あらすじ
家には四つ部屋があった。両親の部屋、私の部屋、弟ジルの部屋、そして死体の部屋……。それは狩猟が趣味の父親が戦利品をしまう剥製の部屋だった。暴力的な父親と、その顔色をうかがうだけのアメーバのような母親。そんな両親との暮らしだったが、十歳の少女は四歳年下の無邪気な弟と楽しい日々を送っていた。しかしある日、アイスクリーム売りを見舞った事故を目撃した時から、弟は変わってしまった。無邪気な笑みは消え、剥製の部屋にこもるようになり、虫や動物をいじめるように……。なんとかしてあの無邪気な笑顔を取り戻したい! 現実をリセットしたい! 利発な少女の試みは? Fnac小説大賞、高校生が選ぶルノードー賞、ELLE読者賞他14の文学賞を受賞。
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Posted by ブクログ
もしもあの日に戻れたら。
誰しもそう考えたことはあるのではないだろうか。しかし主人公の少女の願いは切実すぎて苦しい。
グロテスク。恐怖。絶望。怒り。
短い文節で綴られる表現がリアルだ。DVの父親が恐ろしい。
少女の成長と強さがわずかな希望をくれる。
続きが気になって読むのをやめられなかった。
最後は結構衝撃だった。あぁそうくるのか、と。
決して明るいほのぼのした話ではない。
でも読後感は悪くない。
この本は数々の賞を受賞しているらしいが、それも納得。