あらすじ
新たに誘拐されたのは上院議員の娘だった。捜査当局をはさみ、犯人の特定をめぐって議員とレクターとの間で取引きが進行する。だが、その過程でレクターは秘かにある計画を練っていた。一方、クラリスはレクターとの会話を咀嚼し、犠牲者の身辺を洗うことで、しだいに“バッファロウ・ビル”に肉薄してゆく――。稀代の“悪”と対峙し、内なる暗黒とも戦う彼女が迎える壮絶な終幕。
...続きを読む
時代を超えて色あせない魅力を放つ、ホラーサスペンスの金字塔!
主人公・クラリスは成績優秀なFBI訓練生。ある日、上司のクロフォードに呼び出されて、元精神科医にして凶悪犯のレクター博士に会うように命じられます。目的は、巷を騒がせている連続殺人犯"バッファロウ・ビル"のプロファイリング。
クラリスはレクター博士から、"バッファロウ・ビル"について聞き出そうとします。彼はクラリスに興味を持ち、ある条件を呑んだらプロファイリングを手伝うと申し出ます。
その条件とは、クラリスの少女時代のトラウマを教えることであり……。
本作の魅力はなんといっても、レクター博士の強烈なキャラクターです。
彼は人食い殺人で収監された危険人物でありながら、こちらが礼儀を失さないかぎりは理知的な紳士としてふるまうのです。間違いなく悪人なのに、嫌いになれない……このギャップこそ、彼の一番恐ろしいところなのかもしれません。
博士は底知れない狂気とカリスマ性で、多くの読者をとりこにしてきました。筆者もそのひとり。レクター博士が次に何を言い出すか戦々恐々としつつも、その言動に目が離せず、一晩で一気読みしてしまいました。
映画史に残る傑作『羊たちの沈黙』の原作にして、ベストセラー小説でもある本作。博士とクラリスの、命をかけたやりとりの緊迫感を、ぜひ味わってみてください。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
とても面白かった。
上下巻を一気読み。
サイコパスの代名詞、レクター博士はやっぱり凄かった。
FBI捜査官訓練生のクラリスが、刑務所に収監中の狂人サイコパスのレクター博士との面会から連続猟奇的殺人の犯人像に迫っていく。
とにかくレクターの狂人ぶりが、エグすぎる。
精神科医でありながら、患者を何人も殺害し、独房に収監されている。隙を見せた看護師の顔を噛みちぎったり、置き忘れのボールペンを使い刑務官を襲ったりと、危険極まりない。
脱獄のやり口には、驚くばかりだ。
でも魅力的で憎めない。信用したくなる不思議なキャラだ。
一方、クラリスは優秀な訓練生だが、派手さの無い田舎出の女性。何故かレクターはクラリスを受け入れ、面会を続けていく。レクターの言葉のひとつひとつが謎かけのようだ。
訓練生という立場でままならない中、行方不明者を助けたい一心から、クラリスはレクターの言葉を基に単独で捜査を積み重ねていく。
そして…
ハラハラ、ドキドキの展開で、ページをめくる手が止まらなかった。
殺人の動機、方法が猟奇的で残酷。気持ち悪い。
海外では起こりそうな事件ではある。
レクターが脱獄したままなので、これから何かが起こるにちがいない。それにクラリスを放っておくようには思えない。
是非、続編をトマス・ハリスの作品の中から探して読みたいと思う。
Posted by ブクログ
レクター博士らしいグロテスクな脱獄。
そしてホテルでのしばしの安息と、クラリスに残したメッセージや新たに送った手紙など、良きキャラクター性。
犯人も犯人で、母親の若き姿に憧れる洋裁が得意なオネエ寄りの男。愛犬を人質にとられ、愛犬のために髪の毛を諦めて頭から撃ち抜くか…と検討する。人間味も感じられ、個性的で好き。最期は呆気なかったが。
クラリスが有能すぎるが、犯人の家を突き止めて偽名を名乗る犯人と対峙するところからワクワクする。
子羊の悲鳴は止んだかい?クラリス
クラリスの知る最も明敏な二人の人間のうち、一人は同時に彼女の知る最も堅実な人間であり、もう一人は最も恐ろしい人間だった。その二人を知っていることで人づきあいのバランスがとれているといいのだが、と彼女は思っていた。p160