【感想・ネタバレ】GLOBOTICS (グロボティクス) グローバル化+ロボット化がもたらす大激変のレビュー

あらすじ

破壊的変動の先にある未来とは?
農業から工業へ。モノからサービスへ。そして今始まった「グロボスティクス転換」。
国際経済学の大家が、デジタル革命のかつてない衝撃を歴史的な視点から捉える。

「新しい経済の姿を描いた、これまでで最もすぐれた本だ」(ローレンス・サマーズ、ハーバード大学名誉学長、元米国財務長官)


〇グローバル化とロボット化が同時並行で進む経済の潮流が「グロボティクス」だ。それは、従来のグローバル化、自動化とは異なり、変化のスピードが人間の適応力を超えるほど凄まじく速く、そして著しい不公平をもたらす。それがゆえ、人間社会に激的な変化をもたらす。

〇最大の衝撃を受けるのはサービス分野や専門職の仕事だ。デジタル技術が言語、人材の壁を超え、国境の内側に閉じ込められてきたサービスが解放され、一挙に、人材とサービスの世界市場が誕生する。世界各国で経済の70%以上を占めるサービスでグローバル市場が実現すれば、安定的な仕事・賃金によって支えられてきた社会の安定性は危機を迎える。特に、ホワイトカラーへの打撃は痛烈なものとなる。働き手を保護する政策が必要になる。

〇デジタル革命のもとで進む苛烈なグローバル競争のもとで、富の分布は大きく変わる。中間層は崩壊し、不公平感が一挙に高まる。グロボティスへの強い反発がポピュリズムの広がりとともに急速に強まる。政府は何ができるのか。人間はどのような社会をめざすべきなのか。個人が激しく競争する社会か、ローカル色の豊かな、人間的なコミュニティを基盤とする社会か――。

○著者は大きな変動とポピュリズムを背景とする大きな反動を経た後に、より人間的な社会、地域性の豊かな社会が出現すると、ユニークな展望を示す。

〇前作『世界経済 大いなる収斂』で情報通信技術が世界経済をどう変えてきたのかを、経済理論を踏まえて説き明かし、高い評価を得た国際経済学の第一人者が、テレマイグランツ(遠隔移民:RIなどのデジタル技術によるバーチャルな移民)、AI、RPA(ロボットによる業務の自動化)、機械翻訳などのデジタル技術がもたらす経済・雇用・所得分布へのインパクトをとらえ、幅広い読者層に向け、デジタル経済の未来を問う。

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Posted by ブクログ

産業革命・IT革命が世界史特に人の生活や雇用にどのように影響してきたかを下敷きに、昨今のAIによりサービス業が破壊されるだろうが、まだきっかけを模索している、そのイメージをリアリティを持って感じさせられ、非常に面白かった。COVID-19前に読み終わったが、COVID-19をきっかけに、サービス業が大きく転換していくかもしれない、そんな未来を想像させると読後感を振り返って思う。

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2020年04月28日

Posted by ブクログ

今、AIやロボットが、世界的な規模で経済、ビジネスを急速に変えている。こうした技術の進化とグローバル化がもたらす、破壊的変動について解説した書籍。

グローバル化は従来、モノづくりの分野に関わる問題だった。しかし、通信技術やAIなどが進化した今日、グローバル化による影響は、サービス職や専門職にも波及しつつある。

情報通信技術を利用して遠隔地で仕事をする労働者を「テレマイグランツ(遠隔移民)」という。先進国のサービス・セクターの労働者は、今後、遠隔移民との競争にさらされる。

欧米の銀行では「ホワイトカラー・ロボット」が働いている。労働者を代替する目的で設計され、20カ国語を話し、数千本の通話を同時に処理する。この状況は、本物の労働者と、思考するコンピューターとの賃金ゼロの競争を意味する。

遠隔移民のような新たな形態のグローバル化と、ホワイトカラー・ロボットのような新たな形態のロボット化(ロボティクス)の組み合わせを「グロボティクス」と呼ぶ。今日、
このグロボティクスは、世界を激変させつつある。

グロボティクスは、大規模な雇用喪失など、破壊的な変動を引き起こすおそれがある。今日の大手IT企業のビジネスモデルは、高所得国の労働者を遠隔移民やホワイトカラー・ロボットに置き換え、コストを節減する、というもの。

グロボティクス革命に備える上で「AIや遠隔移民と直接競争しない仕事を探す」「AIや遠隔移民との競争を避けられるスキルを磨く」「人間らしさはハンデではなく、強みだと心
得る」の3つが重要。また、AIに代替されたくないなら、仕事の中で、それを使いこなす方法を学ばなければならない。

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2021年06月13日

Posted by ブクログ

数年前、AIでなくなる仕事というのが話題になった。背景には、計算能力向上やディープラーニング活用事例の増加、シンギュラリティに懸念を示す著名人の影響がある。そうした時に必ず出てくるのがラッダイト運動で、第一次産業革命で織物職人が自動織機を壊す抗議活動である。今の世では、ラッダイト運動は既得権益者の抵抗と批判的に説明されるが、機械により新しい産業が生まれ雇用が回復するのに100年かかっていることを考えると、抵抗なく移行できるはずもない。

本書は、イノベーションによる仕事、社会の変化を産業革命から現代までの歴史を振り返り、これからどうなるかを予測する。と書くとありきたりに思えるが、本書ならではの解釈として、転換、激変、反動、解決に整理し、技術による変化に社会が追いつく長いプロセスを説明している。興味深いのが、産業革命に始まる工業化による混乱は労働運動、共産主義、ファシズム、大戦を経て、ようやく制度も整備され解決したが、今は脱工業化による混乱の真っ只中であり、ポピュリズムの台頭など反動が出てきたところで、AIによる新たな転換を迎えている点だ。

AI、RPA、リモート技術により、ホワイトカラー、サービス業が省人化、オフショア化されつつある。新しい仕事が生まれるよりも早く、先進国の雇用は失われていくだろう。果たして、今の格差社会の下層と、今後AI化でさらに増える格差の犠牲者が協力し、大きな反動を成し遂げるのか?政治で安全に解決することはできるのか?

本書後半では、新しい社会について、とても楽観的なビジョンが描かれる。地域の人々が繋がり、心を大切にして、働きがいのある仕事をする社会だ。どのように移行できるかは分からないが、混乱に振り回されないための準備は可能なはず。今の混乱が解決されてない状況で、多少のモヤモヤは残るが、余裕のある人には良い示唆であろう。

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2021年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

GLOBOTICS グローバル化+ロボット化

距離の束縛=地域主義 ○多様性 ×経済停滞

1712~産業革命 蒸気機関 
 農業革命 農地の囲い込み運動(エンクロージャー)
 人口爆発 イギリス1750年からの100年で倍増
 工作機械産業 1770~

1820~グローバリゼイション
 技術により農民減少、工業生産量急増
 鉄道による物流コスト引き下げ

1870~第二次産業革命「大転換」
 農村から都市へ、土地から資本へ 

1973~ニューグローバリーゼイション
 ICT情報通信技術が生産プロセスを地理的に分散

AutoML by Google
 機械学習のアルゴリズムをどう設計するかの機械学習プログラム。
 SiriレベルのAIシステム構築できる人材は世界に1万人しかいない。

AIパターン認識
 高等動物の「知能」とは異なる。

upwork.com
 人材とプロジェクトの世界最大マッチングサイト

機械翻訳
 一つの民と言葉が建てようとしたバベル(混乱)の塔
 神による言葉の混乱による解体
 英語を話す10億人の競争相手の英語を話さない60億人

AR/VR
 遠隔移民 Telemigrants

RPA
 まとめられるものは分解できる。
 無くなるのは職業ではなく仕事。
 アメリカの職種分布
 オフィスワーク22%、販売14.5、調理13、輸送9.7、生産9.1、教育8.6、医療8.3

スマホは計画的に世界に普及させたわけではない。
気付けば生活になくてはならないものになった。

国際競争力のない仕事は労働者の「避難小屋」になっている。

機械学習ができないこと
社会的認知
 各メンバーが他のメンバーをどう思っているかを理解
問いも答えも明確でない課題
 思考より感情
意思決定の責任
 AIは推測の説明ができない
創造的知能
 アイデアや解決案を考案する能力
非言語コミュニケーション

グロボットを設計するのではなく、使いこなす。

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2020年02月23日

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