あらすじ
米国から世界に拡散する、「格差」と「分断の構図」とは何か? 成熟した民主主義国家で進む、分断のメカニズムを理解することで、知識人やメディアの偏向と劣化の理由がわかる。
知らず知らずのうちに、ラベリングされ、思考を規定されてしまう罠から、自分本来の暮らしと人生を、自らの手に取り戻すために!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「分断」は、なにか得体の知れない恐ろしいものと思っていたけど、そうではないことがわかって頭がスッとしました。Twitterワールドに見られる「分断」の嵐の数々も、今後は見る目が大いに変わるでしょう。
私に足りないものは圧倒的に知識なので、今後も「読書」で精進しようと思います。
Posted by ブクログ
メディアなどから発信される情報はどのような分断を生むのかを想像し、様々なアイデンティティを認識できるように心がける。様々なアイデンティティの分断に優先順位をつけて、常に更新し続けることで、柔軟な有権者として責任を果たす。自分の意思決定に明確な根拠を持てるようにする。
Posted by ブクログ
世の中が分断されてきていると思っていて、その対立に疲れてきた人におすすめ。その分断って他人から押しつけられてるだけなんじゃないかと。誰かが作ったその対立構図から抜け出そうよと言うようなことが書かれていました。ある意味自己啓発本かも。
あと暗号通貨のことも。世間で言われてる暗号通貨の話しって主に経済とか流通とかどう変わるかというところが話題になるけど、この本は政治の仕組みをも変えてしまうとまで書かれていた。そこが特異な点だと思いました。
Posted by ブクログ
分断化の手法について、保守、リベラルでの手法の違いなど。これはコントロールしているような言説が多いですが、本当にコントロールできてるのか、自然発生的に起きているものをコントロールしているようになっているのではないかという気もしました。
空気の研究で見た集団に属性を付与するような行動は多く見られるので、重要なのは人についての細かい理解なのではないかなと。
前半が良いと思います。
Posted by ブクログ
社会の分断を民主主義の成熟から考察した本書。
最も惹かれたのは、政治技術の発達によって分断が深まるという指摘。
他ではあまり見かけない、社会の分断についての考察だから新鮮だった。
確かに、差異それ自体は元々存在してはいるだろう。そこに目を向ける事が出来るようになった事は、成熟と呼べる。
しかし、その差異の中にはあまりに極端であったり極々少数、または賛否の分かれるものもあるだろう。それに光を当てる、当てられるようになった結果、分断が深まるのはある意味自然の流れのようも思えた。
Posted by ブクログ
民主主義が選挙で成り立つ以上、分断(グルーピング)という名のマーケティングで票を得る闘争になるのは否めないとして(政治家だけでなく閲覧数や広告費で儲けるメディアが拡声器となりSNSがエコーチェンバー起こすことなども)、でも知識人層がこの新たな分断を見つけることに熱中しているとする指摘は、違和感が残った(米国知識人の発言を日常的にウォッチしてないけど)。
知識人らが新たな断絶を発見し、政治家が声高にその亀裂を指摘(あるいは焚き付けて)し、メディアがその分断の裂け目を深く広くしていく流れだ。こうしてグルーピングされた人数が選挙の得票数となる。
このように社会的合意を見いだせなくなっていけば民主主義社会は歴史的使命を終えるだろう、というのが筆者の主張。米国の分断のノウハウを「分断メシウマ」と捉える上記層が幾重にも共鳴するため、特に成熟した民主主義国に輸出され、拡大していく恐れがあると警告する。
また、Libraなどのステーブルコインやデジタル人民元のあまりに大きな存在感が、日本に政治的に影響してくるという主張も興味深かった。選挙という従来の手法を通して民主主義国家に侵食してくる恐れがあるという。
Posted by ブクログ
なるほど… 私の今の問題意識に対して大変示唆に富む内容でした。そうなんですよね… アイデンティティ・ポリティクスの行き過ぎと、それに対抗する形でのナショナリズムの扇動という対立構図。国の生い立ちや社会背景の違いにより細かなところでは全く同じではないですが、大胆に単純化するとアメリカで起きていることも、欧州の多くの国で起きていることも、この図式に要約されますね… で、外からの「レッテル貼り」によってアイデンティティが押し付けられてしまっているという「作られるアイデンティティ」の経緯。
先に読んだ『アフター・リベラル』では「歴史認識」を(そのような「外からのアイデンティティ形成の)一つの軸として取り上げていたのに対して、こちらの本で著者の渡瀬さんが「通貨」を大きく取り上げていた点もなるほど、と思いました。
Posted by ブクログ
「アイデンティティの分断」と昨今よく耳にする言説を、選挙マーケティングビジネスの観点から解説。あまり目にしない切り口で興味深かった。
なるほど確かに、アイデンティティの「分断」は「発見」され、「問題」にされ、押し付けられる。そして選挙の対立軸が生まれ、私たちは気付かずに動員される。しかし分断自体は悪いものではないと筆者は説く。それは私たちにより多くの選択肢を提示することをも意味するからだ。しかし、私たちが与えられたレッテルを無批判に受け入れると、選挙ビジネスの手の内で踊らされることになる。リベラル層・保守層から分断の物語が提示される中で、自らのアイデンティティをしなやかに選択していくことが大事。・・・と筆者は説く。
仮想通貨の話も面白かったけど、ちょっと唐突に感じたな・・・。途中から自己啓発本みたいになっていったのがやや残念。