あらすじ
自閉スペクトラム症、ADHD……
診断名よりも大切なこと
診断名はあくまでもその子の一部にしか過ぎません。「自閉スペクトラム症のAくん」「注意欠如・多動症(ADHD)のBちゃん」といった視点よりも、大切なのは、その子の目線にまで達して、気持ちを想像してみること。本書では、「発達障害」と診断される可能性のある子どもたち12のストーリーを例に、その子の気持ちを想像し、困っていることを探り、「仮の理解」を行う過程を解説。わが子の「不可解」な行動に、悩める親や支援者を応援する一冊です。
【「はじめに」より】
この本は、わが子の育ちを心配する保護者の方々に手に取ってもらえたら、読んでいただけたら、という思いで作りました。
すでに、発達障害について解説する本は、たくさん書店に並んでいます。飽和状態に近いと思っています。
その中で本書は、もしかしたら、わが子には「発達障害」という診断が付くのではないだろうか、あるいは周囲からの指摘に、思い悩み、漠然とした「不安」を抱えた保護者の方々に読んでいただけら、という思いで作りました。
<中略>
診察室では、時間もいただけますし、出会いを重ねることもできます。そして実際の診察室での話は、これ以上に生活状況は錯綜し、複雑になっているものです。なかなかきれいには収束しません。
でも、だからこそ、僕たちは日々の臨床で試行錯誤し続けます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「診断名」は時として指針になるけれど、その子のもっているものは濃淡、大小色々ある。だから、発達障害の子だとひとくくりにせず、その子自身をよく見てあげて…という著者のメッセージ。とてもいい本でした。
Posted by ブクログ
眼差しがあたたかく、言葉が優しくて、不安な気持ちもとけだすような本でした。
大人から見て心配な子どもの行動をどのように読み解き、どのように保護者の方に声をかけていくのか。
子どもの発達を促進するために、今、何ができるのか。
著者の田中先生の言葉をしっかり咀嚼して、必要なときに必要な言葉を差し出せるように、備えておこうと思います。
Posted by ブクログ
1人の母親としてこの本を読み始めました。しかし、子供の気持ちと家族の気持ちを徹底的に想像していく姿勢は、一人の就労支援者として仕事にも活かせる視点であると感じました。
障害の有無に関わらず、子供の成長の速度やムラが心配になる親は多いのではないかと思うので、多くの方に一読してみていただきたいと思いました。
Posted by ブクログ
あれうちの子ひょっとして…?と悩んでいた時に偶然見かけて買ってみた本。
結論から言えば読んでよかった。
診断名を急ぐ必要はない、という考え方にはだいぶ救われたと思うし夫婦間でも共有できたおかげで落ち着いて向き合う事が出来ていると思う。
地域の相談窓口とかだと割とすぐ投薬治療や療育手帳の話が出てきたけど、この子の’特性’はこうなんだ、とまずは親がしっかり知る事・考える事が大事。でないと他人に正しく相談をする事もアドバイスを判断する事もままならない。
問題に長いスパンで取り組むにあたって、いきなり専門書だとハードルが高いので、はじめに手に取る参考書としてはとても頼れると思う。
1刷
2021.10.15
Posted by ブクログ
子どものことも親のことも否定しない優しい著者。発達専門の病院は都市部でも思ったより少なくて予約をとるだけで大変。そんな状況でこれだけ丁寧に接してくれる医師に出会えたら幸せである。こういう心がけを親を含め発達障害にかかわる人達みんながもてるよう広まるといいなと思う。
Posted by ブクログ
田中先生の子どもたちや家族の困り感を一緒に考えていこうとする優しさが伝わってきた。診断名ではなくその子自身を見ていくことの大切さを改めて学んだ。
Posted by ブクログ
乳児期、幼児期、就学期、学童期と年代ごとによく起こりそうな例をもとに、子供の行動のどんな所に注目して子どものことを理解するか、親の悩みのどう寄り添うか、そしてどのように解決に導くかが、わかりやすく書かれています。
この本に書かれていることは、子どもの理解する一例と考え、自分ならどのように見るか、どのように子供や親御さんに寄り添うか、その見方を身につけるトレーニングにもなるかと思います。
Posted by ブクログ
この本を読んで1週間ほど経ち、自分の中で明らかに子供との接し方が変わった気がします(うちの子は癇癪がすごい時があるので、どう接していいのかわからず、途方に暮れていました。)。
いくつか忘れないでおこうと思う大事なフレーズがあったので、以下に記載します。
・かんしゃくは、子供にとって、「安心を獲得できるかどうかを確認するためのコミュニケーション手段」、「子供が成長する過程で、信頼できる親だからこそ出せる全力のSOS」
・「わがまま」というのは、自分の思いを尊重する姿勢
・「自分が尊重され、大切にされた」という思いを返してくる人が相手なら、積極的にあるいは渋々納得してくれる。初めは子供の土俵に乗せてもらい、信頼を獲得することができて、さらに子供に多少の余裕が生まれたら、こちらの土俵に来てくれるかもしれない。
・同じ診断名が付く子供であっても、1人ひとりみな違う。
・発達障害のタイプについて学ぶよりも、「この子はこんな気持ちですよね」というところからかかわってほしい。
特に最後のフレーズに本書の言いたいことが詰まっていて、印象深かったように思います。
Posted by ブクログ
発達障害のある程度の特性を知ることは、その子の困り事を知ることのヒントになるとは思います。ですが大切なことは、発達障害だから云々というよりも、その子にとって何ができるのかという視点を持つことが大切なんだと改めて感じました。
Posted by ブクログ
今まさに我が子の児童精神科受診を前に、子供への困りごとが多くなやんでいたので、保護者に寄り添った言葉で綴られていて、勇気づけられました。
個別の特性に応じて、「ケース1 友達に手が出る○くんの場合」といった感じで該当する所にすぐたどり着け、読みやすかったです。
著者は児童精神科の先生で、親身になってくれる良い先生なんだろうなぁ、こういう所で受診させたいなと思いました。
Posted by ブクログ
「発達障害」という言葉で括ってしまうと、その子の全てが発達障害に起因するものだと思ってしまう。そうした先入観だけで子供たちを見るのではなく、その子自身をしっかりと見つめて理解することが必要だと感じました。