あらすじ
自閉スペクトラム症、ADHD……
診断名よりも大切なこと
診断名はあくまでもその子の一部にしか過ぎません。「自閉スペクトラム症のAくん」「注意欠如・多動症(ADHD)のBちゃん」といった視点よりも、大切なのは、その子の目線にまで達して、気持ちを想像してみること。本書では、「発達障害」と診断される可能性のある子どもたち12のストーリーを例に、その子の気持ちを想像し、困っていることを探り、「仮の理解」を行う過程を解説。わが子の「不可解」な行動に、悩める親や支援者を応援する一冊です。
【「はじめに」より】
この本は、わが子の育ちを心配する保護者の方々に手に取ってもらえたら、読んでいただけたら、という思いで作りました。
すでに、発達障害について解説する本は、たくさん書店に並んでいます。飽和状態に近いと思っています。
その中で本書は、もしかしたら、わが子には「発達障害」という診断が付くのではないだろうか、あるいは周囲からの指摘に、思い悩み、漠然とした「不安」を抱えた保護者の方々に読んでいただけら、という思いで作りました。
<中略>
診察室では、時間もいただけますし、出会いを重ねることもできます。そして実際の診察室での話は、これ以上に生活状況は錯綜し、複雑になっているものです。なかなかきれいには収束しません。
でも、だからこそ、僕たちは日々の臨床で試行錯誤し続けます。
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Posted by ブクログ
この本を読んで1週間ほど経ち、自分の中で明らかに子供との接し方が変わった気がします(うちの子は癇癪がすごい時があるので、どう接していいのかわからず、途方に暮れていました。)。
いくつか忘れないでおこうと思う大事なフレーズがあったので、以下に記載します。
・かんしゃくは、子供にとって、「安心を獲得できるかどうかを確認するためのコミュニケーション手段」、「子供が成長する過程で、信頼できる親だからこそ出せる全力のSOS」
・「わがまま」というのは、自分の思いを尊重する姿勢
・「自分が尊重され、大切にされた」という思いを返してくる人が相手なら、積極的にあるいは渋々納得してくれる。初めは子供の土俵に乗せてもらい、信頼を獲得することができて、さらに子供に多少の余裕が生まれたら、こちらの土俵に来てくれるかもしれない。
・同じ診断名が付く子供であっても、1人ひとりみな違う。
・発達障害のタイプについて学ぶよりも、「この子はこんな気持ちですよね」というところからかかわってほしい。
特に最後のフレーズに本書の言いたいことが詰まっていて、印象深かったように思います。