あらすじ
現れた男の姿を見るなり、オータムはその場に凍りついた。ヨーク・レイン――世界的に有名な航空会社の社長。19歳のときにオータムが結婚した、自尊心の強い億万長者だ。若かったオータムは彼が属する上流社会の華々しさになじめず、結局、短い結婚生活は破綻し、ロンドンの家を逃げ出した。いったいなぜ、そのヨークがここにいるの?戸惑うオータムに、ヨークは酷な提案を無遠慮にも突きつけた。急遽妻が必要になったから、4カ月だけ戻ってこい。そうすれば離婚に応じよう、と。
*本書は、ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊から既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。
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Posted by ブクログ
圧倒される勢いで物語りに引っ張られて、読み終えました。
単なる別れた夫婦の絆の再生というだけではなく、心に深い傷を負ったヒーローの魂の再生の物語りでもあります。
ヒロインのオータムの優しさにほっこりすると共に読んでいる方までも癒やされます。
19歳で10歳余り年上の青年実業家と電撃結婚したオータムは、短い結婚生活が破綻、家を出ました。
新しい仕事につき、大人の女性に成長した彼女の前に、夫ヨークが現れます。
-4ヶ月だけ戻ってきて、妻の役割を演じてくれたら、離婚にも応じよう。
躊躇いつつもオータムは離婚のために、夫との同居を承知します。
ヨークの身勝手な申し出の裏には、実は妻に戻ってきて欲しいという夫の切ない願いがこめられていました。
意外なラストはきっと読む人を静かな感動と余韻で優しく包むことでしょう。
ヨークの妻に対する激しい独占欲、執着心、荒々しくも強く迫る様子にドキドキしますが、それだけではないところがとても良いと思います。
トキメキ度70%、感動度30%、まさに絶妙なさじ加減で単なるロマンス小説としてだけでない家族小説にも仕上がっています。
流石は巨匠と呼ばれるペニー・ジョーダンならではの傑作です。
素敵な作品です。