【感想・ネタバレ】変半身(かわりみ)のレビュー

あらすじ

太平洋に浮かぶ人口2000人ほどの離島・千久世島。造物主「ポーポー様」なる独自の神話を持つ島では「海のもん」と「山のもん」が時折いがみあいながらも共存してきた歴史があった。島では年に一度、秘祭「モドリ」が行われる。14歳になり、初めて「モドリ」に参加させられることになる私と親友の花蓮は、その年の生贄が同級生の高城くんになることを知る。因習に満ち閉塞した島を脱出しようとするが──。歴史は書き換えられ、世界は塗り替えられ、魂は入れ替えられていく。村田沙耶香初の試みとなる、演劇界の鬼才・松井周と練り上げた千久世島ワールドを舞台に、人間が変わり世界が変わりゆく悪夢的現実を圧倒的イマジネーションで紡ぐ。「早稲田文学増刊 女性号」掲載の、既存の「性」の役割を根幹から揺さぶり話題となった中編「満潮」を併録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

村田沙耶香はやっぱりすごい。
なんとなく表紙の絵が怖いという理由でずっと読まずに積んでいたけど、持ち歩きやすい本を鞄に入れて行こうと思った昨日読み始めて、一気に読み終わった。
解説に書いてあった言葉と似るけど、絶望と希望が入り混じるみたいな作品は村田沙耶香でしか読んだことがないし、それがとってもすきだ。
あと、最近エッセイ?とか、誰かが何かを語ってるっぽいものを多く読んでいたけど、久しぶりに読む小説がとても良かった。もっと小説読みたい。善良と傲慢もずっと読みたいと言っている…そろそろ読むか、ずっと本屋さんの目立つところに置いてあってすごい。

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2024年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「なにがなんだかわからない」この言葉に尽きます。
「信頼出来る事実」や「共感できる価値観」はどこにもなく、私たちの世界を模したどこかチグハグなパラレルワールドのような世界でした。
変半身は、何を信じるのか、信じる根拠はなんなのか、この世界においてその根拠は本当に信じられるものなのかということを気味悪く書いています。
満潮は、結論から言えば潮を吹きたい夫婦の話ですが、自分の性がどこにあるのか、それは自分のものでは無いのからといった考えたこともない視点で話が展開されていました。

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2024年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2作品収録
「変半身(かわりみ)」☆☆☆
封鎖的な離島の秘められた恐ろしい祭り事のお話…と思いきや、あれ?珍しく普通のお話?いや変わった夫婦関係だな…でもいつもよりは普通かな、ときて最後はやはり…と、何だかんだで村田ワールド全開のストーリーでした。一部の描写が他の作品よりグロくてちょっと苦手でした。

「満潮」☆☆☆☆
とてもいやらしい行いを見せられているはずなのに、全くいやらしい気持ちが起こりません。夫婦なのに、それぞれ自分で潮を吹こうと試行錯誤し 相手と行為をするという思考になりそうもないところが最高に村田先生って感じで好きです。村田先生の描く、性欲や愛情で繋がっているのではないけれどお互いを尊重し合う夫婦像がとても好き。本当に天才です。

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2023年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

変半身
要素が多すぎて、圧倒されてる間に終わっていった。p107「目の前の生き物たちは、いつでも、新しい「真実」を喜んで受け取る。それに飽きてくると、今度は次の新しい真実を受け取る。まるで、真実を食べ続ける化け物みたいに。」
結局これが言いたかったことなのだろうか…?

満潮
自分の体を、大事にしたい話だと受け取った。潮を笑う人達を許せない。友人の雪子のように、「男が潮を出したいなんて許せない!」とも思わない。ただ男女関係なく、自分の体にある、まだ見たことない神秘みたいなものを見てみたい。要求されても液体を出せない夫と一緒に、それを主人公は体験してみたい。


変半身あらすじ
島の奇祭「モドリ」で生贄と無差別のまぐわいから逃げた中学時代から一転、「勝ち組」を装う会社の夫と結婚。島の奇祭は最近淫行目当てに作られ歴史的根拠がないと知らされる。久しぶりに訪れた島はポーポー様もなにも消え、別のプロデューサーが作り出した歴史に塗り替えられ主人公は反発する。「モドリ」は復活し、生贄だった少年は卵を産まされ、と思ったら千年の「ニンゲン」の祭りの終わりが来る…

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作「変半身」は、俗にいう因習村的なホラーチックな展開かと思いきや祭りの後から急ハンドルをきり、世界が足元から作り変えられるような感覚に陥った。
筑摩書房の特設サイトにあるように、「自由」って感じで、1つ1つのモチーフで作品にできそうなところを殻を破って破って外側にはみ出していく感じが面白かった。ポーポーポーポーで埋まったカオスなページから、自分たちが考えている「人間」の枠組みって案外脆いよなあと考えさせられる。たぶん江戸時代や平安時代にタイムスリップしたら、今の人間観ではいられないもんな~、と思ったりした。

個人的にはもうひとつの「満潮」の方が好みだった。
体液を出すように世界に追い立てられているというのは本当にその通りだと思う。世間が演出している恋愛や性の喜びにうまくフィットできない人間なので、すごく共感できた。とはいえ薄っすら感じていた違和感(自分の身体なのに他人に正常な反応を決められる・期待される)をここまで物語にされると圧倒される。
ラストの展開にはなんだか感動してしまった、泣き笑いみたいな感情。汚されていない、自由な友愛があった。

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

村田沙耶香はコンビニ人間に続いて2冊目。
多分この人の作風めちゃくちゃ刺さるんだろうなと思ってたけど、案の定ドタイプ。好きだ~天才過ぎないですか。

この本は変半身・満潮の短編2部作。

変半身:すごく好きだった。
島に昔から伝わる伝統的な秘祭がモチーフ。
伝統ってなんなんだろう?って考えさせられて大変面白かった。
陰謀論に通ずる考え方でなかなか皮肉が効いていてよかったです。狂っていた。。。

満潮:正直変な話すぎて良く分からなかった…

どちらもコンビニ人間よりもかなりファンタジー要素が強め。
すっごい誇張してて狂っている話だったけれど、どれも現実にある問題で、皮肉を効かせつつ考えさせられる話でよくできてるなあと思った。好きです。天才!

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2025年04月03日

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