あらすじ
2012年、権威ある医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』は、その200年の歴史において掲載した論文のなかから、もっとも重要な一本を選ぶ読者投票を行った。X線写真や抗生物質の発見など、その後のあらゆる画期的な進歩に関する論文を抑えて読者が選んだ「栄えあるベストワン」は、1846年に掲載されたエーテル吸入による初めての無痛手術についての論文であった。今日では、麻酔は脳や心臓の手術から虫歯の治療にいたるまで、医療現場になくてはならないものになった。しかし、発見から170年以上が経ったいまでも、麻酔薬が私たちに作用するメカニズムは多くの謎に包まれたままなのだ。メスで身体を切り刻まれているあいだ、痛みを感じないのはなぜなのか? 手術のあと、何事もなかったように目を覚ますことができるのはなぜなのか? 3万回以上の処置を行ってきた麻酔科医が、麻酔薬の歴史から麻酔科医の日常までを描く、謎めいた医療技術をめぐるノンフィクション。
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Posted by ブクログ
下北沢B&Bにて購入。麻酔科医は何をしているのか?という副題はちょっとミスリーディングかもしれないと感じた。これは、プロフェッショナルがプロフェッショナルとして何を行動規範としているのか?ということに関しての文書であって、その題材が、たまたま麻酔科医であるということなのだと思った。このプロフェッショナル感がたまらないのだが、このようにプロフェッショナルとしての倫理を彼が何故磨いたのか?
麻酔導入に使われる笑気ガスを吸うと何故人は意識を失うのか?のメカニズムが全くわかっていないという。この事実が一つ倫理観を磨き上げる理由となっている気がした。