あらすじ
祖国の内戦を逃れ来日した女子高校生が若き能楽師と出会う。コンピュータサイエンスの博士号を捨て、閉ざされた伝統芸能の世界に入る彼女を待ち受けていた試練とは。能の魅力を妻兼マネージャーとして国内外に発信し再び世界を駆け巡る傍ら、子育てや母を日本に呼び寄せての介護に奔走する。異文化理解の架け橋となったある女性の記録。
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Posted by ブクログ
能楽師の妻兼マネージャーとして能の魅力を国内外に発信し続ける著者の生い立ちや子育て、能を通じての異文化交流、母の介護について書かれた本。
本書は、著者のマドレーヌさんが伝統ある能楽師に嫁ぎ、文化や価値観の違いに戸惑いながら、夫の梅若猶彦さんと共に能楽を国内外に発信する姿が書かれています。その中で、能についてわかりやすく説明されています。
また、子育てを通して見えてきた日本や海外の教育の違いも書かれています。今後は、多様性を知る教育も大事であることが、本書を読むとよくわかります。
日本の古典芸能の一つである能楽。日本文化であるにもかかわらず、能楽のことを知っている日本人はそんなに多くないと思います。能楽を知る最初の一冊として、本書はオススメです。本書を読み終えると、梅若猶彦さんの能を見てみたいと思うようになります。
Posted by ブクログ
【何はともあれ、わたしがこれまで目指してきたのは、「能の愛好家を増やすこと」でした】(文中より引用)
内戦の続くレバノンを離れて訪日し、能楽師と結婚することとなった著者の梅若マドレーヌ。彼女が経験した能の世界、そして日本での異文化体験や生活について語り尽くした作品です。訳者は、翻訳家として活躍する竹内要江。
稀有な人生を歩んできた一人の証言として興味深いことはもちろんのこと、能についての一風変わった手引書となっている点も高く評価できる一冊。「このような人がいたのか!」という純粋な驚きに胸打たれる読書経験でした。
能の舞台にも足を運んでみたい☆5つ