【感想・ネタバレ】現代経済学の直観的方法のレビュー

あらすじ

わかりやすくて、おもしろくて、深い。

かつて『物理数学の直観的方法』で理系世界に一大センセーションを巻き起こした著者による、
この一冊で資本主義の本質をガツっと直観的につかむ、
どこにもなかった経済書。

・資本主義とは
・インフレとデフレのメカニズム
・貿易が拡大する理由とは?
・ケインズ経済学とは何か?
・貨幣の本質とは?
・なぜドルは強いのか?
・仮想通貨(暗号資産)とブロックチェーンとは何か?
そして、
・資本主義社会の最大の問題点と、その解決のヒント

私たちが生きる現代資本主義社会の本質とその問題、行く末を理解する一冊!

(目次)
第1章 資本主義はなぜ止まれないのか
第2章 農業経済はなぜ敗退するのか
第3章 インフレとデフレのメカニズム
第4章 貿易はなぜ拡大するのか
第5章 ケインズ経済学とは何だったのか
第6章 貨幣はなぜ増殖するのか
第7章 ドルはなぜ国際経済に君臨したのか
第8章 仮想通貨とブロックチェーン
第9章 資本主義経済の将来はどこへ向かうのか

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Posted by ブクログ

ネタバレ

骨太の経済学の根源解説本です。
理系畑(物理ご専門)の著者が経済に疎い理系読者を念頭に原理原則をつまびらかにしてくれている、そんな印象です。

第1章:資本主義はなぜ止まれないのか
所得=消費+投資(銀行などの貯蓄が設備投資などへ流用)の公式が鉄道のメタファーで視覚的に想像することができた。
利息(貯蓄)の正当性は、カルヴィニズム、予定説による徹底的な禁欲生活、つまりは稼いだ分を消費に回さず貯蓄する、その貯蓄額こそが天国へ行けるという証なのだという論理が発端となっている。

第2章:農業経済はなぜ敗退するのか
まとめると、農業経済は機動性が不足している。一定した需要と漸増する供給の最悪の組み合わせにより、農産物は価格低下の一途をたどり、成長性が見込めない。

第3章:インフレとデフレのメカニズム
ここでは、資産家階層・企業家階層・消費者階層の3層構造でインフレ・デフレの利害関係をまとめているのが新しい知見。インフレは、資産家・昇久階層は損する一方、企業家階層が得している現象という認識でひとまず良いのでは。
どうも最近の暴力的なインフレは、消費者たる私は苦境に直面しております。

第4章:貿易はなぜ拡大するのか
自由貿易体制は関税を撤廃することで先進国の安価で質の良い商品が流入し、発展途上国の自国産業の発展を阻害する危険がある。「先に二階へ上がったものがはしごを引き上げてしまう」制度である。
インターネットの登場で最近では国対国の貿易ではなく、より部分的なつながりで利益を共有する方法というものある。

軽く飛ばして、
第8章:仮想通貨とブロックチェーン
ブロックチェーンの台帳にタグ付け、ハッシュ関数の利用、ナンスの活用という説明で、大方理解が深まった。
マイナーは何してるんだろ?にたいしても、新しいブロックチェーンの創造と報酬としての仮想通貨の入手でだいたいイメージつかめた気がする。

最終章の経済界の縮退に対する危機感は、理論ぽくなってきて理解が難しい。しかし、現在の自由主義経済の中における飽和であるがゆえの虚無感、一般意思(理想)ではなく全体意思(欲望)を追い求めているが故の束縛感というのはまさに自分が感じていることだし、現代人の根本的な課題なのだろうと思もう。徹底的な個人主義ではなく、他社との関係性により吸気口を共有し息詰まりな状態を打破するいった方向性は、非常に共感します。しかし、個々人としてどういった生活を営めばよいか、生きるとは、悩ましいところですし、今話題のポスト資本主義というテーマが注目される現代、一つの転換点なのかもしれません。

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2022年05月07日

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