あらすじ
映画『南極物語』で知られるタロジロの奇跡から60年――いま明かされる真実の物語!
1968年2月、南極。日本南極観測隊・昭和基地近くで、一頭のカラフト犬の遺体が発見された。この情報は一般には知らされず、半世紀たった現在も封印されている。なぜ、これまでその存在が明らかにされなかったのか? はたして、犬の正体は? あのタロジロの奇跡から60年、第一次南極越冬隊の「犬係」で、タロジロとの再会を果たした唯一の隊員である北村泰一氏が、謎多き“第三の犬”について語り始める……。南極第一次越冬隊・最後の証人が明かす真実の南極物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
映画『南極物語』世代としては、タロとジロ以外の犬達の名前もしっかり覚えているので懐かしさもあり、特に好きだった「その犬」の物語に心が震えた。
過酷な仕事をする大型犬の訓練は過酷なものだが、越冬隊犬係の北村氏とカラフト犬達との絆や信頼関係は強く濃いものだったのだろう。
Posted by ブクログ
読んでよかった、と思う。
「タロとジロの奇跡」から10年後、南極昭和基地にてカラフト犬の遺体が新に発見された_ 。全く報道されなかったこの事実について、南極第一次越冬隊最後の生き証人となった北村泰一さんと、元新聞記者である筆者が検証を試みる。
87歳の北村泰一さんは高齢者施設に入居されており、取材開始時には記憶が覚束ないところもあったという。しかし、「犬たちが南極でどう生き、死んだのか、すべてを証言しますから、それを記録に残して欲しいのです」「タロとジロ以外は今もなお、名もなき存在のままです。彼らが南極で苦しんだり喜んだりしたすべての真実を、世の中に知ってもらいたい。そうでなければ、私は死んでも死にきれない」という一念で長期に渡る取材に臨んだという。
北村青年の南極行きに懸ける強い意志と行動、共に過ごす中で培われた犬達への信頼と尊敬、そして南極を離れる際に“逃げられないように首輪をいつもよりひとつ縮め、きつく締めた”こと。
今更、賛否について語るつもりはない。だが本書を読むことで、北村氏が伝えたかった、犬たちのソリ犬としての誇りを、確かに受け取ることができた。
Posted by ブクログ
その犬の名を誰も知らない
著 嘉悦洋さん。
監修 北村泰一さん。
真実の南極物語。
封印された第三の犬の正体をめぐる。
第一次南極越冬隊。
終戦から10年。
科学技術で世界に貢献する。
南極観測の実現。
何をやるにしても、最初というのが必ずあります。
必要なのは、可能にする勇気ですよ。
すごい人たちだなぁー。と、
まず、思った。
その中で、犬係として参加していた、
北村泰一さん。
犬達を置き去りにした事。
胸を痛め、
第三次越冬隊に志願。
タロジロとの再会。
亡くなった犬達を水葬する場面。
涙涙。
第三の犬ちゃんは、
北村さんを、昭和基地の仲間達を、
待っていたんだね。
映画 南極物語
もう一度見てみようと思いました。
Posted by ブクログ
南極物語で渡瀬恒彦がやってた役のモデルになった九大名誉教授の記憶を辿って、第9次隊が遺体を発見したものの殆ど公になっていない、タロ、ジロと一緒に昭和基地に残っていたであろう「第3の犬」を追う話。物証がないので、当時の記憶と記録を積み上げて、そこから推測するアプローチなんだけど、読後、落ち着いて考えると、質的研究みもあって面白い。
Posted by ブクログ
あの南極観測隊のタロとジロ。置き去りにされながらも生き残った奇跡の二頭のカラフト犬。その生存の影にいた第三の犬の存在を検証するノンフィクション。
映画「南極物語」ほかタロジロの物語は有名。当時、犬を置き去りにせざるを得なく、また次の観測隊メンバーに選ばれ、タロジロと再会を果たしたという犬の世話係、北村隊員にインタビューしながら検証した話。南極観測に当たっての犬ソリ隊の形成に当たる苦労。ヒトとイヌとの信頼関係の形成など、第三の犬の内容がなくても充実した内容の感動作。
タロジロは生き残ったが死んだ第三の犬、どの個体だったかは記録からはわからない。幼い二匹の犬の奇跡の生存。南極観測隊の苦闘と共にカラフト犬たちの存在を後世伝える良質なノンフィクションであろう。