あらすじ
養護施設で育った美月と、育ての親を亡くしたばかりの月明は、中学二年生の夏休み、津田節子という富豪の別荘に、養子候補として招かれる。悲しみのにおいに満ちた別荘で、ふたりは手を取りあい、津田節子の思惑を探っていく。十四年前、ダムの底に沈んだ村、その村で行われていた魂呼びの神事、そして大口真神の存在。さまざまな謎を追ううちに、ふたりは、思いもかけない出生の秘密にたどりつく…。
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怖い。
でも、好き。
好きなのはきっと、富安さんの言葉のおかげなんだろうなあ。
怖いだけにしない、お話のおかげなんだろうなぁ。
ふたりの子たちがどうなってしまうのか、すごくドキドキした。富安陽子さん作品だからこそ、ドキドキしながらも安心して読めたし、すごく引きこまれた。
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『天と地の方程式』が面白かったので、この作家の本と読んで見た。面白い。半日もかからずにあっと言う間に読めた。素晴らしい作品だ。使者を蘇らせる魂呼びの神事の真実。それは過去へ時間を遡る事。しかし、結局過去は変えられない……。面白かった。
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思いがけず心揺さぶられるラストだった。
津田さんの選択もそれによって得られた心の平安も想像するだけでも涙がこぼれる。
そうなんだよ、人を苦しめるのは「後悔」。過去に戻ってやり直したいと願うほどに。
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気になっていた本だけど、夏まで待ってました
ちょうどいい季節 長野や岐阜あたりのダム湖の静かな感じ
駒子さんの雰囲気がまたあってます
そう、狼関連でトラクを思いだしました
あの物語も夏に読んでたんだ
主人公の二人は、うまく再会できたかな
節子さんは、悔やんでいたことを反故にできて本当によかった…
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読み始めたところから最後まで「わくわく」して
読むことができた。
二人の特殊能力がどのように発揮していくのか、
二人を集めた老婦人は何を期待しているのか、
読み進めるたびに引き込まれる感じがした。
最後はせつない話ではあるが、果たしたいという
願いが叶い、読み終わったあとにほっとした。
Posted by ブクログ
ことばづかいが適切で、簡潔なのに奥が深い物語を紡ぐ。ストーリーテラーというのはこういうことだと思う。いつも巧みな物語で惹きつけられる富安さんなのに、子ども向けの話ということで、知る人が少ないのがもったいない!
出生に秘密をもつ双子の女の子、美月(みづき)と月明(あかり)は、ある目的のために、別荘に招待される。秘密が明らかにされるが、その裏に、かなしい物語が隠されていた・・・。もういちど、この魅力的な二人にぜひ会いたい。
Posted by ブクログ
富安さん大好きだー!
しかも表紙が酒井さん!!
雰囲気たっぷりで素敵です♪
身寄りのない少女2人が、とある屋敷へと招かれる。
彼女たちを里子にしようとしている女主人は、しかし、彼女たちと
親しくしようとするつもりはないようで・・・・。
自分たちは何のためにここに呼ばれたのか?
その理由を探る2人は、悲しい過去と、女主人の本当の目的を知る・・・・。
っといった感じのおはなしで、シノダシリーズとはまた違った魅力な一冊でした。
どっちかってゆーとミステリー風味が強いかな。
実は双子だったあかりとみずき。
2人とも夜目がきき、他人にはいえない力を持っていた。
みずきの、においの能力、については、においって・・・・。と
おもしろい能力だなーっと思ったのだけれど、狼の神様系の力だと
分かればなるほど、なっとくでした。
お調子者のにおいがポップコーンってのがなんか楽しい。
そして時の狭間をこえる力。
ちらりちらりと見え隠れする過去と、津田さんの思惑はどうからんで
くるのか、とどきどきしつつ、
贄、とかゆー言葉もでてくるから、まさか、2人を生贄に孫を生き返らそうとでも??なーんて不吉な予感が結構ぎりぎりまでしてた。
結果、本当にただの立会人だったので、ちょっと拍子抜けでしたが。
現れた神様が、意外とひとつの人格(?)でいろいろちゃんと説明してくれたのが、なんか新鮮な感じ。神様って、有無を言わさぬ存在ってイメージで、いちいち説明してくれる、なんて思ってもみなかったので。
津田さんの選択は、悲しいけれど、重い後悔を抱えていきるより、
最後に笑顔で話をしたかったんだろうなあ。
神様、かりにも自分の娘たちに、なにかひとことはないのかしら?っと
ちょっと思ったりもして・・・・。
あのとき、こうしていれば、ああしていれば、
変えたい過去はいくらもあるけど、結局どうあってもここにたどり着くような
気もする。
でも、どうしても受け入れられない哀しみってのは、あるのかもなー。
分かんないけど。
Posted by ブクログ
本当の親を知らないみづきとあかり
里子としてダムに沈んだ村を見下ろす別荘で出会った2人
沈んだ村は狼を祀る独特な風習がある村で、村や別荘、別荘主人の老婦人の謎を追ううちに自分たちのルーツに近づいていく
最後は切なくも温かい
それまではダムの底のように暗く冷たい雰囲気があったのに温かい結末は児童書ならではで、雰囲気の変化も良かった
ただあんなに繋がれた2人の冒険がなくなってしまったのは悲しいので、大口様に記憶を戻してもらいたいなあ
Posted by ブクログ
よくできた和製ファンタジー。
二人が贄にされるのかと思ったが、節子さんはそこまで腹黒い人ではなかった。それやったらホラーだもんなあ。
オオカミ信仰は関東に多く、『オオカミの護符』なんかも一時期ちょっと話題になったので、民俗学好きの富安さんならそういう本に刺激されて物語ができたのかなと思う。
(参考文献が巻末にあればよかったのに。子どもは読めなくても、オオカミ信仰は富安さんの創作ではなく実際にあるということを知るきっかけになったのでは、と。)
美月と月明のキャラクターをわかりやすく書きわけてあるので、子どもにもとても読みやすい。
しかし、二人の特性が今一つ上手く活かされていないように感じた。もしかしてシリーズ化するつもりだったのかもしれないが。
あと神様が親切すぎませんか。分かりやすいというか。神様の言葉としては。
物語はサクサク進み、面白く、ちょっと不気味で切ない、そしてオチもしっかりある、子どもにすすめやすい本だと思う。
酒井駒子の表紙も、いつもは「内容に合っているのか?単におしゃれっぽくて流行りのイラストレーターだから使っているのでは?」と疑問を持つことも多いのだが、今回はちょっとダークな内容と合っていると思う。月明が顔を隠しているのも想像が膨らんで良い。
Posted by ブクログ
名古屋が誇る児童書専門店、メルヘンハウスさんにて完全なるジャケ買い。酒井駒子さんの描く哀しげな双子らしき少女の表紙がきれいで、手に取らずにはいられなかった。
双子の少女の物語って神秘的で好きです。離れ離れにお互いを知らず、全く異なる環境で育った 美月と月明、どちらも月にまつわる名前が付けられている。そして、二人とも不思議な力を持っている。
里子に招かれた二人が不思議な別荘と、ダムの底に沈んだ村、神社、の女主の秘密を少しずつ知り、自分たちの出生の秘密に気づきいてしまう…
こういう、日本の文化が背景になったファンタジーっていいですね。中学生くらいのお嬢さんにもおすすめしたいです。
Posted by ブクログ
生き別れのふたごの少女。ふたりに秘められた力。ダムに沈んだ村と、そこにあった秘められた儀式。などなどワクワクする要素がぎゅっと詰まっています。
ひと昔前の少女まんがを思わせる展開に心を奪われました。なにせ、身寄りのない少女が、謎の富豪の養子候補として別荘に呼ばれるという、いかにも! な幕開けですし。そういう仰々しさは扱いいかんによっては寒々としたものになりますが、この作品ではまず酒井駒子による表紙絵が、その仰々しさを受け止める入り口として作品を盛り立てる役割を担っています。あとは僕がこの手の物語が好きだから、余計に楽しめたというのは大きいでしょうが。
ファンタジーを土台にホラーで味付けし、SF要素に繋がるエンターテインメントの幕の内弁当的な作品です。本を読むことが面白くなってきた頃合いにオススメしたいですね。
Posted by ブクログ
十五夜読書にて。
謎めいた幕開けから引き込まれました。
不思議な力を持つ2人の少女、湖底に沈んだ村、月読神、大口真神、魂呼び、、、と私の好みのツボを付いてくる作品でした。
民俗学的要素の絡め方も巧くて魅力的に描かれています。
QEDとか好きなので薀蓄てんこ盛りも大好物ですが、くどくならない程度に自然と物語に組み込んでくるこういう作品もとても好きです。
”お調子者=ポップコーンの匂い”とかの表現も面白い。
最後の節子さんの決断は少し哀しさが残りますが、良い幕引きだったと思います。
美月と月明のその後の物語が読みたいな。
Posted by ブクログ
2人の月を名前に持つ女の子の話。
と言いつつ、2人の女の子を引き合わせた
津田さんのお話でもあるんじゃないかと思った。
狼とか神様とかの神話の要素が入った
ファンタジーがすごく好きなので、とても面白かったです。
Posted by ブクログ
表紙からして暗かったので、少し読むのをためらいましたが、読んで正解でした。
話の展開は、割と早いです。でもそれが読んでいてちょうど良い感じでした。
物語は昔話と、神話と、ファンタジーが入り混じった感じで、明るく楽しい話ではないけれど、こういった雰囲気は好きです。
最後は物足らない気もしましたが、あとを想像させる良い終わり方でもあるように感じます。
Posted by ブクログ
みなしごだった二人の少女が、ひとりの夫人によって引き合わせられた。
「月のしるしを持った子」という奇妙な条件で里子にしたいという。
ダムの底に沈んだ村、
狼を祀る神社、
人と違う能力を持ったふたり。
彼女たちの過去にせまる。
Posted by ブクログ
はじめて富安陽子作品を読みました。読みやすいし、表紙も好みだし、楽しめた。途中ホラーっぽくなるのかと思いきやすんなりラストまでいった。他の作品も読んでみよう。
Posted by ブクログ
とても魅力的な物語だった。
表紙は酒井駒子さんの挿画で、主役の二人の少女。夜の雰囲気がある素敵なもの。
夏休みが舞台だけれど、あまり夏の印象がない。全体に満開の桜や、怪しげな夜の雰囲気が漂う。
最後まで読むと、真の主役は二人の少女を引き取った津田さんという女性だとわかる。
あかりとみづきが、自分たちがなぜダム湖に臨む別荘に連れてこられたか、津田という女性の真の目的が何なのか、探り出していく過程はミステリアスであるし、終盤の展開も納得のいくもの。
ただ、真神の娘たちという魅力的な設定がもっと突っ込んで読めると良かった。あかりとみづきの不思議な能力は、確かに自分たちの素性を探るために役立つけれど、みづきの陰のある雰囲気や、あかりのちょっとおばかな向こう見ずさがもっと読みたかった気もする。
Posted by ブクログ
生まれた時に捨てられ、養護施設で育った美月。容姿は美しいが、人より感覚が鋭く、友達をを作れず、孤立した毎日を送っている。
育て親であったおじいちゃん(寺の住職)が亡くなり、行く宛がなくなった月明。
そんな二人は、津田節子と出会う。14歳の、親のわからない、月の印のある子どもを捜していた津田。お金持ちの津田は、二人を養子候補にし、山奥の別荘へと招く。二人は、はじめて会うも、お互いの不思議な能力を知り、津田の思惑を探ってゆく。
別荘は14年前にダムの底に沈んだ村の近くに建っており、別荘の使用人たちは、その村の神事をとりおこなう役割をもっていた者達だった。美月と月明の知った最後の神事とは。そして、津田の狙いは・・・
酒井駒子の表紙の雰囲気のまんま、
これまでの冨安陽子の作品とは違い、サスペンス仕立て。
(あれ?酒井駒子のマジックにかかってるのかな?伝説に基づく物語、月明のキャラなど、冨安陽子の十八番ですね)
津田が最後に叶えた願い。
そして、
最初と最後の養護施設での会話が効いてます。
Posted by ブクログ
酒井駒子さんのイラストの力を感じた一冊。富安さんの本は色々と読んだけど、いつもとはテイストが違うような感じがしました。カバー絵のせいか深読みしすぎたのか…途中まで本当に怖かったんです。最後はほっこり終わるので良かったのですが、別荘に潜む悲しみの謎とか、ダムに沈んだ村で行われていた神事とか、背筋がゾワっとなるような怖さがありました。絵が違ったらもっと軽く読めたのかなと思う反面、でもあのカバー絵がなかったらこのお話は成りたたなかっただろうなという気もします。まるで神話を読むような、とても神秘的な雰囲気の漂うお話でした。
Posted by ブクログ
カバーの酒井さんの絵の力ってすごいなって思いました。
よく児童書のカバーを書いていますが、文章は違う人が書いているのになんだか似てる、本が持つ空気・・・
不思議な感じです(・・;)
富安さんも大好きな作家さんですが、いつもと感じが違うので驚きました(゜ロ゜;
Posted by ブクログ
児童書だけど、楽しく読めた。
ちゃんと最後まで書ききれていたので読後感はすっきりできる。
不思議な能力を持った二人の女の子が主人公のファンタジーでした。
Posted by ブクログ
読みやすく、引き込まれて、ぐんぐん読んで読み切った感じ。
別れ別れで育った双子の女の子。里子として引き取られて出会ったダムに沈んだ村の側の山荘で、過去の出来事と出会う。その村には不思議な伝承と神事があった。14年前、そこで何があったのか?
ただ、ラスト、もっとホラーがかるのかと思ったが、どこか平和でほんわかした展開となった。そこが物足りない、ということもあるだろうし、そこが良い、という人もいるかもしれない。
いずれにせよ、もっと様々な展開も予想させる設定だっただけに、少しもったいない気もする。
Posted by ブクログ
おもしろかった。
謎めいた条件の中、養子候補として見つけ出されたみづきとあかりの二人は、やがて出生の秘密や里親の事情を知ることになる…。
表紙のイメージからして、ミステリアスで静かなお話になるかと思ったけど、半分外れた。みづきは正にそんな感じの美少女だったけど、あかりは実に普通の子って感じだったので、おっと意外、と思いつつおかげで安心して読み進められた部分も大きかったような気がする。
Posted by ブクログ
あかちゃんの時に捨てられ、それぞれ養護施設とお寺で育てられた美月と月明は、14年前に捨てられ月に関する印(名前)を持つ女の子という条件で里親を希望する女性の山の家に行くことになる。初めて出会った二人は、互いの中に惹かれあうものを感じ取る。
ダムに沈む村にまつわる言い伝えを元に、過去と現在を行きつ戻りつ、二人が呼び寄せられた真相に迫る。
ミステリアスなファンタジー。
Posted by ブクログ
月に秘められた秘密と愛。
筋はなんとなく読めるけれど、それでもステキ。津田さんの選択がいい。みづきとあかりの能力というか、交流、成長がちょっと中途半端だったけど、だからといって、これをシリーズ化してほしいというのではなく。でも、一冊で収めるにはちょっと詰め込みすぎたのではないかな。RDGくらいの長さにしてもよかったと思う。
Posted by ブクログ
児童文芸賞受賞作家富安陽子さんの近頃の作品。
導入のあたりは、孤児の引き取り話とか、捨てられていた子供が、育ての親がなくなってしまってとか、昔読んだ、小公女とか小公子とかの雰囲気。
ちょっとわくわくしながら読みました。
中盤から、不思議話、そして、よみがえり話、神がかりの話と展開していきます。
終盤、無理があるかなあ。でも、まあ、こんなものかなあ。
終章は、まあ、こんなもんでしょう。
児童向けであることを考えれば、文字数もこんなあたりで抑えることもあり、描ききれないところも許すか?
でも、この本を読んで子供たちが満足するのでしょうか?
正直、もう一息、よく練りこんでほしいと思いました。
Posted by ブクログ
月と奇妙な手がかりと共に、里子候補として連れてこられた2人。
そして差し出された驚くべき現実と
藁にもすがりたいと実行された願い。
親の事が出てきて、その人間にはありえない身体能力に
納得でした。
片方はともかく、もう片方は次元の問題ですし。
しかしこれ、その『時点』に戻った時、行かなかった人達は
パラレル、としてそこから未来を歩むのでしょうか?
それとも世の中の全員が、そこまで戻ってしまうのでしょうか?
そんな細かい事を気にしてはいけない、という説もありますが。
何かを願う時、一時の感情に任せてしまうと
とりかえしのつかない事になる、という教訓。
しかし…あの人が選んだ未来は、それはそれで
幸せなものかと思われます。