内容だ。内面を詳細に描いてしまうとミステリ作品としてはうざったくなってしまうので、あえて登場人物にわからないと言わせている可能性もある。
まあ、この犯人よりも犯人の妻の方がよくわからないのだが。
最終的には被害者相関図の最も中心にいる人物なので必然的に捜査線上に浮かんできそうではある。

色々思うところはあるが、それはやはり1,2作目の出来の良さを引き摺っていることが原因で、思ってたより感性が合わないのかもしれない。ミステリ小説的には最も分かりやすいドラマ性で展開するレベルの高い秀作だと思うし、その都度で文章の流れを汲める人向けかと思う。

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2024年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

犀川先生がお茶目で面白い。
萌絵の告白はたぎったが、その前の
「目を瞑って…」のくだりは最高でした
指輪でもキスでもなく、煙草かい!
ミステリィと恋愛小説読みたいときには欲求を満たしてくれますね。
あと、カタカナ表記が気になって仕方ないんですが、5冊目になったら慣れてくるのかな、カタカナ伸ばさなくて違和感すごいんですけど、工学では標準の表記なんですね。
思わず「森博嗣 カタカナ表記」で調べました(笑)

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2024年08月14日

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