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Posted by ブクログ
凄かった。
標本を盗んだ理由が毛針というのにそんなことに!?となったけど標本を手に入れるまでの命がけのの経緯、ファッションのために採集や密輸によって絶滅に追いやられる美しい羽根をもつ鳥達、善と悪、毛針愛好者達の熱狂、自然史博物館の意義、これは現実にあったことで他のあらゆる価値のあるものに言えることだ。
とても濃厚なドキュメンタリーだった。
Posted by ブクログ
19世紀。ダーウィンの影に隠れた優れた生物学者がいた。アルフレッド・ラッセル・ウォレス。彼はアジアなどで鳥類や昆虫標本を採集し、生物の進化に地理的なデータが必須であることにいち早く気がつく。
21世紀。イギリスのトリングにある自然史博物館で、貴重な鳥類の仮剥製のみが盗難にあうという奇妙な事件が起こる。いったい、誰がなんのために?
そして盗難事件の数年前、一人の少年がトラウトを釣り上げるための毛鉤作りに夢中なっていた。
一見無関係のこの3つの事象がからみあい、19世紀の東南アジアから21世紀のイーベイという時間も空間も飛び越えて真相にたどり着く。
ノンフィクションサスペンス!なんて言葉があるかは知らないが、息もつかせぬ展開とに一気に読み切ってしまった。
こんな世界があるのですね!
Posted by ブクログ
ある日、大英自然史博物館から珍鳥の標本が盗まれた。
その事件を知った著者が、真相を解明していくルポ。
盗まれた珍鳥は、毛針愛好家によってその材料として使ったり、売ったりされた。
まず、毛針というものの存在すら知らなかった。
毛針とは、釣りをするのに魚をおびき寄せるための疑似餌である。
それを本物の鳥の羽で作ったりするのである。
そして、どうやら毛針愛好家の多くは、実際に釣りをするために毛針を作るのではなく、一種の愛好品としてそれらをコレクションしたりしている。
本書に掲載されている実物の写真を見たが、確かにその姿は美しい。
けれども、本来の目的を逸し、そのために歴史的価値のある標本を299点も盗んだ犯人は相当にクレージーだ。
最終的に、全ての真相の解明がなされたわけではなく、謎が残るが、著者の行った調査は非常に意味のあるものであろう。
マニア達の行き過ぎた欲求には少し恐ろしいものを感じた。
それは、毛針に対する欲求のみならず、自己顕示欲なども含んでいるのだろう。
まだまだ知らない世界があることを改めて感じた。