【感想・ネタバレ】突き抜けるデザインマネジメントのレビュー

あらすじ

デザインマネジメントは、デザインを根幹に据えた経営手法のこと。本書では、デザインとの親和性が高いBtoC企業だけにとどまらず、伝統的なBtoB企業の改革、地域を巻き込んだ新規事業創出やブランディングにも適用した事例を紹介。VUCA(不安定性、不確実性、複雑性、不透明性)やSDGs(持続可能な開発目標)、Society 5.0といった現代を取り巻く課題やコンセプトとデザインの関係にも触れつつ、デザインの力によって企業や組織を変革していくための実践的な考え方や手法を伝える。

三井化学とのプロジェクト「MOLp(モル)」の事例で、BtoB企業がデザインを取り入れたことによる効果を説明する。さらに、半導体加工メーカーである塩山製作所がワイナリーに挑戦した事例で、デザインが地域づくりにも有効であることを説明する。

これまでデザインと無縁だった人がデザインを経営や事業にどう活用していけば良いのかについても、デザイナーである著者ならではの視点から指南する。デザイナーは「少しの切り替えで誰でもなれるもの」である。その切り替えに必要な考え方や見方を惜しみなく提供する。

巻末には、デザインマネジメントに共感する識者や、デザインマネジメントによる革新に挑む実践者との対談を収録した。様々な事例を見聞きする識者の視点や当事者の体験談は、これからデザインマネジメントに取り組もうとしている人たちにとって大きな助けになるだろう。

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Posted by ブクログ

■デザインマネジメントの役割
1.検知
 企業の歴史(ルーツ、原点、遺産)、文化、環境把握、社会情勢や外部環境との関連性などの考察を経て、根本的な課題がどこにあるのかを探り当て、解決すべき問題点を洗い出す。
2.破壊
 課題解決に向けた最適なコンセプトを発案するために、固定概念を覆しながら対象となる課題を捉え直す。さらに既存の環境(アセット)を生かしながら、必要に応じて新たな環境整備も行い、課題解決が革新的なシナリオとなるように描き上げる。
3.創造
 革新的シナリオに具体性を与える。今までにない視点で創出された切り口を具現化することは、発明に相当すると考えてよい。画期的な発明の対象はモノの場合もあれば、方法や仕組みの場合もある。
4.一貫
 一、二、三、を常に捉え、最適解を導き出す。デザインの思考は右脳と左脳のハイブリッドによって、レスポンシブかつアジャイルに情報を処理する。しかも要素を分解し、点を線につなげることや面で捉えながら、常に全体をシステムとして俯瞰して情報処理を行う。


 デッサンというのは、単に上手に絵を描き上げることが目的ではない。そのプロセスにおいて、目の前に置かれたモチーフの状況をくまなく観察し、その状況を作り出す外的環境を把握することに努め、その情報を再整理し、第三者へコミュニケーションするために、用紙へ美しい構図で写実的に描いているにすぎない。そのためにデッサンをするためには、モチーフの周りを歩き回ったり、実際にモチーフに触れてみたりする必要がある。いろいろな角度から事象を把握し、どうやって全体的に調和を図りながら、一枚の絵として完成させるべきか、を考える必要があるからだ。
 すなわちデッサンのプロセスとは、多角的視点によって「要素分解」する行為と自分の解釈によって「再構成する」行為から成り立っている。

 …「ラピッドプロトタイプ」の繰り返しはプロジェクトメンバーを感化し、多くのメンバーが、皆に見てもらいたい素材を次々と持ってくるようになった。…特にラピッドプロトタイプはプロジェクトの初期段階に有効に働く。アイデアが実現可能かを検証するためには、そのサイクルをどんどん回すほうが最適解を導きやすい。ラピッドプロトタイプのコツは、美しい仕上げを求めるのではなく、粗野であってもよいからすぐに形にしてみることだ。実際に体感をもって検証する方が、机上で議論しているよりずっと早く解答を得ることができ、そのアイデアに共感してくれる仲間を増やすことができる。

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2021年10月09日

Posted by ブクログ

デザイン=社会的課題を産業で解決する仕組みづくり
内閣府 知的財産戦略本部 知的財産立国を基盤とした 価値デザイン社会の実現
 夢×技術×デザイン=未来
  三つの柱 1.脱平均 2.融合 3.共感
ESG 倫理的なCSRとは異なり 社会貢献と事業性の両立

デザインマネジメント =無形資産
 1.検知 2.破壊 3.創造 4.一貫

三方良し 企業/顧客/社会
八方良し 経営者/社員/取引先/株主/顧客/国/社会/地域

すべては「なぜ?」から始まる
 企業無関心 日本75.8% 中国40.3% 米国21.6%
 コンピテンシー:高い業績・成果につながる行動特性

プロジェクトのデザイン
 ビジョン :Why なぜその活動をするのか?
 ミッション:How どのようなことを実行すればビジョンに近づけるか? 複数
 バリュー :提供価値
組織のデザイン
コンセプトのデザイン
 情緒的なアプローチによる物語 共感レベルに
モノのデザイン
UXのデザイン
タッチポイントのデザイン
ソーシャルのデザイン

デザイン3大要素
・ロジック(論理的に相手に伝える)
・センス(体験による知の集合体、数値化できない)
・ラブ(心、情熱)
 

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2021年06月10日

Posted by ブクログ

現在勤めている会社、そして私はまさに「完璧・完成品を作りたがり、数字ばかりを要求する」典型的日本の考え方だと感じた。まずは自身がこの考え方になっている今を意識したい。

入社当初、ものを作り、世に生きた証を残したいと思っていた。しかし、いまはものよりも文化が作れたらどれほど素敵かと思う。

本としてデザインマネジメント実践例は面白いが、繰り返し読みたい・手元に置いておきたいとはさほど思えなかった。

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2020年07月25日

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