【感想・ネタバレ】こんなにも面白い万葉集のレビュー

あらすじ

一度『万葉集』を読んでみたいと思いいざ手にとってみても、冒頭の「籠もよ み籠持ち 堀串もよ……」で挫折してしまう。そこで本書では、現代人の心にも響く歌を抜粋し、歌の前にその現代語訳を掲載。意味がわかってから読むから、和歌の魅力が理解しやすくなるのだ。カルチャースクールでの物語性あふれる語り口が評判の著者が、「宮仕えをさぼって怒られた人の歌」「妻が浮気しないかと心配する防人(さきもり)の歌」「優秀さが仇になり、刑死した大津皇子の歌」などを紹介。 ■本書で紹介している和歌の例 外交の窓口の大宰府の在る筑紫や港町の難波には、匂うような美女が大勢いた。それに魅惑される男は少なくないが、こちらの男は故郷の妻を忘れることができなかった。「難波の人が葦の火を焚く家のように、煤(すす)けているけれども、わが妻こそはいつも可愛いんだよなあ」。難波人 葦火焚く屋の煤してあれど 己が妻こそ常愛づらしき(巻11・2651)

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Posted by ブクログ

万葉集、読んだことがなかったので、この本なら読みやすいかと思って手に取った。
貴族の雅やかな歌ばかりではなく、東国の田舎の無名な人の歌も多い。宮仕えの窮屈さや不倫、貧しさ、老い。万葉の名に恥じぬ色んな和歌が載っている。
訳文を本文の前に記載するあたり、作者の自己顕示欲を感じる。歌の作者がわかる限りで良いので署名して欲しかった。
咳を「しわぶき」というのは万葉集のころから使われているのか。そりゃ古い言葉だわ。
古女房が色黒で煤けた顔なのは、葦を年中焚いている家の中で、料理、機織りなどで家に籠りがちだから。花嫁が真っ白な衣装と化粧をするのと対称的だなと思う。

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2021年05月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 古墳時代を過ぎたら、飛鳥京、藤原京、平城京、長岡京、平安京と、都は北へ北へと移動した。古墳時代の中頃から平城京にかけての約300年の間に詠まれた歌が「万葉集」。全20巻で、歌数は4516首、内、作者不明が約2100首。大伴旅人は、元号「令和」ですっかり有名人に。万葉集には、酒席、宮仕え、政争、弱者、防人、男女間、老境などの歌が。当時、21歳から60歳の男子には徴兵の義務が。兵役年限は3年。ただ、防人は往復があり、故郷を離れる期間は4.5~5年で、悲惨。当時、庶民の逃亡2大理由は、重税と徴兵。

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2023年09月29日

Posted by ブクログ

内容は興味深いものの、ぐいぐい読み進められず、読み終わるまでに返却期間がきてしまった…(借りた本だったので)。置いといてたまにふと読み進めるのによさそう

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2022年06月13日

Posted by ブクログ

読むのにはハードルの高かった万葉集ですが、この本で万葉集の歌の詠み手たちをかなり身近に感じました。歌の背景にある彼らの悲喜こもごもは時代は違えど、普遍的なものだったのだな、と思います。

本の中で紹介される歌は、男女関係や防人に関するもの、酒の席の歌や仕事に関するものなど、それぞれのテーマごとに紹介されています。

呑兵衛が歌った短歌も、男女の営みを露骨ににおわせる短歌も、古語になり、5・7・5・7・7のリズムに乗るとあら不思議。高尚で雅なものに見えてくる。そのギャップが面白いし、改めて古の日本語の美しさ、短歌のリズムの素晴らしさみたいなものも感じます。

不謹慎だったり、人間臭い歌も面白いけど、恋の歌だったり、防人の任務のため引き裂かれる夫妻や親子を読んだ歌は、逆に古語の美しさ、短歌のリズムが作用してより悲哀をもって伝わってくるような気もします。そうした短歌の背景にある様々なドラマに思いめぐらすことができたのが良かったです。

最も印象的な歌は
庭に立つ麻手刈り干し布さらす 東女を忘れたまふな
というもの。
田舎に住む女性が都に帰る男に宛てた歌で、背の高い麻束を抱える姿が男女の抱擁と似ていることから、その姿を歌に入れることで男を思っていることを伝えたもの。挿絵もついていたのですが、それを見ていると、確かに男女の抱擁のようで、女性の切ない思いがより伝わってきます。

小説以外の文学になかなか触れることができないのですが、短歌や俳句がなぜ人の心の琴線に触れるのか、なんとなく感じられた一冊でした。

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2022年01月16日

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