あらすじ
「どうせダメだ」――現代社会に蔓延する無気力。衣食住が満たされた豊かな環境というだけでは、「効力感」、つまり意欲的に環境に働きかける態度は生まれない。本書は、心理学の研究成果を広く紹介し、自律性の感覚、他者との交流、熟達のもつ意義など、さまざまな角度から効力感を発達させる条件を掘りさげる。さらに子どもも大人も、やりがいを持って生きられる教育や社会のあり方についてヒントを示す。
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Posted by ブクログ
無気力の原因が分からなくてモヤモヤしている人間には救いの一冊だと思います。
私自身無気力に悩まされていた経験がありましたが、この本を読んで無気力の要因と自身の生育環境を照らし合わせてはっと気付かされたものがたくさんありました。
無気力な自分と向き合いたいけど、無気力でどうにもならない。
そんな人にはマストな一冊です。
Posted by ブクログ
名著!久しぶりの再読。自分の授業のの元ネタはここか!と認識。さまざまな概念と関連付けることが可能な内容で,テキストにしようかと思うくらい。研究テーマも結局ここに戻ってきている。
Posted by ブクログ
我々が無気力になるメカニズムが明快に示されている。ちょうど無気力にならざるを得ない時期に読んだので、自分がなぜこのような状況に陥ってしまったのか整理できた。
とはいえ、40年前の著作であるため、日米の国民性の比較など、今となっては通用しないような概念も援用されている。本筋にそこまで関わらないので、問題はないと思うが。
Posted by ブクログ
自分のモチベーションの分析のために読んだ。
なぜやる気が低下するか、客観的に見やすくなったし、仕事の参考にもなる。
情報源はアメリカの研究がメインのようだ。
以下内容メモ。
・自分で回避できない苦痛を味わった経験があると、後にまた苦痛を受けた時に、自ら回避しようとしなくなる。
・失敗の原因の認識の仕方は、以下の3次元に分けられる。
① 原因は自分の外部か内部か
② 内部の場合、安定した理由か(能力等)、変動しうる理由か(努力や気分)
③ コントロール可能なものか(努力等)、コントロールしにくいものか(気分)
・選択肢があり、課題が有意義なものだと自律性を感じやすい。
・自己有用感が大切。仲間と取り組むことで、自分は人の役に立てる、という自己有用感が生まれる。さらに、本人が自己向上を実感できること、その向上が本人にとって価値があることが鍵。
・学校で工夫できることとしては、生徒の貢献度が上がる工夫をすること(討議等)、グループ対抗での競争、レベル別の課題を用意すること、がある。
Posted by ブクログ
囲いに入れた犬に、定期的に電流を流す。片方は電流を回避できる犬。片方は何をしても逃れられない犬。逃れられない犬は電流を甘んじて受け、それに耐え続けるしかない。そうしてやがて気力を失くし、鬱状態になっていくという。
少し簡略化したが、これは本書でも紹介されるセリグマンの実験で、学習性無力感を探るもの。今なら許されなさそうだが、本書では他にも赤ちゃんに対して恐怖感の植え付けを操作したジョンワトソンの実験にも触れる。これらはこの手の本を読み続ければどこかで出会う、サディスティックだが貴重な実験だ。
無気力を考える時、我々はこの電流をアナロジーとして考えれば良い。あなたにとって自己決定による調整が不可能な「電流的存在」とは何か。
脱レース、脱人格、脱動物みたいな〝脱“◯◯という言葉を私は読書により獲得し、時々用いている。原点は「解脱や脱獄」であり、既成の価値観や本能、敷かれたレールから解き放つための位置関係を示したものだ。今、そこにいる。そこから距離を置くが延長線ではない。脱線的思想。それが出来なければ、電流に気力を削られていく。
だが、電流から逃れただけでは片手落ちだ。怖いのは、人間は「電流を与える側」の欲求を充足しなければ無力感に苛まれるという事。紛らわしいが、これは文字通りの痛みを伴う電流という意味ではない。脳に与えられる電気信号のことだ。我々は、自らが他者に作用している実感を欲している。その欲が満たされない時、その慢性的な剥奪感は、(こちらは痛みを伴う)電流としてあなたを電撃する。
人間が生き生きと暮していくためには。仲間と相互にやりとりする中で、効力感が強められる。自分が人のために何も役立つことができないと思う時程、自分の無力感を痛感することはない。
富や地位は強制的に他者からの羨望を奪い、まるで自らが作用しているかのような錯覚を齎す。そのため、一瞬、生き生きと感じさせてくれる。しかし、その単調な作用が続くだけならば、それが双方向にイーブンな刺激ではないと気付き、徐々に虚無的にあなたの人格は破綻していく。
結局、御伽噺や寓話、教育テレビや学校の道徳の授業で教わったような生き方が最善である。少なくとも我々のOSには、それが刷り込まれているのだし、感謝の概念こそが、効力感のような双方向の電気信号を齎すものだからだ。
Posted by ブクログ
ある行動に対しての自分のフィードバックがネガティブなものだと自尊心、効力感が低下し無気力に陥る。失敗をした場合、自分の能力の無さを責めるのではなく、努力の足りなさを自覚して取り組む事で無気力な感情に陥りずらくする事ができる考え方を学べました。
Posted by ブクログ
無気力の治し方とかというより、無気力の発生する過程や、社会、個人条件などを分析した本でした。発育過程についての話も結構あるので子供を持つ人とかも良いと思います。私は個人的に個人と社会条件を示した6、9章が印象に残りました
Posted by ブクログ
大部分が子どもの教育に関する記述であるが、それでも参考になることは多い。
自分の場合はスペシャリストとしての効用感を持ちつつも、今現時点では外的成功とは無縁とは言えず、その成功を継続できていないことや内的基準が自分でよくわからなくなっていることで満足感も得られない状態となっている。
ということは理解しつつ、ではどうやって効力感を持てばいいのか、それについてはヒントはあれど自分で消化できてはいない。
Posted by ブクログ
「人はいかに学ぶか」を読んだ時に、この本のことを知り手に取った。
内的動機づけが理想、自己効力感(役立っている感)、本心でやりたいと思えているかどうか。
無気力にならないために、主体的にやる気を持って活動するために、この3点がポイントだと感じた。また、やりがいと効率に関する話題が印象的であった。管理者としては効率重視、労働者としてはやりがい重視…。ただ長期的な目で見ると、やりがいを大切にした方が良い集団になると思う。あえて効率の良いベルトコンベア式の仕事にせず、全員が一連の組み立て作業に携わることを通して、「自分たちの仕事がこんなことに役立っているんだ」という実感を持つ。この経験こそが自己効力感を生み出すのだと感じた。
現在、仕事に対して無(気)力感を感じている自分にとって、読んで良かったと思える内容であった。早く広報誌にまとめたい。
Posted by ブクログ
この本を読む前に、
なぜ「やる気」は長続きしないのか。デイヴィッド・デステノ (著)
を読んだの強く思うのだが、上記の本の内容を要点を抜き取ってさらに日本人の場合に当てはめて検討している用に感じた。特に最終章は色々考えさせられる。難しいね
当たり前だけど、日本人とアメリカ人同じ人だけど生き方が全然違うんだな。と。
Posted by ブクログ
無気力にならないようにするには、①無力感を獲得しないようにし、②効力感を得られるようにすればいい。効力感を得る条件は、a.自律性の感覚(自分の活動が好ましい変化を生じさせたという感覚)、b.他者との暖かいやりとり、c.熟達による自己向上の実感・内的評価である。
以上のような大筋のもと、各章では心理学的実験の結果から無力感、効力感等の条件が洗われます。しかし、本全体も各章も短めなので専門的になりすぎず、サクサク読める新書らしい新書といえます。
1981年初版の本なので、その後のゆとり教育に繋がるような考え方が推されており、歴史的に見ても面白いです。とはいえ、能力・努力・やりがいのようなテーマは、40年程度ではひっくり返らないので、素直に多くを学べます。
Posted by ブクログ
主に子どもの無気力と、アメリカと日本の社会性の違いによる無気力の原因を考察したもの。
特に人との和を気にする日本と、競争による自分の能力値を気にするアメリカの対比が印象的だった。
Posted by ブクログ
子供から大人、リタイア世代まで、自分の人生をしっかりと生きるにはどうしたらいいのかを研究を元に考察した一冊。親が子供に、会社が社員に、社会が個人に、そして自分が自分に、生きがいを持たせるには何が必要なのか。文化の差異も踏まえながら提案をしている。解はひとつに定まらないし、万人向けのやり方もないが、それでも無気力にならないで踏みとどまるヒントは得られたように思う。
Posted by ブクログ
会社の研修部門に在籍していた頃の参考書。
心理学的な分析で無気力となる原因を解説。研修業務への活用を考えていたが、むしろ自分自身が仕事のやりがいを感じられない時の参考になった。
Posted by ブクログ
世界に蔓延る無気力の正体に迫った本。
無気力は無力感だけでなく、自己効力感の欠如からも生まれるということをエビデンスとともにわかりやすく示してくれている。非常に納得のいく一冊だった。
自己効力感の欠如は外発的動機づけ、自己選択、熟達、フィードバック/評価などさまざまな側面から説明がなされ、
自己効力感の脆さと複雑さを知ることができた。
社会や教育変革については書かれているが、自己変革については触れられておらず、なかなか自分一人で解決の難しい根深い問題なのだろう。
Posted by ブクログ
自分の抱える問題解決の糸口を求めて手に取った本。
本書の前半部では、さまざまな研究結果をもとに無力感・効力感の発生を解説している。
個人の生活実感と照らしても納得できるもので、自分の無力感が何に起因するかを考えるヒントになったと思う。
後半は「効力感を育てるには」に焦点が当てられ、学校教育、そして日本社会のあり方まで敷衍して議論が展開される。
Posted by ブクログ
無気力はなぜ起きるのか?
効力感はどうしたら生じるのか?
様々な実証実験で人間心理を探る。
自分ではどうしようもないと感じると無気力
報酬で取り組むと報酬がなくなると無気力
赤ん坊が泣いても親が何もしないと無気力
努力で変わる、努力で成果が出る効力感
人間関係で認められる、貢献すると効力感
感想
犬に電流を与えた時に、
あきらめてジッとしてしまう犬と、
避ける方法を探し続けて答えを見つける犬がいる
パズルを解く大学生に、
報酬を与えて途中で辞めるとやる気をなくし、
初めから報酬のないチームはやる気が継続する。
という実験は興味深い。
無心にたのしみながら努力を続けられる人が
熟達すると思うし、実験もそれを表している。