あらすじ
母と娘の新しい物語。
小学館児童出版文化賞受賞作家による、受賞後第1作目。
『ある晴れた夏の朝』で内外から注目された小手鞠さんの書き下ろし新作。
ある日、幼いころに両親が離婚し離れて暮らしていた母のノートが窓香の元に届く。ノートには、母がどのように生きていたのかがつづられていた。そして、世界の窓がひらかれている。一人の女性である母の生き方を知ることで、大きく成長する少女を描く。
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Posted by ブクログ
窓香は、父と祖母と日本で生活をしている。両親は、窓香が八つの時に離婚し、母はアメリカで夢を追うことを選んだ。
ある日、中学校から帰ってくると、外国から小包が届いていた。
封筒を開ける前から、窓香は、確信する。
このなかに入っているのは、母に関係している「何か」に違いない、と。
中から出てきたのは、明るいあざやかなピンク色の一冊のノート。
表紙にも、裏表紙にも、全面で刺繍がされてある。
開けてみると、何年も目にしたことがなかった、大好きなマミーの文字が並んでいた。
ノートに書かれた母の切ない想い、そして、母が見てきた世界の悲惨な子どもたちのこと。
読み進めていくと、胸が苦しくなった。
日本で過ごしていると、手を伸ばさなければ、世界で起こっていることを知る機会が少ない。
冒頭にあるように、“窓の外にひろがっている“広い世界に出発し、“行って、そこで見てきたもの“を物語を通して知ることができる本だと思った。
そして、「考えを深める」、こうして書くことで、誰かに話すことで。
深められるかは分からないけれど、知らなかったら感じないし考えられない。
最期のジェフリーの言葉、「物語を書くという形で、世界とつながりたくなり…物語に希望を見いだした」というところが心に残った。
読む方は、読むことで世界とつながり、希望を感じる。
児童書のいいところだと思う。
小手鞠さんの『ある晴れた夏の朝』もそうだったけれど、テーマが深いなぁ。