あらすじ
「生きて妻のもとへ帰る」
日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた......。
人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。
元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗り――それが祖父だった。
「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻に志願したのか? 健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。
はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語!
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Posted by ブクログ
特攻隊として戦死した祖父の痕跡をたどる姉弟。
その死には、大きな意味があった。
あれ程話題になり、映像化されていたにも関わらずの未読でした。
私には、今出合って良かった本。
まだまだ知らない戦争のこと、今少しずつ勉強中です、今更ですが。
悲しい話ですが、宮部久蔵の男気に魅せられます。
例え美化された話と言われても、ここから戦争について考えることが出来たら、それは大切な出合い。
多くの人が読むべき本と、改めて思いました。
Posted by ブクログ
もう何度読んでいるか…
そして、映画もドラマも… 何度も…
言葉なんて出てこない。切な過ぎて、苦し過ぎて、言葉でなんか表せない。
一人一人が静かに感じるべきなのではないか… ただただ涙が流れるのです。
Posted by ブクログ
ネタバレと感想。映画の方は未視聴です。
私が無知すぎて恥ずかしい事ばかり並べたててしまっているような気がします。どうかご容赦ください。
私にはいつかきちんと勉強をして知っておかなければならないことがまだまだ沢山ある、そんな風に感じる本でした。
本作は、健太郎と慶子、そして読者が、かつて宮部と共に戦った元軍人たちの話を聞くことで「宮部久蔵」という人物を徐々に知っていく、という構成になっています。
2人に会う軍人たちから宮部に対する評価は様々で、彼を心底憎悪している人物もいれば、彼こそ真の英雄だったと褒め称える人もいます。
宮部自らが自分の胸の内を語るような場面は決して多くはないのに、彼らの話を聞いていくうちに少しずつ宮部という男の人となりが見えてくる描写は見事としか言えません。
話を聞かせてくれるかつての軍人たちは、皆、最初から最後まで宮部の話をしているわけではありません。
戦争というものがどういうものであったのか、本当にその時代を知らない若者たちに語り掛けるように懇切丁寧に教えてくれます。
戦闘機の種類から、当時の日本の在り方や世論、当時の日本軍という組織がどういうところであったか……など、本当に色々な事を。
私などは本当に無知なので、最初のうちは正直読み進めるのが大変でした。戦闘機の強さや母艦の性能など、何も知らなかったからです。
本当に恥ずかしいんですが知っている戦闘機の名前は米軍のB29くらいで、零戦の存在さえも知りませんでした。
艦隊に関しても某ゲームや某アニメでそれがモチーフになっているキャラクターがいるんだなあ、くらいの知識で……。
『神風特攻隊』という名称と彼らがどういう部隊だったのかということくらいはさすがに知っていても、特攻が大成功したのは意表をつくことのできた最初の1回のみで、その後は突撃する前に米軍からまるでゲームのように撃墜される機体の方が圧倒的に多かったという事も、ただ敵に体当たりするためだけに作られた人間爆弾『桜花』の事も、何も知りませんでした。
それらの説明も交えながら宮部の思い出話を聞かせてくれるおかげで、私も慶子や健太郎のように“宮部”について深く知っていくことが出来たように思います。
第五章で井崎の話を聞いている辺りからはもうすっかり宮部久蔵という人物が好きになっていたので、彼らの口から宮部を悼む言葉を聞いたり、彼が「妻子の元に帰るまでは絶対に死なない」と語っていたという話を聞くたびにつらかったです。
第十二章は最初から最後まで号泣してしまいました。
どれだけ他人から馬鹿にされ蔑まれ罵られようとも、「妻子の為に絶対に生き延びる」とずっと誓っていた宮部は、終戦の1週間前に特攻隊として出撃し未帰還となります。
この頃は「全機特攻」という空気ができていたという事でしたが、特攻隊に志願するか否か何度聞かれても絶対に首を縦に振らなかった彼が無理矢理に出撃隊に選出されるという事は有り得るんでしょうか。
(そもそも、恐らく史実では 特攻隊に志願しません と正面切って堂々と言う事の出来る軍人など恐らくいなかったのでしょうが)本作の中での宮部は特攻を拒み、現に最後の出撃までは特攻隊に選ばれてはいません。
単に彼の飛行技術が優れていたから……というのもあるかもしれませんが、結局、さいごに宮部は自分の乗るはずだった飛行機に不調があることを見抜き、それに乗れば助かるかもしれないという事を知りながら、その機体を大石(健太郎と慶子の現在の祖父)に託して不調の無い機体で敵へ特攻していったことから私は この時の宮部は自ら特攻隊に志願していたんじゃないかな……と勝手に思っています。
宮部自身からこの時の心情や出来事が語られる場面はなく、どれも周りの印象や推察によって現代に形を成した彼の最後の出撃への記憶。
だからこれも、私1人の勝手な想像にすぎませんが。
あれだけ生に執着していた彼が、今までに散々地獄の戦場を生き抜いてきた彼が、神風特攻隊という作戦によって心を病んでしまったのかと思うと無念でなりません。
敵部隊の元まで特攻隊を護り切れても、護り切れなくても、どちらになっても確実に自分の目の前で散っていく多くの戦友たちの姿に「自分だけが生き残るわけにはいかない」と、最後の最後で思ってしまったんでしょうか。
第七章で谷川に「もし特攻を命じられたらどこかに不時着しろ」とまで言っていた宮部のことだから、実はどこかの島に不時着して生き延びていたりしないだろうか……なんて、そんな期待を少しだけ抱いてしまっていましたが、エピローグで打ちのめされました。
宮部は見事に敵戦艦に特攻を果たしますが、彼の抱えた爆弾は不発に終わり、彼の体は機体と共にバラバラになってしまったという事が エピローグにおいて当時その戦艦に乗っていた米兵の口から語られます。
彼の最期はそれはそれは立派なものだったんでしょう。
だけど私はやっぱり、宮部に生きて妻子の元へ帰って欲しかった。
この話に出てくる宮部のような男(特攻に志願しない、大っぴらに生きたいと主張するという点では無く 御国の為にと叫びながらも心の底では「生きて帰りたい」と願っていた男たち)は、実際に戦争によって命を落とした兵隊たちの中にもきっと居たのではないかと思うとつらくて、ただただ悲しかった。
本当に誰にも悲しまれずに、自分自身も心の底から国の為に殉職する事に喜びを覚えて死んでいった者が果たしてどれだけ居たんだろう。
戦争に参加して散ってしまったことによって、今現在はもう誰の記憶の中にも残っていない人も、きっと沢山いるんだろうと思うと悲しくて仕方がない。
彼らがいたおかげで今現在の日本があるんだと頭でわかってはいても。
生まれた時代や感性は違っても、現代を生きる人間と同じ形をして思考して生活をしていた人間が本当にただの消耗品のように使われていた時代が確かにあったことを、せめて私が死ぬまでの間、私の心の中に留めておこうと思っています。
この先自分が無事にお年寄りと呼ばれる年齢まで生きることが出来たとして、その頃の日本や世界がどうなっているのか、今考えたってわかりっこない話ですが、どうか今よりも平和で穏やかな世界であってほしいと切に願います。
Posted by ブクログ
【書名と著者】
永遠の0
百田尚樹
【目的】
百田尚樹への興味から。
小説家だと思っていた百田尚樹が60台後半にして政党を立ち上げて、2025年7月下旬をもって国政政党の要件をすべて達成するに至った。
いままで書名は聞くも読むに至らなかった著者の書籍を読んでみたいと思い、初めて読むなら気合が入ったデビュー作がよかろうと選んだ一冊。
【読後感】
心に曇天が広がるも、
戦争に臨む現場の悲痛、現場と人命を軽視する組織に振り回される悲惨さ、もしも戦争がなければ生きていたかもしれない方々、避けられたかも知れない戦争によりその後の人生が決定的に変わってしまった方々に思いを馳せるとともに、先人が命を懸けて残してくれた日本で安心して生活できることに心からの感謝をささげたいと感じた。(歴史小説、所詮は史実を扱ったフィクションではある のだが)
また、本書から17年を経て百田尚樹が国を憂いて立ち上がったことにも一定の納得感がある。
【印象に残ったポイント】
・永遠の0とは
作中に、大本営の指揮と現場の扱いは、まるで今の政治家と官僚が牛耳る政治ではないかとの旨の台詞があった。
読んでいて、いまの日本のようだと読み進めた矢先に出てきた台詞。日本が、歴史から学んでない、進歩が0ってことなのか?体制以外にも今の日本と重なる部分を感じ、わたしは日本の歴史からの学びが永遠の0なんじゃないか、と感じた。
それとも、零戦で散っていった同胞への思いを込めたものなのか。
それとも、永遠に戦争が0でありますように?
永遠の0→霊、永遠の霊=英霊への祈りか。
・人権意識とリアリズムのアメリカと、人命無視とリベラリズム(教条主義的)な日本
アメリカは兵あっての戦争、日本は兵を消費した戦争。武士道なんちゃらで撃墜した後のアメリカ兵には手出し無用→戦線復帰、一方日本は無茶な作戦で徒に兵(しかも熟練の)の命をすり減らす。勝つために手段があるのに、日本は手段が目的化していると感じた。
・雰囲気で人を動かす日本のマネージャー
特攻をせよとは言わず、志願するものは前に出よ。実質的に指示なのに、言いにくいことは言いたくない。ハッキリ言わずに相手を動かしたいマネジメント。これは今の日本にも通じると感じる。これは、日本特有なのか、海外でもあるのか、海外でもあるなら文化や言語や地域にどんな傾向があるのか、気になるところ。
・顔の見えない大本営と、顔の見える現場の個人
作中からは顔の見えない大本営。顔の見える現場の個人は紆余曲折あるが丁寧に描かれていた。一方で、大本営からは現場の個人の顔は見えず、人間性を捨象した数になってしまう。
数字でリソースを配分するエリートに対し、不十分なリソースで工夫が求められる辛い現場。
たとえば、今の日本でも工事はn人月、工期が危なくなると、いくらでn人月を追加!とか。
抽象的に数を見ている人たちは現場の具体が見えない構造がある。こいつらバカ、と言ってしまうのは簡単だが、今も数十年前もあまり変わっている気がしないので、いまの人間の認知能力の問題のような気もする。
組織という大きいウチのなかで、大本営~現場に至る各レイヤで顔を合わせる人間がウチ、そうでないとソト、だから想像することができず安易に抽象化して人間性を捨象してしまうのではないか。
Posted by ブクログ
宮部久蔵の生き様を描いている。あんなにも生きたいと願った人々の命を奪った戦争が許せない。彼らが生きていれば彼らの育てた子ども達、孫たちが活躍していたであろう現代は今とは全くちがう日本になっていたのだと思うと悔しい。彼らに恥じない日本を作りたい。
【再読済み】
Posted by ブクログ
神風特攻隊 桜花 回天 言葉では知っていたが使い方などは知らなかったと痛感した。戦時下では、人の命ってこんなにも軽かったのだと思った。
物語は戦時下にも関わらず「生」に執着した軍人が、なぜ特攻をおこなったかが描かれていた。最後の真相がわかった瞬間鳥肌が立った。
Posted by ブクログ
生きたい、家族のために生きたい。という当たり前の思いが許されなかった時代。
人の命を使い捨ての駒のように扱う、この時代の政府、軍の人たちに心の底から腹が立ちました。
二度と戦争にならないでほしい。
登場人物の語る経験談は、物語というより史実みたいな感じでしたが、読みやすかったです。
Posted by ブクログ
実話ではないですが、戦時中の軍人たちの生き様や心理がリアルに描かれていて、その世界観にわかりやすく入っていく事ができ、ボリュームはありますがどんどん読み進めることができました。ストーリーとしても、登場人物に共感でき、感動しました。
Posted by ブクログ
お見事!
「臆病者」との謗りを受けながらも生きて帰ることに執着したゼロ戦パイロットだった祖父の軍歴をたどる旅
祖父を知る元軍人たちの回想は構成、章立て、その人の階級や兵種、人となり、関わりから現在の状況や住む場所
史実との兼ね合いや伏線の張り方、「今」を生きる人の感情の変化、衝撃的なラストに至るまで見事と言う他なく★5じゃ足りない!名作です
そしてこの作品を通して一番に感じたのは『怒り』であり、読み終わった自分の中に残った感情も『怒り』でした
また皆さんはどう感じたのかも気になりました
コメント読み漁ってみよっと!
Posted by ブクログ
戦争時代の男の生き様がかっこよすぎました。でも現実は非情で、戦争を通しての思考の変化していく様に思わず涙がこぼれました。
フィクションなのに情景がありありと浮かぶ名著だと思います
Posted by ブクログ
フィクションであろうと無かろうと、戦争を知るという意味において、その時代に生きた人たちの姿を想像し、気持ちに寄り添うことのできるこの作品は価値のある作品だと思う。
時折り読み返して心に刻みたい作品。
家族や国を守るために、死と常に隣り合わせで戦った人たちがいたこと、上層部の無謀な作戦が故に無数の死があったこと。
戦争を創り上げたのは、上層部だけでなくメディアに支配された国民自身でもあったということ。
戦争の時代に生きた人たちの、その生き抜く力が原動力となって、日本が戦後の復興を果たし、高度経済成長期を通して今の平和な社会があるということ。
それらをしっかりと心に刻んでおかなければならないと思った。
そして、平和な社会であるが故に忘れ去られてしまった、互いを支え合い思いやる気持ちや感謝すること、傲慢であってはならないことをまた心に留めておかなければならないと思った。
Posted by ブクログ
フィクションとして特攻と原爆を扱った作品には抵抗があります。これは年代的なもので、映画も小説も避けてきました。しかし、他の作品で興味を持った百田さんの代表作ですから、ここは折れて読んでみました。特攻で死んでいた実の祖父、記憶も記録もない実像を調べていて、現代を生きる孫にとって、過去の戦争が浮かび上がってくる。そして、意外な結末がとなるが・・いろいろと戦争についてわだかまっていた部分に答えがあった気がする。傑作です。
Posted by ブクログ
【歴史と問題提起】
祖父の体に埋まった銃弾。
その窪みと弛んだ皮膚を思い出しながら、戦争を眺めました。
百田尚樹さんの物語は、どの作品もノンフィクションとフィクションの狭間。
ただ生き抜いた、だけでは終わらない物語。
…余波としては…艦これ提督だったので、戦艦の名前がリンクして混線しました。。
メディアが変わるのは、まだ先かもしれませんね…。
いろいろ考えさせられました。
Posted by ブクログ
★★★★★完全に★5つ。映画よりこちらの方がなぜかわからないけど迫力があった。もちろん宮部久蔵は岡田准一としか想像できなかった。戦争とは漠然としたイメージしかなく、深く知ろうともしなかった。妻と子のために生きて帰る、その思いの強さが伝わってきて、どれだけ無念だっただろうと涙せずにはいられなかった。
Posted by ブクログ
おもしろかった。百田さん、BOXの頃と比べるとはるかに読みやすくなった。ちょっとお姉さんの恋人役の新聞記者のキャラ造詣にムリがあるけど。
百田さん、普通におもろくてちょいアツめのおっさんなんやろけど、有名になって文化人的な期待をされたもんで、言動でたたかれてまって、残念やなぁ。
ええ人やとか、立派な人やとかみんなに思われてまったでなぁ。いろいろ役を受けんにゃ良かったのに。そしたら沖縄の新聞けなしても、またあのおっさんがなんかいいよるわ、くらいの話やったんやろけどな。
作品と作者とは線を引いた方がいいな。
Posted by ブクログ
まず映画化もされるし、一般受けする内容の本だろうと思っていましたすいません。
主人公の少年が、フリーライターの姉の手伝いをする中で、自分の本当のおじいさんが零戦に乗って戦争に参加していたことを知ります。それを生き残っている戦争経験者の人々にインタビューしながら本当のおじいさんのルーツを探る内容なのですが、涙なしには読めません。
正直歳をとって涙腺が緩んでいるのかもしれませんが、戦争経験者の方たちの話の情景が頭に浮かび、いかに自分の愛する人たちを守る為に命を懸けたか、今の平和な世の中に生まれた我々には想像しがたいですが、今の平和な日本があるのは改めて国のため将来の国民の為にと命を捨てて戦ってくれた人達のおかげと思い知らされます。
自分も小学校の時の教育のせいで、歴史博物館でご年配の方、日本が悪かったんではないのかと馬鹿な事を言いました。
その後本当の歴史を勉強する機会があり調べれば調べるほど自分の無知蒙昧さを思い知り本当に恥ずかしい思いをしました。今の学校教育は自分で調べない限り日本は悪、自衛隊は悪などという教育をしていますので悲しいことです。
この本を通じ自分たちのご先祖様達のことを、勉強し知るきっかけになればと思います。
Posted by ブクログ
第一次世界大戦の特攻隊について考えさせられるものでした。
フィクションであるけれども,かなり現実にそくした内容であると思います。
そのときの兵士さんの思いを実際に感じられるものです。
読みながら何回か泣きますね。素晴らしい物語?だと思います。
泣きたいときに読む本です。
いつか鹿児島県の知覧に行きます。
Posted by ブクログ
ゼロ戦、神風特攻隊…言葉としての知識はあるが、本当に表面的な知識だった。戦争を実際に体験された日本人が少なくなってる今、多くの人に読まれればと思います。
Posted by ブクログ
戦争の悲惨さを思い知らされた。特攻隊の搭乗員の葛藤、若者たちの命を軽んじて敵母艦に突っ込ませる作戦を強行した本部の狂気さ、桜花のこと、色々知ることができたし、深く心に残った。映画はまだ観てないので、観てみようと思った。
Posted by ブクログ
audiobookにて。
一度数ページで挫折した本だったけれど、オーディオブックで再挑戦。
以前のような拒否反応は起きず引き込まれた。ナレーターの方々が深みがあって、本当に戦争体験者の話を聴いているようで胸が痛んだ。
戦争体験者の話が長く同じ発言を繰り返しているのが、オーディオブックだから一字一句逃さず聞いてしまうので多少の鬱陶しさはあったけれど、だからこそ本だったら飛ばしてしまいかねない部分も読めるので、オーディオブックと相性がいい本だと思う。
Posted by ブクログ
神風特攻隊のパイロットの戦争感動巨編。
プロローグ
第一章 亡霊
第二章 臆病者
第三章 真珠湾
第四章 ラバウル
第五章 ガダルカナル
第六章 ヌード写真
第七章 狂気
第八章 桜花
第九章 カミカゼアタック
第十章 阿修羅
第十一章 最後
第十二章 真相
エピローグ
家族を愛し、生にこだわったパイロットはなぜ特攻で死んだのか?
特攻で死んだ祖父・宮部久蔵の孫・佐伯健太郎と姉・慶子は、祖父の戦死に至るまでのエピソードを集めるために、ともに戦った軍人のもとを訪ねる。
ある者は祖父を臆病者とののしり、ある者は尊敬の念を抱き、ライバル視していた。
導き出される祖父の姿は、一流のパイロットでありながら、家族を愛し、生きることに貪欲な立派な青年だった。
そんな祖父がなぜ特攻を志願したのか?全ての真相が徐々に明らかになる。
特攻隊員たちはお国のために喜んで死んでいったというが、本当は家族を愛し、恐怖から自分を奮い立たせ、出撃していった本当の姿に感動しました。
戦争とはいつでも高位の人間の高慢によって始まり、駒として兵士は使われ、激戦の上の死は美化され、伝説のように語られるが、何のためであろうが人が殺し合いをするということに正当性は見出せないと思う。
戦争なき世界にになってほしいと願わずにはいられない。
Posted by ブクログ
これが空想上のお話であったらどんなにいいのにと思わずにはいられない実際にあった戦争。
映画は見ていたので、大体の流れはわかっているはずなのに辛くて辛くて読み進まなかった。
こんなにも人の命が軽いことがあっていいんだろうか、この戦争になんの意味があったのか、
考えてしまう本でした。
映画では華々しい?最期であった記憶があるのだが、、記憶違い?
小説では爆発することない零戦と共に亡くなった宮部さんの思いはどんなものだったのか、辛すぎます...。
Posted by ブクログ
戦果を上げる、という大義名分のために犠牲になっていった若者たちへの畏敬と、権力への怒り。宮部と関わり生き残った人たちからの証言という形をとって、当時の戦況と著者の思いが綴られているように感じました。
祖父の戦後の物語は、若者の命が使い捨てにされていくなかで、少しでも希望があって欲しいかった、という願いを形にした結果なのかな、というのが私の感想です。
戦時中の軍部の風潮を想像すると、暗澹たる思いになります。
Posted by ブクログ
色眼鏡なしで、百田さんの著書は読みやすく、次第に引き込まれ、終盤で畳み込まれる。
前半は淡々と事象が語られていく。徐々に感情が加わり、それが加速していくところが百田さんの腕前でしょう。
最初はどこに感動して泣くところがあるんだろう??と思いながら読み進めました。これはフィクションであり、最後の方はわざとらしさもなきにしもあらずでしたが、私は泣かされました。
特攻を美化してるとか、戦争賛美とか、パクリとか、色々なバッシングが多かったので、いったいどんな内容なんだと読んでみたわけです。
フィクションとしては十分だし、戦争に関しては、どちらかと言うと反戦の色が濃かった。
右寄りと言われている百田さんの「永遠の0」は左寄りの私から見ても別に悪い小説ではなかった。
戦争小説や記録は苦手でほとんど読まないので、他の作品と比べ様が無いし、パクリとか丸コピーとか言われてもわかりません。
いいじゃないですか、これをきっかけに参考文献を読みたくなる人もいるかもしれません。
映画は見てませんので、またチェックしようと思います。
儲け主義の本でもいいじゃないですか。読む人によっては薄っぺらい作品としても、いいじゃないですか、世の中は大半が薄っぺらい人間なのです。
薄っぺらな人間にも少しでも反戦について意識してもらえるきっかけとなる様な小説だと思います。
これがヒットしたのは大変良い事だと思います。
ちなみに私の祖父は反戦を唱え非国民として投獄されていました。
幸運にも処刑される前に終戦となり、生き延びる事ができたのです。
そんな今は亡き祖父を尊敬しています。
Posted by ブクログ
戦後60年経って忘れられようとしている戦争を知るために是非若い方に読んでもらいたい作品。
特攻で死んだ実の祖父のことを知るために始めたことで戦争のことを知ってゆく姉と弟。
祖父を知る人達が戦争んを語ってゆく。
零戦のまんがはカッコヨク描いているけどこの作者も零戦乗りたちはかっこよく書いてる。祖父かっこいい。ラストは血のつながりのない祖父は終戦まぎわに実の祖父が助けた人物だった。
少しかっこよすぎるけど小説だからありかな。
【追記 】筆者の思想を知ってがっかり。戦争の悲惨さを描きたいんじゃなくて愛国心とか戦争讃歌的に描いていたのかと思うと、なんだかな~
Posted by ブクログ
特攻隊や戦闘機の話をよく知れたのは良かったと思うし、普段本を読まない人にも手に取りやすいところがいいと思った。
ただ、軍とかメディアとかが悪いというのを押し付けすぎて、くどい感じがした。
そういうのを雰囲気だけで匂わせるのがいいのに。
キャラが立ってないラノベみたいで、私は好きではないなと思う。
Posted by ブクログ
知人が絶賛して進めたので読んでみました。予想していた範囲の内容でまあまあでした。
主人公の祖父が終戦を迎える一週間前に戦死した。何故、家族の為に生きて帰ることに執着した祖父が特攻部隊に加わったのか。主人公が祖父はどんな人だったのかを調べる話。
やはり戦争体験者みずからの文章と、体験者からの伝聞の文章との違いを考えてしまう。世に多くの戦争体験者の方々の本が出版されている。体験者達の文章は、どんなに辛く厳しい戦時中でさえも、不思議な強さと明るさ、ユニークさが現れて、人間の人間らしさがにじみ出ている。
ところが、非戦争体験者が描く文章は、ただただ悲惨さを訴えるだけ。人の逞しさ、本当の強さ、国の為に死ぬ覚悟ができていても人としての本能は生きようとする行動をとってしまうこと等がやっぱり表現できない。
そういう意味で、良い小説でしたが、やっぱり戦争を知らない人が描いた文章だということで、表面ごとばかりという印象でした。
ただ、戦争について知らない人達にとっては、興味を持つとっかかりになるという面で、ヒットして良かったなと思う。