あらすじ
「和真は俺の兄貴で……そして今日から、月子のもうひとりのお父さんだ」三軒茶屋の裏路地にひっそりと佇むプラネタリウム。店主の和真のもとに、十年ぶりに弟・創真が帰ってきた。娘だという美少女・月子を連れて。常連に闖入者、奇妙な客たちに囲まれ、“親子三人”の共同生活が始まるが……。読めば心温まる、人生讃歌エンターテインメント!
この星座館には、家族の夢が詰まっていた――。
「和真は俺の兄貴で……そして今日から、月子のもうひとりのお父さんだ」
三軒茶屋の裏路地にひっそりと佇むプラネタリウム(兼バー)。酔客たちに星座の講釈を聞かせる店主・和真のもとに、10年ぶりに弟・創馬が帰ってきた。娘だという美少女・月子を連れて。18歳年上に夢中な高校生、彼氏の浮気を疑うキャバ嬢、筋肉フェチのオカマ、ウーロン茶一筋の謎の老人、不思議な客たちが集まる店で、“親子3人”の奇妙な共同生活が始まるが……。
辛いことがあったら夜空を見上げればいい。僕たちよりもずっと昔から悩んできた、星たちの物語が広がっているから――。
読めば心温まる、人生讃歌エンターテインメント!
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Posted by ブクログ
和真が語る現代風にアレンジされた星座の話がとにかくおもしろい。その中に、色々考えさせられるテーマが含まれてて、とても興味深い。こんな話が聞けるプラネタリウムがあったら毎日でも通いたくなっちゃいそう。
和真の周りの人たちの問題を解決しつつ、和真の過去に迫る流れも入り込めるのでとても面白かった。
日常の謎的なミステリ要素もありつつ、恋愛・仕事・家族などのヒューマンドラマ要素もあり、ラストは感動できる。
続きを読むのも楽しみ!
Posted by ブクログ
普段は「◯◯殺人事件」みたいなミステリーとかホラーばかり読んでいるせいか、「刺激が足りないな〜」「展開が遅いな〜」なんて思いながら読み始めた。……のだけれど、これ、普通に面白い。
収録されている章は、すべて星座の名前を冠した全5章で、
・オリオン座
・おおいぬ座
・山羊座
・水瓶座
・うお座
から成る。
星座にはそれぞれ、「その星座が生まれるまでの物語」があり、そのどれもがギリシャ神話になぞらえて語られている。
そして物語の中で、登場人物たちのドラマもまた、その星座の神話とリンクするように展開していく。
主人公の和真は、プラネタリウムでそれぞれの星座にまつわる話をしてくれるのだが、そのどれもが面白い。
話し方も「〜だ/である調」でも「です・ます調」でもなく、「〜なくね?」「〜とかヤバい」といった現代の若者言葉で語られるので、ギリシャ神話へのハードルがぐっと下がるし、身近に感じられるし、飽きないし、古臭さもない。
和真というキャラクターならではの話し方が、そのままギリシャ神話の「語り」にも反映されているので、一つの解釈としてもとても興味深い構成になっていると思う。
Posted by ブクログ
冬から始まって、四季ある。
星好き、星座好き、プラネタリウム好き、ギリシャ神話好きさんにはもちろん、ハートフルなお話しが好きな人にオススメ。
私は星好き、プラネタリウム好き、美術好き(ギリシャ神話)好き。
ココロに残るセリフもたくさん。
いつだって、客観的事実は主観的事実の前に歯が立たない。
大人の男っていうのはさ、自分の人生でいちばん誰が好きだったのかを、決められた奴のことだから
人はそれぞれ、自分ではどうしようもない条件を背負って生きてる。
自分の幸福を壊すのに、必要なのはたったひとつ。幸福を、試せばいいんだ。
すぐに壊れる幸せなんて、そもそも幸せって呼ばないでしょ。
違う。すぐに壊れるから貴重なんだ。幸せが試されるまでの記憶を、僕らは幸せな時間っていうんだ。
足りないものはあっても、必要なものはそろってる。それが、自分の幸せだってね。
自分の愛情の注ぎ方が正しいなんて、いったい誰にわかる?
読んでみたくなりませんか?
Posted by ブクログ
プラネタリウムがあるバーを経営する和真。そこに10年ぶりに弟の創馬とその子供月子が外国から居候しにころがりこんできた。そんなところに様々な人々が集まってくる。人々の悩みを聞き解決に奔走する和真。月子に対する愛情もはぐくまれてきてうるっとくるところもあり、なんといっても星座の話が現代風のガサツな言葉で語られていておもしろい。これは続きが読みたい。
Posted by ブクログ
店主和真が、悩める客に星座の話をするのだが、そのギリシャ神話の「超現代語訳」がすごい。元々ギリシャ神話自体、人間臭さを感じることもあるが、和真の語るギリシャ神話は比ではない。めちゃくちゃ軽くて、チャラく、ぶっ飛んでる。でもだからこそ、面白い。思わずクスリとしてしまう。
それでも和真が語るギリシャ神話は、それぞれが前を向く一歩になる。その点がすごく好き。
正直「星」や「ギリシャ神話」というワードから連想される綺麗でロマンティックな雰囲気は皆無で、シリーズを通せばキナ臭い場面も多い。でもだからこそ、この「超現代語訳」が物語と合っていて、面白いのだと思う。