あらすじ
格差と貧困、通貨危機、バブル、デフレ……なぜ「お金」は正しく機能しなくなったのか。四千年の経済史から、「右肩上がりの成長を前提としたシステム」の限界に鋭く迫るスリリングな論考。果たして、マイナス成長時代を生き抜く処方箋はあるのか? 日銀を飛び出した異色の経済学者が辿り着いた「貨幣多様化論」。
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Posted by ブクログ
日銀出身者の本は変に感情的なところがなく落ち着いて読めるのがいいところだと思う。金融政策に過剰な期待を寄せる向きには「日本だけがデフレで国益を目減りさせている、早くデフレを止めろ!」と息巻く者が多いが、本書は冷静にデフレが遅かれ早かれ日本だけの問題ではなくなることを指摘している。日本は特殊なのではなくフロンティアを走っているに過ぎないということだろう。また「自然デフレ率」を前提に最適システムを模索することを示唆する辺りは、アベノミクスを経た今読んでも全く色褪せたところを感じさせない。逆に言えば、本書でも繰り返し言及があるように、金融政策には貨幣と物価に関する問題の発生の時間軸を前後ろにずらす効果しかない訳だから、アベノミクス前だろうが後だろうが、いずれは我々は「自然利子率の長期的低下=成長鈍化」という避け難い事実に直面せざるを得ないのだ。
内容は貨幣と各国中央銀行のクロニクルの中で貨幣経済に関する基本的論点に触れていくというスタイル。「そもそも貨幣って?」という根源の疑問にも丁寧に立ち入っていて理解が進む。特にパンの木の島での物々交換経済から国際的な貨幣経済に移行する仮想物語が解りやすい。貨幣価値と株価のアナロジーの指摘も目からウロコ。貨幣経済や金融政策に関する書籍は結構読んだつもりだったが、まずこの本に手を付けていればより理解がスムーズだったのに、と思わせられた。
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ビットコインの騒動、欧州経済危機、アベノミクス、電子マネーの普及など通貨について考える機会が多い昨今、この本はその基本と本質をとても分かりやすく解説していてとても勉強になる。物語から通貨の誕生、市場の誕生を解説。そこから金融と財政の歴史について。最後に現在と未来についてと時系列で順を追って理解できる。経済について学ぶほど、生態系のような複雑な事象が潜んでいることを考えされられる。ミツバチダンスと生態系の多様性に結び付く結論に納得。
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本書は、「貨幣と通貨システム」についての本であるが、とても読みやすくわかりやすい。
「貨幣」について「パンの木の物語」という架空の世界で表現した内容には驚いたが、なるほどこのように読むとその「原理」がわかる。
「金本位制の旅」を読むと、現在当たり前のこととなっている「利子」などへの見方が時代とともに変化してきたこともわかるし、「金本位制」と1930年の大不況時代の経済政策なども理解しやすい。
しかし、歴史では「ブロック経済」についてはその後に戦争を招いた悪しき政策のように教えていたと思うが、本書で読むその評価は「自由貿易の世界では財政による景気刺激を行っても効果の一部は他国に流出して・・・ブロック経済はそれを回避させる効果はあったのです。実際、ブロック経済と財政出動のセットを選択した国々は、ほぼその順番に景気を回復させることに成功しています」とあるのには驚いた。
日本の戦後の高度成長についても、「空襲などに対して優先的に疎開保護されていた資本財生産設備はあまり被害を受けていない」と、興味深い指摘をしている。
また、本書は2010年9月の発行だが、驚く程現在の「黒田日銀」下でのアベノミクスの現状を予見しているように思える。
「おわりに-変化は突然やってくる」には、「いつしか私たちは日本の最大の問題はデフレだ、デフレの問題さえ解決すれば良い日が戻ってくる、そう思い込むようになってきています。今のデフレから抜け出しさえすれば次は穏やかなインフレになる・・・しかし別のもっと悪いシナリオに落ちてしまうことはないのでしょうか。・・・穏やかなインフレではなく、急激なインフレかもしれません」とは、恐ろしい予言ではないだろうか。
「貨幣」や「金本位制」、「金融政策」やその歴史などは極めて専門性が強く、関心はあってもなかなか理解しにくいが、本書は、その専門的な内容をわかりやすく紹介していると高く評価したい。
Posted by ブクログ
「お金」というものが、どのような仕組みで成り立っているのかを、シンプルなたとえ話や現実の歴史など多角的な視点から解説してくれる本です。
金融政策がニュースになることが非常に多い昨今ですが、財政政策に比べてなかなか理解が難しいところがありました。が、この本を読んで、ある程度理解を深めることができました。
でも、やさしく書いてくれていても、やはり難しいものは難しいですが。
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貨幣の成り立ちから歴史を辿り、現代まで俯瞰しながら貨幣と世界経済の今後について考えるという内容の本。
数式はナシ、講義のような語り口で経済学の門外漢を意識した作りになっていて読みやすい。内容が内容だけに難しくはあるけど、知的刺激になった。著者の他の本も気になるところ。
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貨幣進化論というタイトルが付いているものの、それに触れているのは最終章のみ。しかし、金本位制やブレトンウッズ体制などの基礎的な議論を丁寧にフォローした上で、経済学的な知識を差し込む展開は見事。最終章では、デフレが所与となった場合の「緩やかなデフレ」の後に起こる「激しいインフレ」への備えやマイナス金利の導入などに言及。非常に面白いパースペクティブを得られる。
Posted by ブクログ
貨幣や通貨が素人の人にもわかりやすく解説されている良書だと思いました。ただ一つ文句を言うとしたら、第1章の架空の島の物語は質が低い。私は個人的に、このくだりは不必要かつ本の水準を落としていると思いました。そして第2章から金本位制への道が示され、第3章ではついに貨幣の価値が金から離れて、変動相場制の通貨システムへといたる歴史が説明されていました。貨幣の価値が金という実態から離れても問題なく流通した背景には、その貨幣を発行している政府に対する信頼があるからです。そして第4章では、我々の経済の前提が変化しつつあること、成長ではなく横ばいあるいは収縮が当たり前になる世界においては、これまでのような「インフレとプラス成長を前提にした貨幣制度」は修正すべきという主張がなされます。
素人的に納得感があったのは、インフレターゲットはインフレ時にこそ有効な策であって、デフレ時にはいわゆるシルビオ・ゲゼルが提唱した「減価する貨幣」つまりマイナス金利が付く貨幣制度を導入することでデフレを制御できるのだ、という主張でした。ゲゼル型貨幣は管理が極めて複雑になりますが、デジタル化が進んでいる社会においては実現可能であること、またさらにいえば減価させるだけでなく、いざとなれば増価させることもできるような「全天候型貨幣」を生み出すべきという主張は興味深く感じました。思考実験という意味でも頭の体操になりますし、正しい/正しくないという軸からではなく、社会の前提が変わりつつある時代の貨幣はどうあるべきか、という問いを考える意味で多くの気づきがありました。
Posted by ブクログ
人類史の中で貨幣システムがどのように出来上がったのか、そして、今の中央銀行による金融政策やシニョレッジ(通貨発行益)が、どのような時代背景のもとで可能になったかを、興味深く読めるようにまとめてくれている本。
「我々の通貨制度は成長とインフレを前提にしている」という主張には驚きを感じた。
ぐんぐん読み進められる一方で、ちゃんと理解するには骨が折れそうな本だという印象は、先日読んだ「金融政策に未来はあるか」と共通する。
余談ながら、各所に出てくる喩えなどから、著者の岩村さんの「知識人」的空気を感じる。
Posted by ブクログ
貨幣は、価値の乗り物。
貨幣の進化
パンの実、美しい貝殻、貴金属、兌換紙幣、不換紙幣。
自然利子率=お金の利子ではなく、モノの利子=モノを貸し借りした時に一年後にどのくらい増えたら文句がないか。
シニョレッジ=鑑定料=貨幣発行権=シニョールとは領主のこと。
旧約聖書では利子を禁じている。利子は神の時間が産んだモノ。ただし異教徒への貸付はとっても構わない。=ユダヤ教徒に金貸しが多いのは、異教徒が多いから。ただしリスク・プレミアムの部分はよい=インテレッセ=インタレストの語源。
初穂料は、種籾のお礼としての利子と同じ。
江戸時代はゼロ成長だったため、時々徳政令でリセットしないと、偏った社会が収まらない。
ゲゼルのスタンプ付き貨幣=現金にマイナス金利をつけることができる。
自然利子率は資本の限界効率で決まる。
レンテンマルクの奇跡=5日間でインフレが収まり、その後はワイマールの黄金の日々、とよばれる繁栄があった。
フランスではポワンカレの奇跡=為替相場を操作しておいてフラン安のときに新平価で金兌換に復帰した。ポワンカレ予測のポワンカレは従兄弟同士。
日本とイギリスは、対戦前の平価で金兌換に復帰。しかし高金利にせざるをえなかった。
アメリカはロアリングトゥエンティーズ=雄叫びの20年代=1920年だいのアメリカは世界の経済大国になった。
高速道路、映画、ラジオ、電話、水道、T型フォードなど。
暗黒の木曜日で、イギリスと日本に通貨売り圧力。
金兌換離脱。最後にフランスも離脱してブロック経済化。ブロックの拡大競争が第2次大戦に。
プレトンウッズ体制では、金と交換できるのは通貨当局だけ。
トリフィンジレンマ=基軸通貨であるためには信任が必要。しかし国際決済に使うためには十分な通貨が供給されなければならず、国際収支は赤字になるはず。プレトンウッズ体制は矛盾がある。
BISは第一次世界大戦後のドイツの賠償金の受払機関として発足、BIS規制とは、実質的にBISが会議室を用意した会議、といった程度のもの。
パンコールとSDRの違い=パンコールは決済のために貸与されたもの。SDRは与えられたもの。
ドイツのハイパーインフレは、インフレというより貨幣崩壊のようなもの。
日本の戦後インフレは、凍結されていた預貯金が一斉に不足する生活物質に向かったため。通貨の信任が失われたわけではないから、貨幣崩壊ではない。
ドッジ・ライン=IMFの政策と似ている。
朝鮮戦争の特需。
スターリン暴落。
高度成長。
民生財生産設備は破壊されたが、資本財生産設備は優先的に疎開していたため、温存されていた。
1ドル360円は最初はきつかったが、だんだん楽になってきた。最初は国際収支の天井に成長を抑えられた。
現代の貨幣は、政府への信頼が貨幣価値をつなぎとめている。
穴をほって埋める公共事業でも景気対策になるか。=ヘリコプターマネーが有効か、と本質は同じ。お金をばらまいたあと、それを人々がどう判断するか。貨幣錯覚がどう働くか。
貨幣のネットワーク効果。一般受容性。=統合のベクトル
離散のベクトル=マイレージ、ポイントカードなど。
ハイエクの貨幣発行自由化論。貨幣発行にも信用創造の競争をさせる。
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金が貨幣そのものだった時代から、金本位制への移行。第二次大戦後のブレトンウッズ体制とそれを放棄すると宣言したニクソンショック。貨幣が誕生してから今までの歴史がまとめられた本。
タイトルの「進化」の部分。著者はユーロのように通貨を統一するのではなく、貨幣が競い合う世界設計する必要があると言う。『良貨は悪貨を駆逐する』
Posted by ブクログ
岩村充著「貨幣進化論」新潮選書(2010)
*現在の貨幣制度は管理通貨制といって、貨幣価値の体系の中に金を介在させません。貨幣を発行する仕組みそのものへの信用によってささえようというシステムなのです。それは第二次世界大戦中の1944年に開かれた国際会議、いわゆるブレトンウッズ会議での合意に始まるものですが、現代の貨幣が金と完全に縁をきったのは、1971年のニクソン大統領がドルと金との交換を停止すると宣言した「ニクソンショック」からです。
*需要と供給「みえざる手」 アダムスミスは国内の勤労の維持に自分の資本を用いる人はみな、その生産物ができるだけ大きな価値をもつような方向に持っていこうと、おのずから努力する、としたうえで生産物が最大の価値をもつように産業を運営するのは自分自身の利得のためである。金本位体制の下で中央銀行が金準備を守るべく行動すれば、経済の巡航速度は維持される、きん準備が安全装置あるいは自動安定装置のように働くという思想は、要するに彼の見えざる手の応用だと行っても良い。そうした見えざる手がきちんと働くためには、人々は市場で取引される商品の質を自身の価値観に照らして信念をもって評価し、そして値段をつけなければならないということです。
*超特大という意味のハイパーという、ハイパーインフレ。その本質は財政機構の崩壊からくる貨幣への信用消滅という方がふさわしく感じます。
*フリードマンが提唱したのが、マネーサプライの伸びを一定に保つ金融政策をルールかすることだが、彼の主張の根底にあるのは、政府や中央銀行などの政策当局にたむろすハーベイロードの人々が市場すなわちマー^ケットで暮らす普通の人々に比べて賢いという証拠がどこにあるおか、大不況機を含む米国の経験からみて彼らは成功よりも失敗のほうがおおいではないかというおもいだった。本質は、財政にせよ、金融にせよ、政策当局者が裁量的に経済政策を運営するのではなく、明確なルールを作って運営し、人々の将来に対する予測可能性を高めようというところにあった。マネーサプライという管理は付帯例として推奨していたにすぎない面があるように思える。フリードマンはブレトンウッズ体制には本質的には無理があることを早くから見通し、変動相場制以外nは世界の通貨制度には答えがないはずだと解いていた。
*大戦前の金本位制では、各国の通貨がそれぞれ金との間に平価を設定し、それを比較することによって、為替レートが決まっていた訳ですが、ブレトンウッズ体制では、金との間に平価を設定するのはドルだけにして、他の通貨はそのドルとの間で為替レートを決めるというやり方にしたわけです。金本位制の拡大とは違う大きな点として、この体制では誰もがドルを金貨に交換できるわけではないということです。つまりこの平価でドルを金に交換できるのはこの体制に参加している国の通貨当局に限られます。
*ケインズは第二次世界大戦間もなく1946年になくなりましたが、彼が展開した理論には、物価が下がり続け金利もゼロに近いゾーンに張り付いてしまう大不況期のような状況では、失業が所得の減少を招き、所得の減少がさらなる失業をおこすという悪循環が生じてしまう、だからそうした悪循環をともかく断ち切る必要があり、それには政府による需要創出、つまり財政出動が有効だということである。ケイジアン的な政策は要するに財政のばらまきですから開始は歓迎されますが、終了は困難です。
*現代の通貨制度の仕組みはよけいな飾りを全部とってしまえば、実は簡単です。貨幣という仕掛けを支えているのは、ファンダメンタルズを提供して長期的な貨幣価値を支えている政府という役者と金融政策を通じてその時間軸上の配分を決めている中央銀行という役者の役割分担なのです。政府が貨幣価値の長期的な水準を決め、中央銀行がその時間軸上での坂を決めるのです。
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Posted by ブクログ
はじめに
第一章 パンの木の島の物語
一 物語の始まり
二 貨幣という発明
三 最後の日の貨幣
第二章 金本位制への旅
一 利子は罪悪か
二 金貨から銀行券へ
三 金融政策が始まる
四 戦争の時代に
五 金本位制の舞台裏
第三章 私たちの時代
一 ブレトンウッズの世界
二 私たちの時代
第四章 貨幣はどこに行く
一 統合のベクトルと離散のベクトル
二 貨幣はどこに行く
おわりに——変化は突然やってくる
パンの木の島からの話しからつまづいてしまった。全体的な内容はちょっとした知識があったのであれば読みやすかったのであろう。
再度チャレンジする。
Posted by ブクログ
歴史的に順を追って、貨幣制度の基本的な仕組みを解説してくれるので分かりやすかった。
言ってしまえばただの紙切れ、金属片であるところの貨幣が「価値の乗り物」として機能しているのは何故なのか。金本位制時代を経て、目に見える実物財(金)との紐付きがされなくなった貨幣の価値を支えるものは何なのか。それは「政府の財政力に対する人びとの信頼」なのだということを改めて押えた上で、貨幣の今後を考える。
マイナス金利と聞くとなんだか異常な感じがするけど、経済成長の停滞に合致した金融政策として、今後さらに増えるのかもしれない。
Posted by ブクログ
最初の章にストーリーを持ってきて、その後にそれを前提条件として議論のたたき台にするという手法がこんなにうまく回る本というのは初めてよみました。意欲的な内容だな、と思うのと同時に金融・貨幣論が生活そのものに直結しない人にも入りやすいように歴史的なストーリー(実例)を参照しながら進めていくというのも良かったと思います。たぶん高校生とかでもちゃんと読み込む力があれば非常に面白く読める本だと思います。
第3章の日本の事例(WW2から戦後にかけて)のあたりなどは、現在の問題の根幹であるだけでなく、直近の東日本大震災における経済・金融を生業としている人間の立ち位置や役割、金融政策や復興計画を考える上でも気になる箇所でした。
Posted by ブクログ
第1章は本質のみ取り出したモデルを活用して、平易にたとえ話も含んだ話しだったので理解できたのですが、第2章からはちょっと。。世界の金融の歴史をよく勉強されてる方なら理解できるのではないかと思います。また必ず挑戦したい一書。
Posted by ブクログ
初めは、原始的な貨幣制度の解説から始まり、それが銀行券的な貨幣制度に移っていって金本位制になるまでとその後について、歴史を主として、貨幣システムとは何ぞやということが解説されていく。
歴史的な用語や事実関係を経済(中でも貨幣)の視点から確認し直すには、非常にコンパクトにまとまっていて良かったのではないかと思われる。
そして後半に向けて、途中少しつまらなくなるのであるが、最後はまた少し面白かった。
今の貨幣システム、このままでいいのだろうか?という問いかけを常時行っている形なのだが、論旨をまとめると、
今の物価安定金融政策というのは、まずは成長し続ける経済を想定していて、また、自動的にわずかなインフレが進むことを前提として行われている。フィリップス曲線からも、そのような微量のインフレが逆に失業率を抑え世の中を安定化させるには良いということが言える。
そして、そのインフレターゲットに向けて政策を打つ時、テイラールールが基本的な性質を掴んでいて、これはすなわち、自然利子率と政策金利が一致していることが本来の安定をもたらすのだから、自然利子率とインフレターゲット分の利子率を足し合わせた分の金利を設定していけばよいということを簡単に言えば意味している。
しかし、ここでケインズの流動性の罠を思い出して欲しいが、金利はマイナスにはなり得ないのであって、もしもそれら利子率の和がマイナスになった場合、すなわち今の日本のような永続的なデフレ状態になった場合はどうすればいいのか。
また、そもそも、これらの理論は成長を続ける世界の中で生み出されてきたものであるが今後予想される拡大しない経済の中でも当てはまるのだろうか。
もちろん、何事もなくうまくいくのであればそれに越したことはないが、リスクを考えて何かが万が一起こった時の為に新たな政策を考えておくことが必要である、と。
ちなみに、金利マイナスはあり得ないとは言ったけれども、本当にあり得ないのか?例えば、お札スタンプ式を導入するとか、一定の期間が来ると割り引かれてしまうお札を発行するようにするとか、電子マネーも普及してきたことだし、それらのシステムをもちいて実施することができるかもしれない。
であれば、自然利子率と貨幣の金利が自動的に調整されるように、現在のシニョレッジにより中央銀行が利を生み出す体制を止め、銀行券保有者自体がその不利益も負担するような形にすればよいのではないか。
というような内容。