あらすじ
「全ては樹木が語ってくれました」
『闇に香る嘘』『生還者』で注目の乱歩賞作家が挑む新境地。
樹木トラブルの裏には、人の“想い”が隠れている!
笑って泣ける、人の心と樹木をつなぐ6つの連作ミステリー
新設された「緑の窓口」への異動を言い渡された区役所職員の天野優樹。
えっ…、それって切符を買うところじゃ……。
疑問を抱いたのも束の間、「庭にあるスギの伐採をめぐって家族仲がギスギスしています。なんとかしてください」との依頼が届く。
そう、ここは市民の樹木トラブルを解決する部署だった!
花粉症で樹木嫌いの先輩・岩浪とともに依頼先に向かった天野。
しかし、そこにはスギを愛でる先客が。
「柊紅葉といいます。樹木医です。」
清楚な美人の登場に胸をときめかせる天野だったが、事態は意外な展開を見せ……。
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Posted by ブクログ
樹木医が探偵役のミステリということで、役場の樹木医(とその相棒?たち)がその知識を活かして民間トラブルを解決していくお話。これまでに読んだ下村作品の印象は「シリアスで重厚」という印象があったので、やけに爽やかで明るい雰囲気の表紙にビックリ。
実際、話の雰囲気やキャラの造形なども穏やかでラブコメっぽい要素もあるなど、なんだか違う人が書いたみたい。
ただ、そのテイスト故か犯人?とその動機はある程度予想がついてしまったかも。基本、悪い人がいない世界観に感じたので、紅葉とその母の関係のように、一見険悪そうに見えて実は……とか、善意のすれ違いみたいなのを予想しちゃいます。
でもソメイヨシノの章は、桜の母の真相を予想できなかったのと、比較的身近な存在のソメイヨシノの知らなかった特徴に関心しきりで、めちゃめちゃ興味津々で読んでました。
トータルとして悪くない内容でしたが、やはり「シリアスで重厚」な作品のが好きかも。樹木医を題材にしたサスペンスみたいのは難しいだろうけど(笑)
あと、杉とアジサイについて……岩手の「みちのくあじさい園」という、あじさいで根元を埋め尽くされた杉林があるらしく……ここは水源が豊かだから大丈夫なのかな?重箱隅ですが、ちょっと気になっちゃいました。