【感想・ネタバレ】京の縁結び 縁見屋の娘のレビュー

あらすじ

第15回『このミステリーがすごい! 』大賞・優秀賞受賞作は江戸の口入屋を舞台にした時代ミステリーです! 江戸・天明年間の京都。働き口や住む場所を紹介する「縁見屋(えんみや)」。代々から続く“徳を積む”という家訓のもと、通りすがりの修行僧や旅人などあらゆる人の世話を焼いている。娘のお輪は父と穏やかな日々を過ごしているが「店の娘は代々男児を産まず早死にする」という噂に悩んでいた。ある日、店に修験者が訪れ、父は男に縁見屋ゆかりの火伏地蔵堂の堂主を任せることに。お輪は「帰燕」と名乗るその男に、なぜか心を惹かれていくが……。悪縁により短命な家系に生まれた不運な娘を救うべく、謎の修験者が施す大いなる“秘術”とは? ふたりの運命は?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

縁見屋(いわゆる仕事の紹介屋)の娘は祟りつきで、男子が生まれず娘は二十六歳で死ぬ言う事を一人娘のお輪が知り、自分の運命に不安を募らせている所へ帰燕と言う名の修行者が現れ、秘術によりその呪われた呪縛と悪縁を断ち切れると言うのだが・・・

その呪縛の始まりや、この謎の帰燕と言う修行者との繋がりなどが後になる程どんどん明かされていき、それとともに物語も京全土を巻き込んだ壮大なものになって、ラストまでずっと引込まれるように読めました。

始めは時代物のような少し固い感じかなって思ったのですが、そんなことはなく、帰燕への恋心や(幼馴染みの徳次はちょっと可哀想に感じたけど) 天狗伝説になぞられたような話しや幽体離脱などファンタジー的な要素もいっぱいあって、とても読みやすく最後まで楽しませてくれました。

それにここに出てくる登場人物にほんとうに悪い人がいなくて、それぞれの人物に好感が持てて良かった。 ただ欲を言えば最後が少し急いでた感があったような感じがしたので、もう少し緊迫感が欲しかったと言う希望が・・・ でも面白かったです。

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2019年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話がまとまってて、最後もきれいに終わってる。
話の方向性は割とずっと重め。

主人公が呪いのようなものを受けていて、なぜ呪われたのかを紐解いてく。恋愛要素あり。

帰燕さんがわりとちょこちょこ手出してるのに、別の男と一緒になれって言うシーンがあって、ちょっと笑ってしまった。

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2023年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「縁見屋の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」
人情小説かなあと思ったら、天狗や修行僧まで、かかわってくる。
京で口入業を営む「縁見屋」の一人娘のお輪。母、祖母、曾祖母がみな二十六歳で亡くなる。縁見屋の歴史とかかわる呪縛はすべて人の思いから重なったもの。
お輪の父は「過ぎたことは気にするんやない。終わったことは二度とは起きん。ええことも悪いことも。せやさかい、今を大事にせなあかん。今を大事にして、きちんと生きておったら、悪いことなんぞ起きんさかい。」を口癖にする。
妻を失い、娘まで失う不安を恐れ、いろんなところへ信心を行う父。能天気なまでの朗らかさも、暗い運命を吹き飛ばそうとする気遣いの姿勢が主人公の強さにつながっています。主人公が「母と子」の思いを知り、自らの祖先の罪を知り、自分の恋心を愛へ帰し、運命を切り開いていく。人助けまでは役行の内、大勢の人の運命を変えてしまうとそれは『過戒』となり、鬼霊まで消え、自らの存在も消える。そうと知りつつも、行者帰燕は、輪のため、京都の大火から人々を助ける指針を示す。だからこそ、帰ってこれたんだと。最後は主人公が選んだ道もよかったと思えました。途中武家のお家騒動の話や嫁姑の問題も出てきますが、それも解決してます。主人公が「縁見屋」を続けてくれることで、大火からの復興とこれからも人と人との絆を結んでいくんだと感じ、読後、ほっとしました。続編もあるよなので読んでみようと思います。

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2021年10月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「縁見屋の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」

京で口入屋『縁見屋』の娘、お輪は度々見る火事の夢が気になっていた。
母も祖母も曾祖母も二十六歳で亡くなったという。
いずれ自分もそうなるのか、世間で噂されている祟りのことをお輪は憂いていた。

ある時帰燕(きえん)という修行者がやってきた。
輪は何故か彼のことが気になって仕方ない。
そのうち、縁見屋の娘にかけられた祟りの所以が明らかになり――。


【このミステリーがすごい】の優秀賞の本作。
解説にもありますがミステリー感は薄いです。ミステリーというよりよく出来た時代小説という気がします。純な時代小説というには語弊があるかもしれません。ファンタジー感もあるので…。
憑依とか魂の離脱とか、現実的ではないですからね。


本作がデビュー作ということですが、これからどうなるのだろうと一気に読ませる力は凄いです。
次作もとても楽しみです。

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2021年08月02日

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