【感想・ネタバレ】アメリカの夜のレビュー

あらすじ

新次元への扉を開く小説の最進化形!
本当の自分を勝ち取るため、青年は頭と体を鍛え闘いの火蓋を切る。

映画学校を卒業し、アルバイト生活を続ける中山唯生。芸術を志す多くの若者と同じく、彼も自分がより「特別な存在」でありたいと願っていた。そのために唯生はひたすら体を鍛え、思索にふける。閉塞感を強めるこの社会の中で本当に目指すべき存在とは何か?新時代の文学を切り拓く群像新人文学賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今でいうところの中二病的思考なシネフィル青年の話。
「特別な存在」でありたいと願う唯夫は、昼と夜の長さが同一になる「秋分の日」生まれということに特別さを感じ、対する「春分の日」的なるものと闘う決意をする。何の冗談か!と!もうニヤニヤしてしょうがないw 唯夫を記述する筆者もまた唯夫自身の別人格で、それはどうやら小説自身の筆者=阿部和重らしく、虚構の中の虚構の虚構と構造が凝ってる。いきなり訳の分からないブルース・リー論から始まって予想のつかない展開も読みづらい文章も全て阿部和重の狙い通りか。
時代は90年代。そして非常に90年代的な小説。サブカルな若者の日常、バブル崩壊後の倦怠感、ネット以前の世界。まさに「小春日和の時代」だったバブル時代から「秋分の日」なる時代へと突入した日本。何と闘えばいいのかわからない90年代の若者の代表が唯夫だ。コーネリアスも「太陽は僕の敵」と歌う。当時、同年代だった僕の周りに唯夫は確かに存在したのだ。

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2011年09月27日

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