あらすじ
東京オリンピックが開催される2020年から25年先の2045年には、人工知能(AI)が人類の知能を超える転換点のシンギュラリティが起きると予測される中、21世紀を生き抜くための子供達に「考える力」を身に付けるための教育をしてこなかった日本の教育制度に警鐘を鳴らす大前研一は、日本の最大の問題点は、質・量を含めた人の問題であり、世界に比べて圧倒的に学び直す社会人が少なく、親や教師も含めた社会人の学び直し(リカレント教育)が必要だと喝破します。
本書の前半では、日本の教育システムの問題点の指摘から、教育改革のあるべき姿や、子供たちの将来に影響を持つ親や教師も含めた学び直し(リカレント教育)に関する提言に加え、答えのない時代の個人や企業にとっての“見えないものを見る力”である「構想力」や今後の「稼ぐ力」のスキルに言及したメッセージの他、論文『雇用の未来』で「10年後には今ある職種の約半分がなくなる」と予言し、世界中から注目されたオックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授との対談記事など、「考える力」の重要性に訴求したメッセージをご紹介します。
中盤では、21世紀を生き抜くための「考える力」を身に付けるための、子供達への学びのパラダイムシフトの教育事例や、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics(数学)などの5つの領域を重視するSTEAM教育、起業家養成、オンラインのプログラミング講座、ビジネス英語の即戦力トレーニングコースなどもご紹介します。
後半には、世界各国でプログラムが導入され、国内でもその導入を政府が推進する「国際バカロレア(IB)教育」関連のシンポジウムで話された一条校(学校教育法第一条に定められた学校)における、IB教育の貴重な導入事例紹介の講演録や体談談、実例紹介など、専門家や現場の教員の方々のインタビューも含めた様々なメッセージをご紹介しており、ビジネスパーソンのみならず、次代を担うであろう子どもたちの学びはどうあるべきかを示唆します。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
リカレント教育も、子どもの教育も、私の現在の興味のど真ん中なので興味深く読んだ一冊。
大前氏とオズボーン氏の対談も示唆に富んでいて面白かった。やはり、自分も学んでアップデートしていきながら子供との学びを楽しめるような環境づくりをしたいと感じた。
後半はインターナショナルスクール、プログラミングスクール、国際バカロレア導入校の紹介だったが、個人的に面白かったのはインターナショナルスクールの章。何となくオランダの柔軟な教育システムが良いな、イエナプランなどが面白そうだなと感じていたが、歴史的な教育手法の研究内容(学校学習モデル、完全習得学習モデル、個別化教授モデル(PSI))や、それらを踏まえて今出てきているパーソナライズドラーニングやアダプティブラーニングというキーワードも知らなかったので勉強になった。
21世紀を生きる子供たちには、必要な知識を効率よく取得し、教室ではより多くの時間を対話やクリエイティブな活動に割くことが求められているし、それらを可能にするための学習をしなければいけない、という点に納得。教育も習得→アウトプットまでのサイクルを早く、たくさん回す時代なんだなと認識。これはリカレント教育でも同じだと思った。
また、インターナショナルスクールでのメリットデメリットと、デメリット回避法について記載があったのも、あまりそのような情報に触れたことがなかったので面白かった。