あらすじ
水道民営化とは、地域窮乏化政策だ! 欧州の水道再公営化運動が生んだ、新たな民主主義から学び、日本の水道を、グローバル資本から守る。一九八〇年代以降、民営化路線を歩んできた欧州の水道事業。しかし杜撰な管理や財務の問題にスポットがあたり、再び、水道を公営化に戻そうという大きな流れが市民運動を起点に巻き起こっている。昨今、注目されている欧州の左派ポピュリズムのうねりの中核は、実は「水道の再公営化」を求める権利運動だったのだ。水は、人々の共有財・公共財<コモン>である。資本が利潤をあげるための対象として水を扱えば、たちまちその地域は窮乏化していく。民営化で疲弊した欧州の人々の怒りが地方自治体を動かし、「ミュニシパリズム」や「フィアレス・シティ(恐れぬ自治体)」など、新しい民主主義の形を作り出しているのだ。その成果である、水道事業の再公営化はなんと178件。水を再び自分たちのものへと取り戻す欧州の運動から日本が学び、各自治体において民営化をストップさせるにはどうすればいいのか。日本人でありながら、欧州・民主主義の最前線に立つ著者が、日本再生のためのカギを明かす。
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Posted by ブクログ
海外の水道はほとんどが民営、は嘘。2012年で12%程度。
PPP/PFI推進室に水メジャーが出向。
コンセッション方式(公共施設等運営権方式)の運営権は物権。売渡もできるし担保も設定できる。
関西空港の運営権料は、年間490億円。これが一時収入になるので、売渡側は打ち出の小づちに見える。しかし、災害対策は運営会社任せでおろそかになる。復旧も運営会社まませ。
アイルランドは水道をすべて公費で運営。水のメーターがない。
世界では水道は再公営化が進んでいる。そのほか、電力、地域交通、ごみ収集、教育、健康・福祉サービス、自治体サービスなど。
パリの水道料金は、民営化後24年間で265%上昇。
欧州の水メジャーが周回遅れで新自由主義化している日本に目を付けた。
再公営化には複雑なプロセスが含まれ、運営ノウハウを失うと公営化できなくなる。
PFIは民間がお金を調達するため、資金調達コストがかからないように見えるが、民間はそのコストと企業利益を含めて運営費を算出するため、実際は高コストになる。
イギリスでは、フィナンシャルタイムスが「水道民営化は組織的な詐欺に近い」という記事を出した。
公共サービスをグローバル企業によって民営化することは、コミュニティの富を外に流出させる行為。
インフラを維持するお金がないから民営化、というのは本末転倒。
民営化でかなえられる効率化とは、賃金カット、雇用者の削減、設備投資の先送り、の成果。
コンセッション契約に向けたアメ=償還金の繰り上げ、過去の債務の返済ができる。ムチは導入しない説明をする必要がある。
値上げの規制緩和。
それ以上に、自治体の運営能力の喪失が恐ろしい。