あらすじ
可瀬理玖は自分の住む町に生きにくさ、息苦しさを感じ、〈ここではないどこか〉に行きたいと思っていた。
上京できれば大学はどこでもよかったのだが、せっかくならと大好きな写真家・渡引クロエが通っていた大学を選んだ。
クロエが立ち上げたという創作サークル「猫を探す人の会」に入り、クロエの人生を追体験することにする。
サークルは見つけたものの、廃部寸前の少人数サークルで活動はほぼゼロ……。
気を落としていると、写真を撮った相手と写真を通して会話ができるという不思議な力を持つ女の子・渡引真白と出会う。
理玖はクロエとそっくりな顔をした真白を見て驚く。なんと娘だったのだ。
真白がサークル「猫を探す人の会」に入ったのは、一度も会ったことのない父を探すためで、
その手がかりがサークル内にあると確信しているという。
理玖は真白の父親探しを手伝うことにしたが、そこにはとある事件が絡んでいて……。
青春恋愛キャンパスミステリー!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
表紙の絵からジュブナイル的な大学生たちの青春物語かなと勝手に想像していたら、とんでもなかった。
思っていたより重くてびっくり。
父親探しという内容上、軽くはならないでしょうけど、何でしょう、ミステリーとしても雰囲気としても予想より思いのほか本格的で重量感があったので、そのギャップに終始驚きっぱなしの読書になりました。
他の方の作品を出して恐縮ですが、『氷菓』に近いものを感じました。
表紙との乖離がすごいから、読んで驚いて欲しい。
多分キャラの内面を掘り下げて書いているから余計そう感じるのかもしれません。
真白ちゃんがサイコメトリー的能力は持っていますが、情報を引き出すのがメインで推理はそこまでではない。
そこを理久くんが補っていくのはいいコンビでした。
ニヤニヤできるのもいい。
また真白ちゃんの母親も非常に濃いキャラで、会話も即興だから再現不可能とのことでしたが、最後まで読むと「そりゃそうなるわな」と色々仕掛けが分かるとストンと納得できる部分もあって、結構設定が練り込まれてるなとも思いました。
細かく考えられたからこその(青春もので恋愛ものなのにどっしりとした)重厚感かなと。
なかなか侮れないダークホース的作品でした。