あらすじ
東北で大地震が発生した。さまざまな支援が行われ、バスをチャーターして援助活動に参加する“ボランティアバス"も盛んに行われる。就職活動のアピールポイント作りのため、ボランティアバスを主催することにした大学生の和磨。震災で父が行方不明になった姉弟に出会った女子高生の紗月。あることから逃亡するため、無理やりバスに乗り込んだ陣内。さまざまな人がそれぞれの思惑を持ってバスに乗り合わせる。被災地で出会った謎と事件が、バスに奇跡を起こす。『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ。
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Posted by ブクログ
非常に面白かった。
ボランティアというテーマ、殺人もない中でなぜミステリー小説?しかも大賞?と思ったけど、読み始めると短編小説的に各ボランティア参加者の視点ごとの、ボランティアしながら起こる謎解きが始まる。
それがミステリー小説と言われる理由と思ったが、大賞というには弱い。
でもある物語で主人公だった人が、別の物語では脇役という風に絡み合ってるのに、ある一つの物語のみ全く別物語の主人公が一度も出てない話しが一つだけある。
実は後の時期のボランティアの話しで、時系列が違っていた。その後の時期は、他の複数の物語の主人公が気付きあげたボランティアの恩返しから集まったメンバー達で向かうボランティア。
最後にどんでん返しだけでなく、恩返しというすっきりした終わり方で楽しく読めました。
Posted by ブクログ
読みやすい、ページ数も文体も手軽、文章もこなれていて簡易。一見よくある日常(とはいえないか)お手軽ミステリー短編集かと思わせておいて。
一つ一つの短編は意外と小さな謎を解くことで終わっているが、最終章で巧妙に張り巡らされていた伏線を見事に回収している。なるほどそういう展開な…。
謎解きの面白さを提供しつつ、「恩送り」という一貫したテーマを1冊通じて書きあげるのが上手い。遅ればせながら友井羊、要注目と感じたぞ。
Posted by ブクログ
途中までは、日帰りボランティアツアーとはどういうものかというのを読んでふむふむと思ったが、時間軸も変わっていてそれに気づいた時に驚きと感激しました。
面白かったです。
Posted by ブクログ
災害ボランティアが被災者ができることまでやってしまって、被災者の自立を阻むとか、被災した子どもたちが「地震ごっこ」や「津波ごっこ」をするのは、辛い経験を再演することで、恐怖を消化しようとしているのだとか、今まで知らなかったこと、考えも及ばなかったことが書かれて、非常に驚きました。
時間のトリックも効いていたと思います。