【感想・ネタバレ】老乱のレビュー

あらすじ

老い衰える不安をいだく老人と、介護負担で疲労困憊の家族。介護する側の視点だけでなく、認知症の老人の心の動きをリアルに描き、親と子の幸せを探る。在宅医療を知る医師でもある著者が描く、書評・テレビでも話題になった認知症小説。解説は最相葉月氏。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最後は涙。

お嫁さんすごいよ。最初からちゃんと舅さんの心配して、これでいいのかって自問自答して。
ちゃんと施設にも通って、介護して。
私だったらどう?義母はもちろん、両親ですらできる気がしない。
両親のことは憎んでいるから。
そうするとこれから先介護が必要になった時どうしたらいいんだろう。
穏やかな気持ちで見守ることができるだろうか。
作者さんが番組で、楽に死ぬ準備をするって言っていたけど、認知症だとなかなかそうもいかないよね。
自分がなったら嫌だなぁ。迷惑かけたくないってやっぱり思う。
長寿はいいことなのかな。


ラスト
十二月二十日、午前三時五分。
ベッドサイドにはだれもいない。
夜明け前のしんとした闇が、幸造を包んでいる。

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2026年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ー久坂部羊『老乱』を読んで――認知症になっていく本人は、何を感じているのか

久坂部羊の『老乱』を読んだ。

この小説には、主に三人の人物が登場する。認知症が進んでいく父親と、その息子である夫、そしてその妻だ。夫婦の母親はすでに癌で亡くなっており、父親は一人で自宅生活を続けている。

その父親が、少しずつ認知症になっていく。

小説は、父親の側と、父親を介護することになる夫婦の側、それぞれの視点を行き来しながら進んでいく。

読んでいて最初に気になるのは、やはり介護する側の夫婦の気持ちだった。

親のことを心配しながらも、自分たちの生活がある。父親の言動に腹を立てたり、困惑したり、どう対応すればいいのか悩んだりする。

介護する側の大変さについては、これまでもいろいろなところで語られている。だから、この小説を読み始めたときも、私はどちらかというと夫婦の側に気持ちを置いて読んでいた。

ところが、読み進めるうちに、別のことが気になってきた。

ー 認知症になっていく本人は、一体何を感じているのだろう。ー

この小説では、父親が認知症になっていく過程が、父親自身の感覚や考えを通して描かれている。

本人にとっては、自分がおかしくなっているという自覚がある場合もある。昨日までできていたことができなくなったり、自分では普通に話しているつもりなのに周囲から否定されたり、何かを忘れてしまったことで周りから叱られたりする。

しかし、本人からすれば、それにはそれなりの理由がある。

こちらから見ると「認知症の人の不可解な行動」に見えることでも、本人の中では筋が通っていることがある。

そこを、この小説はかなり考えさせてくれる。

認知症について考えるとき、私はこれまで、どうしても「介護する側は大変だ」という視点に偏っていたように思う。

もちろん、実際の介護が大変であることに変わりはない。

しかし、『老乱』を読んでいると、もう一つの視点が見えてくる。

それは、**「認知症になっていく本人も、自分の身に起きている変化に戸惑いながら生きているのではないか」**ということだ。

自分では普通にしているつもりなのに、周囲の反応が以前とは違ってくる。

何かがおかしいとは感じても、その原因が自分の認知機能の低下だとは分からない。

そして、自分の世界が少しずつ変わっていく。

そんな状態になったとき、高齢者本人は何を考え、何を感じるのだろう。

この小説を読んで、そのことを以前より具体的に想像できるようになった気がする。

『老乱』は、介護する側の苦労を描いた小説であると同時に、**認知症になっていく本人の側に立って考えるきっかけを与えてくれる小説**でもあると思う。

認知症というと、つい「どう介護するか」「どう対応するか」という側から考えてしまう。

でも、その前に、「本人にはどう見えているのだろう」と考えてみる。

この小説を読んで、その視点を持つことの大切さを感じた。

認知症を扱った小説はいろいろあると思うが、『老乱』は、認知症になっていく高齢者本人の気持ちを想像するという意味で、読んでみる価値のある一冊だと思う。

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2026年08月10日

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