【感想・ネタバレ】すばらしき日本語のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2020年05月31日

日本語以外ろくに知らないのに、なぜか「日本語は難しい」とか「繊細だ」とか言う人(だいたい年配の人)に会うと、いつもムカッとしていたが(日本人はやさしい、繊細、真面目、頭が良いなども同じ)、こういう風に理論整然と実証しながら反論できたら痛快だなあ。
清水さんは、日本語のわかりやすさ、モヤモヤする表現に...続きを読むついて、なぜそうなのか説明してくれる。
一文が短くて、比喩例が的確で理解しやすい。

「文法というのはルールブックのようなものではありません。文法という名のルールが先にあって、それにしたがってみんながしゃべったり書いたりする、そんなイメージがあるかもしれませんが、違います。文法というのは「あとからこねた屁理屈」です。」(P46)
不祥事があった時、政治家や企業のトップが記者会見で「まことに、あってはならないことで、遺憾に思います」などと言うが、被害にあった方が言うならともかく、被害を与えた方がこういうのは、間違っている。主語は収賄、改竄などの不祥事であって、自分は関係ないよ、と言いたいのである、と。「よく、日本語は主語があいまいだ、などと言われますが、決してそんなことはありません。日本語は、明示しなくても主語がわかるしくみを備えた言語です。しかし、主語を明示しなくてもわかる、ということと、主語をごまかしてもいい、ということは、まったくの別問題です。」(P161)本気で謝る気があるんだったら一人称で謝るべきである、と。
もちろん日本語についての解説も秀逸で、連濁のルールや、「・」と読点「、」の違い(「ナカグロは読点よりも粘着力が強い」P165)、EXILE系によくある「~させていただく」の濫用がなぜおこるのか、など、読んでスッキリした。
うちの近くのスーパーでは、店長が放送で毎日「本日はトマトがお安くなってございます」などと連発していて、いつも「お安くなっております、だろ!」と突っ込まずにはいられなかったのだが、その「ございます」の誤用についても書かれていた。店長、読んでほしい。

猫のことがよく出てくるので、清水さんちの猫見たいなあと、猫欲でハアハアしながら読んだら、最後にブログをしていると書いてあり、ブログも見て、猫たちの姿も堪能できた。可愛いかった。

日本語ネイティブの人と猫好きには特におすすめしたい。

0

「学術・語学」ランキング