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王道トンデモ戦国版「桃太郎」
あらすじ通り桃太郎というおとぎ話を戦国時代に当てはめたらというテーマで作られている。
史実に登場する山陽道の武家の興亡を題材に、滅亡した武家の子を巡る因果な貴種流離譚を描いており、エピローグ含めトンデモ歴史を含んでいるところは歴史小説っぽさも兼ねている。
とはいえ、本筋はエンタメ義侠冒険小説で、出自を知らぬ主人公が同じく居場所を亡くした者達を引き連れ、様々な仇となった鬼を討つ課程は敵味方がテンポよく増減し、RPGゲームのような手軽さはあるものの、よく読ませるものだった。
桃太郎伝説に出てくる犬、雉、猿が一体誰に当てはまるかを考えるのも面白い。もちろん順当に名前から当てはめるのが良いのだろうが、最終的に生き残り、金銀財宝を手にした者は誰かと考えると誰が想定されているのか考えられると個人的に思えたことは、題材がある作品だからこその醍醐味だろう。
25年も前に刊行された作品なので設定展開に少々古いものも感じるが、飽きさせない普遍性があるのも確か。桃太郎伝説をアレンジした作品として中々王道のまま尖っている作品ではないだろうか。