【感想・ネタバレ】桃鬼城奇譚のレビュー

あらすじ

時は戦国――。桃鬼城落城の折に生を受けた太郎丸は、城主であった父桃乃木道政によって一振りの太刀と文とともに川に流される。かつての道政の軍師片岡恫年のもとで修行を積み、立派な若者に育っていた太郎丸だが、平穏だった故郷が突如現れた鬼たちに蹂躙され、復讐の旅に出る。落城以来、鬼の住処となっていた桃鬼城を目指す太郎丸は、旅の途中で知り合った仲間たちと、怨念渦巻く敵地に乗り込むのだが――。第二回歴史群像大賞を受賞した圧巻の戦国伝奇ファンタジー、二十五年の時を経て待望の初文庫化。
本作品は1995年9月に学習研究社より刊行された作品を加筆修正し、改題したものです。(原題 『桃鬼城伝奇』)

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王道トンデモ戦国版「桃太郎」

あらすじ通り桃太郎というおとぎ話を戦国時代に当てはめたらというテーマで作られている。
史実に登場する山陽道の武家の興亡を題材に、滅亡した武家の子を巡る因果な貴種流離譚を描いており、エピローグ含めトンデモ歴史を含んでいるところは歴史小説っぽさも兼ねている。

とはいえ、本筋はエンタメ義侠冒険小説で、出自を知らぬ主人公が同じく居場所を亡くした者達を引き連れ、様々な仇となった鬼を討つ課程は敵味方がテンポよく増減し、RPGゲームのような手軽さはあるものの、よく読ませるものだった。
桃太郎伝説に出てくる犬、雉、猿が一体誰に当てはまるかを考えるのも面白い。もちろん順当に名前から当てはめるのが良いのだろうが、最終的に生き残り、金銀財宝を手にした者は誰かと考えると誰が想定されているのか考えられると個人的に思えたことは、題材がある作品だからこその醍醐味だろう。

25年も前に刊行された作品なので設定展開に少々古いものも感じるが、飽きさせない普遍性があるのも確か。桃太郎伝説をアレンジした作品として中々王道のまま尖っている作品ではないだろうか。

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2020年06月17日

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