【感想・ネタバレ】貘の耳たぶのレビュー

あらすじ

自ら産んだ子を「取り替え」た、繭子。発覚
に怯えながらも、息子・航太への愛情が深ま
る。一方、郁絵は「取り替えられた」子と知
らず、息子・璃空を愛情深く育ててきた。そ
れぞれの子が四歳を過ぎた頃、「取り違え」
が発覚。元に戻すことを拒む郁絵、沈黙を続
ける繭子、そして一心に「母」を慕う幼子た
ち。切なすぎる「事件」の、慟哭の結末は……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

繭子は自分で産んだ子どもを、同じ日に産まれた郁絵の子どもと取り替えてしまう。
繭子は事実を隠したまま、郁絵は我が子を取り替えるられたとは知らず4年がすぎた。
あるきっかけにより取り違えが発覚。

郁絵の「残念だったね」一言がきっかけだった。
繭子は分娩に時間がかかり自然分娩から帝王切開になったのだった。
一方郁絵は45時間以上の陣痛に耐え、出血多量になりながらも自然分娩で出産。
繭子は我が子をこんな自分が育てたら不幸、我が子には幸せになってほしいと取り替えてしまう。
第一章は繭子、第二章は郁絵の目線
どちらの母の気持ちもわかるだけに辛い。
できればこのままバレずに…バレても繭子の仕業とバレないように…そして子どもたちが傷つかないように…
この2人の子どもたちはどのように育つのか気になる。その後の繭子も気になる。みんな幸せになっていてほしい。
自然分娩と帝王切開、子どもを産むことに違いはないのに、面倒くさいこと言う人たちがいるおかげで
翻弄されてしまう母たちがいるんだよね。

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2023年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

取り違え出産の話。どうか、リクにもコウタにも幸せになってほしい。リクが結果的に繭子の元へ行かなくてよかったと思う。コウタと父親の玄関先で離れ離れになるシーンでは涙が出そうになってしまった。最後に、繭子視点のストーリが欲しかった。取り違え発覚以降の繭子の心情がどうだったのか気になる。

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2022年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなにも読むのが辛く、苦しい本は読んだことがないです。
同じ歳くらいの子どもを持つ母親として、そしてどちらかといえば(自分は母親になるべきじゃなかったのでは?と思う意味では)繭子寄りの自分にとっては共感なんでしょうか、震えるほど怖くなりました。
自分は大丈夫だと思う一方で、自分の子供がいなくなる恐怖を背後に感じながら、自分の子供が泣いている姿を思い浮かべながら読んでしまったので、本を読んでいるのが電車の中だったとしても涙目だったと思います。
本当に辛くて帰ってからは焦るように子どもを保育園に迎えに行って、抱きしめました。

実際に自分が他の子と取り替えをするかといえばたぶんしないけど、してしまうほどに追い詰められる気持ちは出産したからこそわかります。まだ母親になりきれない自分がこの子を本当に幸せにできるのか?そう思いながら私も育児をしてきました。
保育園でしっかりしている子を見て働く人を羨む気持ちも、本当はもっと子どもと一緒に過ごすべきなのでは?と思う気持ちもどちらもわかります。そして、いつか終わりが来るということを常に感じていないと子供との時間を本当に大切に出来ない皮肉も感じます。

私が思う母であることの辛さが全部詰まってる本でした。繭子がタグを取り替える前に踏みとどまる世界線を想像して幸せを願ってしまいます。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

繭子に自然分娩以外を否定的に伝えてしまった助産院は非常に罪な事を言ってしまったと思う。その一方で郁絵の義母が言った、帝王切開での出産は赤ん坊へのリスクを母親が引き受けてあげるのだといった肯定的な言葉を繭子が聞いていたらどうだったのか。
繭子と郁絵はそれぞれに悩みを抱えながら子育てに邁進しており、頭が下がる思いで読んだ。ハッピーエンドになることはないと分かっていてもどこかに皆が幸せと感じる落とし所はないかと読み終わった今でも思わずにはいられない。
繭子も郁絵も素敵な母親であったと思う。

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2024年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

赤ちゃんの取り違え。
皆が辛い結末。わかった以上交換するのも辛い。しないのも辛い。子供も親も辛い。
仮にここで発覚しなかったとしても、やっぱり子供はこの先の人生でなんかしっくりこないことがあったりしたのかな。
その後が気になる。辛いことがあった分、幸せな人生を送って欲しいけど。

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2022年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実際、自分が母親になり子供が4歳の時に取り違えが発覚したら最初は血の繋がりなんて関係なく、生まれてから4年間必死に育て上げた息子を手放すなんて考えられないのだろう、という気持ちで読んでいた。だが、途中に出てくる郁絵の母親の"自分の子供がこれから小学校、中学校へと上がりそこで虐められるかもしれないし逆に虐める立場になり相手を死に追い詰めてしまうかもしれないその時、血の繋がりを無視して応じれるのか"といった言葉に深く感心した。その文を読み、私は子供のためにも自分のためにも相手の家族のためにも、交換するべきだ、と思った。

自分の子供はいくら4年間他の親に育てられたからといって自分の子でなくなることはない。血の繋がりがある以上、容姿や性格の本質的な部分は実際自分を産んだ親に似るのだろう。

この本は繭子と郁絵の2人の視点から書かれていたが一冊を通して非常に心が揺さぶられた本だった。
内容は正直重かったし終わりもスッキリはしなかったが、事を理解できない子供や親の複雑すぎる心境が表されていて読んでいていくつかの部分で泣きそうになった。

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2022年03月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

母による子供の取り替え。何でそんなことするのかな?そこが理解できず、そんなことしたらそらそうなるよね、という登場人物の誰もが心から幸せを感じられないというイヤミス。時間が解決してくれることを願います。

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2021年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『ねえ、ママに、つたえて』『ぼく、だいじょうぶじゃないよ』 物語を開いた瞬間から心をどこに持っていたらいいのかわからなくなった。震えて読んだ。産まれたばかりの我が子を見て恐怖を感じた繭子の思いが痛い程わかってしまったから、もう震えて読むしかなかった。繭子の章。郁絵の章。じわりじわりと物語が取り返しのつかない渦へと飲み込まれていった。

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2021年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読みごたえはありました。
内容は背表紙に紹介されていた通り。
「自ら産んだ子を「取り替え」た繭子。発覚に怯えながらも息子・航太への愛情が深まる。一方、郁絵は「取り替えられた子」と知らず、息子・璃空を愛情深く育ててきた。
それぞれの息子が四歳を過ぎた頃「取り違え」が発覚。元に戻すことを拒む郁絵、沈黙を続ける繭子、そして一心に「母」を慕う幼子たち。切なすぎる「事件」の慟哭の結末は・・・」

芦沢央の作品でこの気分は初めてであるが、イヤミスであればもやもやが残るのもしかたないのか。
面白くないわけではない。

郁絵の「残念だったね。普通に産めなくて」という言葉で、実の母の「あなたがひとりで育てられるわけがないでしょう」繭子には打ち消してきた不安が確定してしまう。
その前にも助産院で「自然なお産。本当のお産をすることで女性は母親になれる。うちで産んだ人で赤ちゃんがかわいく思えない人なんかひとりもいませんよ」という言葉も覆いかぶさる。その助産院にはお産の予約を入れなかった。
人それぞれ考えはあろうが、帝王切開でしか産めない人、母乳の出ない人もいるので根拠のない神話を押しつけるのはどうかと思う。

繭子は30時間を超える陣痛に耐えかねて、帝王切開に切り替えた。帝王切開の基準は満たしているので、自然分娩に失敗したわけではない。
30時間と一言でいうが痛い1分はとてつもなく長い。
1分が長いのに30時間なのだから。
医師だって30時間横に待機なんかしていない。状況が変われば見に来るだけなので、立ち合いも廊下で待っている家族もいない繭子はひとりで頑張ったのだ。
そして、痛い、つらい、苦しい。帝王切開の後がこんなに痛いなんて知らなかったと更に術後の痛みが繭子を襲う。

私は帝王切開だったが、4日間はいろんな管でベッドに縛り付けられ、トイレさえ行けなかったので、時代が変わってすぐに新生児室に行くのだなあと思ったが、繭子の産院も母子別室なのは「おかあさんをなるべく休ませるため」なので、行かなくてもよかったし、自分の赤ちゃんの顔がどうしても見たいとも書かれてなかった。
そして「ベッドのプレートがなければ自分の赤ちゃんがどの子かさえ私にはわからない」とまた落ち込む。
「誰だってわからないってば」と思わずツッこむが繭子には聞こえないよね。

「取り替え」のために新生児室に行ったのではないが、郁絵の赤ん坊がたった210g体重が多いだけでも「この子は残念な子なのか」と負の烙印を捺すばかりである。

「取り替え」てしまった後、「言わなければ」と思うのに言えない状況。これで「わかってしまう」と怯える気持ちと「わかってほしい、楽になれる」と思う気持ちが揺れ動くあたりも感情移入ができる。この心理状態ならそうだろうなと。
早く発覚して元に戻さなければいけないと焦るのだが、日が経つにつれ自分からは告白できずに「だれか気づいて」と願うばかりになる。

「どうして産みさえすればどうにかなるって思ってしまったの」という気持ちも幾度も出てくるのだが、
ひとつめの疑問は、「産まない選択肢はあったのか」ということ。
弁護士の義父、パイロットの夫、避妊や中絶って協力してくれそうにないけど。

ふたつめの疑問は「取り替え」たら「育てられるの」か。捨て子をしたわけじゃないのだから、取り替えたら郁絵の産んだ赤ちゃんを繭子は育てるのである。
育児ノイローゼになりそうないやいや期の壮絶さも含めて。
それを作家は書いていない。
郁絵さんなら保育士だし立派に子育てができるだろうと繭子が思っていることはわかるが、郁絵の子供だから何の問題もなく自分でも育てられるなんて考えがよぎることすら書いてない。

そして4歳で取り替えは発覚する。
産院の取り違えとして・・・
ここからは郁絵の物語だけになる。
今まで育ててきた璃空をどうしても手放したくない郁絵は、自分の産んだ子は選んでやらないのかと言われて悩むが、繭子にべったりな実の息子航太をみて、引き離せるわけがないとも思う。
交換したら別の土地で暮らし、二度と会えないことも郁絵が漠然と隣に住んでお互いの子供二人を二組の父親と母親で暮らせればいいななんて思っていたが、そうすれば、こどもたちはいつまでも前の親を忘れないだろう。
4年間の間に、そして交換までの間にとりこぼしたことはないかと哲平も璃空が忘れてしまっている2年前の約束の花火を冬空の下でしてみたり、いきなりあなたのお子さんではありませんと言われた夫婦ってこんなのだろうかって描写が丁寧である。

みっつめの疑問は、「取り違え」が発覚した時の繭子側の家族の反応や暮らしが一切書かれていないこと。
「違ったんですか。交換します。別の土地に住みます。新学期に合わせて顔合わせやお泊りなど準備していったほうがいいですね。産院は良心的な補償を考えていますよ。示談がいいと思います。」意向は郁絵たちに産院の弁護士を通じてもたらされるが、彼らの言葉では語られない。
別れまでの数か月を繭子の夫や両親、義父母は何を思ったのか。そちらも描いてほしかった。

結末は繭子の母が示談になんてしない、裁判にする、お金だけ払って罪にならないなんてずるいとわめきだしたので、繭子は自分が取り替えたのだと告白する。
この後の繭子側の家庭は何を思ったのか事情は聞いてくれたのか、何も説明がなく、繭子と離婚したこと、繭子には二度と航太を会わせないこと、こうなったらこの子もそちらで育てて頂いた方がいいのでしょうねと郁絵たちのもとに航太を捨てにくるのだ。
航太は繭子が「これが悪い夢を食べてくれるからね、大丈夫よ」と持たした獏のぬいぐるみを抱いている。

「ママ、ママ」と張り裂けんばかりに泣き続ける航太。
そしてごみ箱にぬいぐるみを棄てる。
「おばさん、ママに伝えて。ぼく、大丈夫じゃない。大丈夫じゃないよ」
4歳児の記憶は薄れるとは思う。
すっかり忘れることはなくて、何かいつも自分は捨てられるというトラウマがこの子に残る気がして
読み終わった感のない小説でした。

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2022年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本を読んで1番感じたことは「人にはどんな背景があるかわからないんだから、余計なことは言わない方がいい」ってことかなあ。

帝王切開だったことを「残念だったね」って、私だったら「は? 何が残念なわけ? うるせえなコノヤロウ」と思うだけだけど、とことん気にしちゃう人はいるだろうから。

それにしても産まれたてとはいっても、一度見た、しかも写真撮っておいた赤ちゃんがかわってることに気づかないかね?郁絵の旦那よ。
とはいえ、入れかわってしまった子をいまさら交換なんて、想像を絶する辛さだろうし、なにより子供たちがかわいそうでならなかった。

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2021年07月28日

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