あらすじ
変態リストラ部長にこの世の地獄を!
会社を食い物にする極悪人に、ボランティア仕置き人が鉄槌を下す痛快エンターテインメント。
業界大手のパシフィック電器は、人事部労務担当部長の江間を中心に大規模なリストラを進行中。江間の極悪な追い込みに、ついに自殺者が出てしまう。
クビ切りを押しつけられた課長代理の大岡は耐えかねて、三国が代表を務めるNPOで、「プロボノ」として社会貢献活動をすることに救いを求める。
江間の悪辣な行状を知った三国は義憤にかられ、江間を「嵌める」べくハニートラップを仕掛けた。しかしこれは、三国が仕掛けた罠の序章にすぎなかった……。
「ぷろぼの」とは、「公共の利益のために(pro bono publico プロボノ プーブリコ)」という意味のラテン語。
解説・村上貴史
※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2024.01.03〜01.07
「あぁ、スッキリ!」が一番合うかな。読後感として。
こんな上司、嫌だな。最近の人たちなら、断るだろうけど、私はきっと言いなりになって、退職してる、と思う。本来の英語の意味でリストラが行われることを願います。
それにしても、タイトルのかわいいさと、内容のギャップ、すごいな。
Posted by ブクログ
★★★★
今月13冊目
人事部のリストラを言い渡すところにいる主人公。部長からは鬼のように追い詰められてもクビ切り。自殺者も出る始末。
部長を引き摺り落とすべくボランティア団体に依頼する爽快な話。
楡周平ぽくはないけど良かった
Posted by ブクログ
『上司と仕事は選べない』大手電機メーカーリストラ部門で、上司の手段を得らばない悪質な手口に心を傷める人材開発課、課長代理大岡の憂鬱。サラリーマンである以上『上司と仕事は選べない』と自身を宥めすかしながら働いている人が多数なのでは。ここで登場するNPO『プロボノ』での活動が大きな救いとなる。諦めがちな現状も視点を変えれば突破口が見つかるヒントが得られるのかもしれない。
Posted by ブクログ
プロサラリーマンの目からみても、かなりのリアリティを感じさせる楡周平の引出しの多さは凄い。本作は、リストラ狂想曲とシルバー世代と現役世代の心ある人々の隠れた活躍というテーマだが、金融であれ経営戦略であれ貿易であれ、よく書けるものだと驚く。リストラについていえば、もちろんエンターテインメントにも属する小説なので大げさに戯画化されているが、江間のような言動をちらちらと覗かせる人物は、大企業の管理部門や上級マネジャーには潜在的にはかなりいる(と感じていた)。普段は常識と体面を気にして覆い隠してはいるが、なにかの拍子にその狂気を覗かせるヤツには、思い当たるふしもある。
Posted by ブクログ
主人公の立場になって考えてみる。サラリーマンとして日々当たり障りなく過ごしている自分はこんな行動は取れないな。自分さえ良ければと思っている部分がどうも強いようだ。
Posted by ブクログ
大好きな楡さんの小説かつ、
主人公が人財開発課長ってことで(私はよく、企業の人財開発部や人事部と仕事をします)、
これは読まねばと思い、読んでみました。
読んでみるまで知らなかったのですが、
人財開発課と言えども、社員の能力開発をする部署ではなく、
社員のリストラをする部署でした。。
結果的には、自分の期待とはちょっと違いましたが、
そこは天才作家・楡さん、
ちょっとコミカルな「最後は正義が勝つ!」的な
気持ちの良い終わり方をしてくれます。
何かドラマ化したら、庶民には受けそうなテーマです。
しかし、所謂、池井戸さんの半沢的な絶体絶命からの大逆転が起こる訳もなく、
またいつもの楡さん特有の綿密なリサーチからくる小説の奥深さもなく、
楡さんファンにとってはちょっと消化不良感はあります。
逆に言うと、ライトな小説が好きな人にとっては、
ライト半沢直樹的な小説として楽しめるのではないでしょうかね。