【感想・ネタバレ】マタイ受難曲のレビュー

あらすじ

荘厳な響きと、雄大な構想により、西洋音楽の歴史において圧倒的な存在感を誇ってきた“マタイ受難曲”。イエスの捕縛から十字架刑、そして復活までの物語を描いたこの作品には、罪を、死を、犠牲を、救済をめぐる人間のドラマがあり、音楽としての価値を超えて、存在そのものの深みに迫ってゆく力がある。いまなお演奏ごとに、そして鑑賞のごとに新たなメッセージが発見され続ける、すぐれて現代的なテーマを秘めている。バッハ研究の第一人者が、バッハの手書き譜や所蔵していた神学書など膨大な資料を渉猟し、ひとつひとつの曲を緻密に分析して本国での演奏にまで影響を与えた古典的名著。

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Posted by ブクログ

単行本の文庫化で、618ページもある大書。

本書の特徴はたった一言で言い表せる。

すなわち、「マタイ受難曲を深く理解したければ必読・必携の書である」ということである。

全曲の対訳から細部の考察まで、マタイ受難曲について知りたければ、とりあえずこの1冊があればOKという素晴らしい書である。

章の「レコード/CDによる演奏の歴史」は、マタイ受難曲の音盤37枚+アルファの寸評になっており、CD選びや、収集、聴き比べをするときに参考になる。私もマタイ受難曲は約60種類の盤を所有しているが、順番に収集していく際に役に立った。

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2022年07月12日

Posted by ブクログ

・礒山雅「マタイ受難曲」(ちくま学芸文庫)を読んでゐる。まだ第2部の途中なのだが、その11章の初めにかうあつた。「長大な受難曲を、バッハがただ平坦に作曲し続けていったとは思えない。《マタイ受難曲》にもおそらく、表現の重点が存在するはずである。バッハは、受難物語のどこに焦点を定めて、作曲の筆を進めたのであろうか。」(377頁)正直言つて、私にはかういふ発想はなかつた。ただ漫然と聴いてゐた。いや、聞いてと書くべきであらう。さういふことは考へずにただ聞いてゐた。内容は二の次、 バッハの音楽だけを聞いてゐた。この少し後に、例のバラバをと釈放者を指名する部分の音楽の、特に通奏低音の「たった三つの音符群にこめたバッハの迫真的な表現を、このように深く感じるとるファンもいるのである。」(392頁)とあるのと比べたら雲泥の差である。私にはそのやうな発想も聞き方もなかつた。 世のバッハ愛好家が私のやうな聞き方をしていゐるのかどうか。たぶん違ふと思ふ。ただ皆が皆、言はば襟を正すやうな聞き方をしてゐるとも思へない。その中間あたりで、曲に合はせてテキスト(歌詞カード)でも読みながら聞いてゐるのではないかと思つたりする。何しろキリスト教とは無縁の人間である。受難曲もミサ曲も鎮魂曲も皆同じやうなものと思つてゐる人間である。私はバッハを、とりわけ宗教曲を「深く感じとるファン」にはなれない。
・本書はマタイ受難曲の総合的な研究書であらう。アナリーゼらしきところはあるが引用譜は少ない。それも最小限である。音楽的な記述はそれほど多くない。 楽譜がないと説明できないとか理解してもらへないなどの部分には楽譜があるが、それ以外には、音楽的記述があつても楽譜のないところがほとんどである。例へばイエスの死の場面、「鳴り響く弔鐘」といふ最初の見出しがくる。「〈ああ、ゴルゴダ〉のレチタティーヴォは、われわれを、まったく新しい響きの世界へといざなう(譜例46) 。前合唱(ト長調)と鋭い対比をなす変イ長調、しっとりとした音色、チェロの奏するピッチカートの響きーーこのチェロのつまびきは、鐘の響きを模倣したものである。」(442頁)ここは譜例がある。「強拍がほとんど七の和音(不協和音)となっているため、この鐘の響きは曇り、くすんでいる。」(同前)といふのも、譜例から分かる。ただし、その響きをこのやうに認識できるかどうか。それでも、この短い楽譜があるだけで分かり易さが違ふ。ここは曲中の「表現の重点」であるからこその楽譜引用なのであらうが、それゆゑに内容的にも重要である。このあたりではその説明も詳しくなる。「覆う暗闇」の部分、ここでは 「昼の一二時」を問題にする。これが「旧約の表象を背景にふまえて」(449頁)からモーゼが出てきて、更に曲中の「三」の象徴に至る。その後の、イエス が私を見捨てたのかと叫ぶ場面ではやはり譜例つき、音楽的な説明も詳しいが、その内容となると更に詳しく、ルターやルター派神学への詳細な言及があり、更 に「なぜ対訳か」などともある。説明も引用も縦横無尽、音楽学だけではとても太刀打ちできない。本書カバーに「本国での演奏にまで影響を与えた」とある。 これほどの書である。これ一冊でマタイのことは分かると言へさうである。私のやうな聞き方の者には思ふだに恐ろしい世界である。これくらゐ書けなければ学問とは言へないのかもしれない。それなればこそ、譜例の少ないのが残念である。本書を読んで、マタイ受難曲のスコアでも買つて1度くらゐはまともに、そしてまじめに聴きたいと思ふことであつた。そんな有益な、正に古典的名著であつた。

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2020年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なぜこの本を手に取ったのだろうか?
もはや覚えていない(笑)

バッハ門外漢の私が、まさか…

でも、面白かった✨
3日程度で一気読みしてしまったf(^^;

ただし、マタイ受難曲を効きたいかと言われると…正直まだわからない( ̄▽ ̄;)

でも、面白かった

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2021年01月15日

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