あらすじ
一人のラブドール職人と、彼が一目で恋に落ち結婚した妻との日々を描いたタナダユキの初オリジナル小説。型破りな設定と衝撃的な展開の中で、男女が強く惹かれ合い、そして時間とともに変わっていく感情と関係を繊細に描いた物語は、2008年に雑誌「ダ・ヴィンチ」で連載されるやいなや、多くの話題と共感を呼んだ。その傑作小説がこの度、原作者であるタナダユキ自らが脚本・監督を手掛け映画化された。主人公・哲雄に高橋一生、哲雄の妻を演じるのは蒼井優。変わりゆく男女の感情をリアルに映し出す、美しくも儚い大人のラブストーリー。
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Posted by ブクログ
映画が素敵すぎて、本でも同じ気持ちが味わえたらと思い本を読んでみました。
映画とはまた違ったよさがあり、
活字でも読んで良かったなと思いました。
人生はいつだっていろんな事に気づくのは遅すぎる。
間に合わない事が多い。
すれ違ってしまった事もあったけど、
2人にしかわからない、2人だけの思い出がせつなすぎて。
忘れられない本になりました。
Posted by ブクログ
とても美しい小説だと思う。
〝物作り〟に置いても〝恋愛〟に置いても。
てつおとそのこ。
出会い恋に落ちる。ささやかでも幸せな結婚式。甘い新婚生活は、やがて煩わしさを伴いはじめ、別れる理由はないにしても気持ちはどうしようもなく外へと向かう。恋愛小説にはありきの…秘密、後ろめたさ、息苦しさ、疑い、虚しさ、絶望。
狂気にも思える〝物作り〟への執着。それは今の世界のひとつひとつが誰かの情熱によって作り出した物であると言うこと。
起承転結がはっきりとして、スラスラと読みやすい。ありふれたエピソードと言う人もいるだろう。だけど読めば読むほど色濃く深い。切ない。悔しい。儚い。と私は思う。
『僕』側からだけで描いているのに、園子の心の揺らぎも哀しみも我慢も同性として、もの凄く分かる。
人は結局、失う時にしか大切なものに気がつけないものなのかもしれない。
疑似恋愛を生業としながら、本物の愛に気が付いた僕。
最後のひと言で涙腺決壊。
今年の6冊目
2020.3.17
Posted by ブクログ
ラブドール職人の、妻との出会いから別れまで約10年にわたる結婚生活と、その後を描いた小説。
妻に出会ってすぐに夢中になった時期もあれば、結婚後間もなくして、妻への興味を無くし、家庭を顧みず他の女性に走る時期も描かれている。
クズ男としてトコトン情けない主人公なのだが、夫婦の形を取り戻していく様子や、妻に先立たれた後、狂ったように仕事に打ち込む姿は、クリエイターとしての爆発力と推進力を感じた。
そして、悩みを孤独に抱え、自分に興味を失った夫を待ち続ける妻が美しすぎる。冒頭の一文で、読者は妻の運命を知ることになるのだが、美しく薄幸なイメージを抱いたまま読んでしまった。でも、このような夫婦の修復というか、後悔の無い終わり方もあることに感動した。後悔して亡くなった登場人物もいたので、対照的である。
主人公が最後の海岸で回想にふけるシーンは、寂しくも圧巻のエンディングであった。奥さんへの償いという意味も含めて、その爆発力と才能を、夫婦が生きた証である、究極のドール作りに捧げてほしいと思う。
Posted by ブクログ
人は変わるし怠慢だし必ず死ぬから、当たり前が永遠に変わる前に、時々振り返らなければいけない。
生が死に結び付く感覚があまりにも切ない。しかし、園子の最期は紛れもなく幸せだったと思う。愛し愛されていることを体中で感じながらその時を迎えられたのだから。
生と死も性と愛も、対で等しくて繋がっている。
Posted by ブクログ
ラブドール職人である主人公。
セックスレス夫婦の危機と性愛を描いた作品。
こういう感想でいいのか分からないけど、物凄くロマンティックな物語だったと私は思う。
夫婦のことに他人が口出しするべきじゃないし、二人がいいのならそれでいい。
ラストで二人はとても素敵な夫婦になれたと思う。
Posted by ブクログ
秘密を持つと嘘が増え、嘘はどんどん膨らんでいく。
自分が相手にしていることは、相手もしていると思え。
仕事を話せない気持ちはわからなくないけど、それと裏切りは別の話。
自分は裏切るのに、彼女は自分を裏切らないという根拠のない自信が腹立たしい。
彼女は本当に幸せだったのかな。
もっと別の人と出会っていれば、別の幸せがあったんじゃないのかな。
普段ならあまり思わないことを思ってしまった。
Posted by ブクログ
「妻が、腹上死した」というインパクトある1行から始まる小説ですが、切なくて美しいラブストーリーでした。
みうらじゅんの解説「人間は死ぬことを知って生きている。その悲しみが人形を生み出す」というのはいい得て妙。
Posted by ブクログ
映画を先に観た。
新婚の蒼井優…頑張ってたね。
ラブドール職人って存在を知った。
オートメーションじゃないのね。
映画って、時間制限あるし。
やっぱり原作も読まなくては…と、購入。
何か深いストーリーだった。
夫婦、家族、仲間、色々な人間模様。
しかしながら、原作者って女性っていうのも驚いた。
‘20.04.04読書完了