【感想・ネタバレ】「土地と財産」で読み解く日本史のレビュー

あらすじ

元国税調査官が、「大化の改新」以降の土地と財産の歴史にガサ入れ! 日本の「土地と財産」の歴史は、ほかの地域に比べてかなり変わったものである。日本では古来、大資産家や豪族の持つ広大な土地、財産を没収し、国民に分け与えるということを幾度も行ってきた。中世以降、土地や財産の一極集中はあまり進まず、近代にいたるまで貧富の差はそれほど大きくならなかった。江戸時代の農村などでは、農地を村全体の共有財産としているような地域もあったのだ。本書では「班田収授の法」や地租改正などの世界史上まれにみる土地制度の変遷をたどり、日本の本質に迫る。 ●蘇我氏暗殺は「土地の国有化」のため ●大地主だった中世の寺社 ●信長が「直轄領」をほとんど持たなかった理由 ●明智光秀の「本能寺の変」の一因は、信長独特の領地政策にあった ●徳川家康は“史上最大の資産家”だった ●事実上の農地解放だった“地租改正” ●中途半端な土地規制がバブル崩壊を招く

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Posted by ブクログ

ネタバレ

元国税調査官の書いた土地と財産の扱い方の歴史解釈。今までは、領収証の話など仕事上の知見を生かした本が中心だったようだが、今回のこれは、日本人の土地の捉え方に関する画期的な著作。

要は、テーマ別日本史なのだが、元国税調査官が、徴税の歴史を振り返ったところに、オリジナルの視点がある。

結局、土地と財産の関係は、為政者と民の間の関係と言える。
土地は、国有か私有か
財産を、国はどう取り上げるか。

政権が、どれくらい中央集権的かによって上記が決まってくるが、実は、大和朝廷が、その意味で最も際立ったこと、つまり土地の私的所有の禁止を行ったというのは、興味深い。

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2020年09月21日

Posted by ブクログ

土地とお金で歴史を読み解くと新しい視座が見えてくる。
聖徳太子の大化の改新、平家と源氏の攻防、応仁の乱などなど
歴史の転換点に人、モノ、金の流れがどのように変わっていったのか、大変興味深い視点で一気に読んでしまった。
最後に現代の日本の税氏に関しても、元国税調査官という筆者の経歴から示唆に富む文章が心に響いた。

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2020年04月18日

Posted by ブクログ

お金という視点で歴史をみると、今までの歴史と少し違ったイメージを持った。もっと早く出逢っていたら、もっと歴史の魅力や多面的な見方で、自身の学びを深めれたかもしれない。
現代では、価値あるものとして定着しているお金。でも、紙切れ1つに、現代のような価値観をもたせるまでには、壮絶な物語があったんだなあと改めて思った。
大人が優しく噛み砕いて、紹介できたら、子どもももっと社会が好きになっていくのではないか、そんなことを考えさせられた一冊でした。

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2020年04月05日

Posted by ブクログ

土地の所有という観点から日本史を読み解いた本。通史とするために「土地と財産」としたのだと思うが、近世までは財産=土地であろうし、近代以降の土地と切り離された財産の記述は通り一遍な内容である。
本書全体の内容もそんなに目新しいアイデアがあるわけではなさそうだし、一般向けの入門書である事をいいことに記述の信頼性も今ひとつである様に思う。そうは言いつつも土地の所有という観点から日本史を通史的に記述するという試みは面白いし一読の価値はある。
その中でも、「江戸幕府の領地の広さが250年の平和をもたらした」という考え方は刮目に値しよう。
ヤマト政権は班田収受により、すべての土地を国有のものとしたが、自然災害、伝染病といった要因は班田収受を支える人口を削り、墾田永年私財法は富の偏在を許すこととなる。
頼朝は武士による支配を既得権益化したが、直轄領地の少なさが財政基盤を脆弱にし、日本全土を納めるだけの軍事力を持つことを出来なかった。鎌倉幕府に続く室町幕府同様であった。戦国の覇者織田信長はヤマト政権当時の中央集権制度の復活を目指したが、道半ばに倒れる。跡を継いだ秀吉は大判振る舞いで天下統一を成し遂げたが,そのために直轄地を多く持てなかった。最終的に家康が棚ぼた式に領地を増やし、それにより250年の平和をもたらしたのである。
現代の財産は直接土地と結びつくものでも無いのであるが、国の力は結局は土地の広さとそこからくる人口の多さに集約される。中国が領土に執着するのもそのためではなかろうか。

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2021年04月04日

Posted by ブクログ

通史を分かりやすく把握するために、土地の所有者の観点から切り込む角度は、新鮮だった。特に古代と明治時代の内容が分かりやすかった。各時代の土地と税の移り変わりを理解すると、政治のしくみや、権力者が誰なのかがハッキリしてくる。他国との比較分析があれば、なおよかったと思う。

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2020年03月27日

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