あらすじ
――さわって、見つめて、交わって。ただ、それだけで良かった。【孤独な鬼×後悔を抱える美青年】長屋の暮らしにもすっかり馴染んだ壱とべなだったが、行きがかりに出逢った医者・若水、その弟子・朝太郎に懇願され、浅草まで護衛を務めることに。しかし、朝太郎が壱に惚れたことに気付いたべなは心が不安定になり、再び鬼の姿と化してしまい…? 累計12万部突破(紙+電子)のお江戸人外ボーイズラブ、物語が麗々しくうねりだす待望の第3章! 描き下ろし&解説も収録!! 【※コミックス本編は特装版と同内容です】
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江戸時代の見世物小屋を舞台に繰り広げられる本作。この世の残酷さや不条理、いなくなった相手への贖罪の念といった仄暗い情念が中心に描かれているように見えますが、その本質は圧倒的救済の物語です。
自分を犠牲にすることでしか弟を守れないと思い込んでいた壱が自分を大切にすることを知り、人の言葉を知らなかった鬼の子・べなは言葉を学ぶことで「愛」という感情を知る――どこかが欠けた者同士が共に成長していく姿が愛おしすぎて、帯の「拝みたくなるボーイズラブ」というキャッチコピーに偽りなし……! 2人の成長は大きな痛みを伴うものですが、その痛みすら尊く感じられます。
そして、べなと壱に次ぐ本作のキーパーソン・ダンゾウについても語らせてください。壱とその双子の弟・二三を見世物小屋でこき使い、病弱な二三の存在を盾に壱を手篭めにした最低最悪の小悪党であると同時に、彼なりのやり方で双子を守り、二三への思いを心の奥底に秘めていたダンゾウ。彼の存在によって、この物語の奥行きがグッと増したといえるでしょう。こふで先生、どうかべなと壱だけでなく、ダンゾウのことも救ってあげてください……!
べなと壱を拾ってくれた美人で男前な髪結屋の妻・お奈緒や、寺子屋の子どもたちなど、個性豊かな脇役たちと過ごす、心穏やかな日常もこの作品の魅力のひとつ。江戸文化が生き生きと描かれていて、思わずにっこりしてしまうような愛おしい情景が楽しめます!
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