【感想・ネタバレ】ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

一六三二年、英国に生れた船乗りロビンソンは、難破して絶海の孤島に漂着した。ここから二十八年に及ぶ無人島生活が始まった――。不屈の精神で鳥や亀を獲り、野生の山羊を飼い慣らしてバターやチーズを作り、パンまでこしらえてしまう。ところが驚天動地の事態が……。めげない男ロビンソンを通して人間の真の強さを描き、世界中に勇気と感動を与えてきた、冒険文学の金字塔。待望の新訳。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

帯にあった「世界一めげない男ロビンソン」との言葉に魅かれて読んだ。無人島に28年。実話に基づいているというだけに、28年もの孤独との闘いがどのようなものかを読んでみたかった。

ロビンソン・クルーソーは、普通の勤勉な両親の三男として生まれた。両親は安定の人生を彼に望み、将来は弁護士にさせたいと願っていた。ところが彼の体内には冒険の血が眠っていたようだ。

友人の誘いにのって初めての乗船で嵐に遭難し、ここで諦めるのかと思いきや、またしてもそれ以上の沈没寸前の遭難を体験する。さらには、海賊の囚われの身となり、奴隷にされてしまう。こんな過酷な体験を繰り返しながらも、船にのることを捨てない彼は、根っからの冒険人間なんだろう。奴隷買い付けを目的としたギニア行きの偽装船に乗り込み、またしてもすさまじいトルネードに巻き込まれ、命からがら無人島にたった一人たどり着く。そして、これからが孤独の無人島生活だ。

生活拠点を作り、遭難船から使える物資を島へ運び込み、生きる準備をしながらも、生きていることへと、物資が得られたことに自然と感謝の気持ちが湧いてきた。日記をつけたことは、自分を見失わないよい思い付きだった。病気がきっかけで、祈りの心が芽生えてきた。そして、上陸した島を知りたいという好奇心が芽生えてきた。

感謝の心、自分を見失わないこと、祈りの心、好奇心、こうした人間の本質的な機能が、彼自身の中にどんどんと蘇ってきたように思えた。孤独だった彼も、オウムや亀や羊と触れ合うことや、麦や米を育て、畑を耕す生活の中に、生命というものを感じることができただろう。

生活が一転するのは、あるとき海岸で、人間の足跡を見つけてからだ。誰もいないはずの無人島に人間の足型があるとはどういうことか?その恐怖心を裏付ける、頭蓋骨や手足の骨が散らばっているのを発見した。それからというもの、彼の生活は恐怖にさいなまれる日々と化した。(この時代は、人食いの文化がリアルに存在していた。抗争に負けた者は食われる宿命にある!)

この島は、人食い蛮族が、獲物をつれて、人食いを行う場所だった。そのリアルな場面を目撃することになる。そして、その餌食となろうとしていた蛮族を救い出し、彼にフライデーと名付け、それから彼はたった一人の孤独ではなく、フライデーという友と一緒の暮らしへと変わる。ここで、彼の人生は、また大きく一転した。

それからも助けた蛮族の一人が、フライデーの父親だったとか、思ってもみなかったできごとも重なり、島の住民は徐々に増えて、共同生活するようになり、さらには島らかの脱出を計画するようになっていった。脱出計画といっても簡単なものではなかったが、あるときイングランド船が漂着しているのを見つけた。

イングランド船の船長が悪党に乗っ取られたようで、ロビンたちはその船長を救い出し、それを機にイングランド船で無事生まれ故郷に帰ることに成功する。その後のロビンソンは裕福な生活に恵まれるが、この物語は、むしろこのサバイバルな中を生き延びるその冒険的な生き方の中に面白さがあったと思われる。

***
何もかもが与えられている現代社会において、すべてを失ったときに、人はどのように生きて行けるのか。何かに依存することが当たり前の生活の中で、自分の力で無から何かを生み出していく、そういうたくましさや、知恵を絞りだしていく姿勢、決して諦めない不屈の精神、そういう人間の本能的なものを目覚めさせてくれる小説であったと思う。

無人島生活では、遭難船から見つかった金貨が何の役にも立たなかったのが印象的だった。

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2026年03月23日

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