【感想・ネタバレ】貨幣進化論―「成長なき時代」の通貨システム―(新潮選書)のレビュー

あらすじ

格差と貧困、通貨危機、バブル、デフレ……なぜ「お金」は正しく機能しなくなったのか。四千年の経済史から、「右肩上がりの成長を前提としたシステム」の限界に鋭く迫るスリリングな論考。果たして、マイナス成長時代を生き抜く処方箋はあるのか? 日銀を飛び出した異色の経済学者が辿り着いた「貨幣多様化論」。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 歴史的に順を追って、貨幣制度の基本的な仕組みを解説してくれるので分かりやすかった。

 言ってしまえばただの紙切れ、金属片であるところの貨幣が「価値の乗り物」として機能しているのは何故なのか。金本位制時代を経て、目に見える実物財(金)との紐付きがされなくなった貨幣の価値を支えるものは何なのか。それは「政府の財政力に対する人びとの信頼」なのだということを改めて押えた上で、貨幣の今後を考える。

 マイナス金利と聞くとなんだか異常な感じがするけど、経済成長の停滞に合致した金融政策として、今後さらに増えるのかもしれない。

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2014年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めは、原始的な貨幣制度の解説から始まり、それが銀行券的な貨幣制度に移っていって金本位制になるまでとその後について、歴史を主として、貨幣システムとは何ぞやということが解説されていく。

歴史的な用語や事実関係を経済(中でも貨幣)の視点から確認し直すには、非常にコンパクトにまとまっていて良かったのではないかと思われる。

そして後半に向けて、途中少しつまらなくなるのであるが、最後はまた少し面白かった。

今の貨幣システム、このままでいいのだろうか?という問いかけを常時行っている形なのだが、論旨をまとめると、

今の物価安定金融政策というのは、まずは成長し続ける経済を想定していて、また、自動的にわずかなインフレが進むことを前提として行われている。フィリップス曲線からも、そのような微量のインフレが逆に失業率を抑え世の中を安定化させるには良いということが言える。

そして、そのインフレターゲットに向けて政策を打つ時、テイラールールが基本的な性質を掴んでいて、これはすなわち、自然利子率と政策金利が一致していることが本来の安定をもたらすのだから、自然利子率とインフレターゲット分の利子率を足し合わせた分の金利を設定していけばよいということを簡単に言えば意味している。

しかし、ここでケインズの流動性の罠を思い出して欲しいが、金利はマイナスにはなり得ないのであって、もしもそれら利子率の和がマイナスになった場合、すなわち今の日本のような永続的なデフレ状態になった場合はどうすればいいのか。

また、そもそも、これらの理論は成長を続ける世界の中で生み出されてきたものであるが今後予想される拡大しない経済の中でも当てはまるのだろうか。

もちろん、何事もなくうまくいくのであればそれに越したことはないが、リスクを考えて何かが万が一起こった時の為に新たな政策を考えておくことが必要である、と。

ちなみに、金利マイナスはあり得ないとは言ったけれども、本当にあり得ないのか?例えば、お札スタンプ式を導入するとか、一定の期間が来ると割り引かれてしまうお札を発行するようにするとか、電子マネーも普及してきたことだし、それらのシステムをもちいて実施することができるかもしれない。

であれば、自然利子率と貨幣の金利が自動的に調整されるように、現在のシニョレッジにより中央銀行が利を生み出す体制を止め、銀行券保有者自体がその不利益も負担するような形にすればよいのではないか。

というような内容。

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2010年12月25日

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