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一度『万葉集』を読んでみたいと思いいざ手にとってみても、冒頭の「籠もよ み籠持ち 堀串もよ……」で挫折してしまう。そこで本書では、現代人の心にも響く歌を抜粋し、歌の前にその現代語訳を掲載。意味がわかってから読むから、和歌の魅力が理解しやすくなるのだ。カルチャースクールでの物語性あふれる語り口が評判の著者が、「宮仕えをさぼって怒られた人の歌」「妻が浮気しないかと心配する防人(さきもり)の歌」「優秀さが仇になり、刑死した大津皇子の歌」などを紹介。 ■本書で紹介している和歌の例 外交の窓口の大宰府の在る筑紫や港町の難波には、匂うような美女が大勢いた。それに魅惑される男は少なくないが、こちらの男は故郷の妻を忘れることができなかった。「難波の人が葦の火を焚く家のように、煤(すす)けているけれども、わが妻こそはいつも可愛いんだよなあ」。難波人 葦火焚く屋の煤してあれど 己が妻こそ常愛づらしき(巻11・2651)
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Posted by ブクログ
なんでこんなに評価が低いのかわからない。
入門書としてしまうと分かりにくいかもしれないが時代に沿って話が進んでいくし、大伴家持の説明は楽しかった。
このシーンが面白かった↓
聖武の天平年間はまだよかった。大宰府にいた小野老が、あをによし奈良の都は咲く花の薫ふがごとく今盛りなりと讃え、旅人が酒を浴びるほど飲み、人々を集めて盛んに飲み会を開いていたのも天平年間のこと。旅人の時代は太平な天平、その後に訪れた天平勝宝年代は禁酒令に集会禁止令の暗黒時代。治安維持法の施行された昭和の暗黒時代の前の大正ロマンが天平時代だ。
大伴旅人が大宰府で「酒壺になりたや」などと歌っていた頃の、中央政府のトップは舎人親王だ。「日本書紀」編集者としても知られている。そのお方が宴席で、「意味の通じない歌を作った者には、褒美として銭や繝布を取らせるぞ」と仰せられた。
安倍子祖父(あべのこおおじ)は賞金稼ぎに、
わが背子が犢鼻にする円石の 吉野の山に氷魚そ下がれる
犢鼻というのはフンドシを締めた形が犢の花の形に似ていることから付けられた造語。意味不明な歌で36万獲得。
私は言いたい、「この歌、意味不通ではねえよ。フンドシの下には丸い山のようなものが二つあるでねえか。その間からブラリと魚のようなものが一本下がっているでねえかよ」と。
Posted by ブクログ
万葉集、読んだことがなかったので、この本なら読みやすいかと思って手に取った。
貴族の雅やかな歌ばかりではなく、東国の田舎の無名な人の歌も多い。宮仕えの窮屈さや不倫、貧しさ、老い。万葉の名に恥じぬ色んな和歌が載っている。
訳文を本文の前に記載するあたり、作者の自己顕示欲を感じる。歌の作者がわかる限りで良いので署名して欲しかった。
咳を「しわぶき」というのは万葉集のころから使われているのか。そりゃ古い言葉だわ。
古女房が色黒で煤けた顔なのは、葦を年中焚いている家の中で、料理、機織りなどで家に籠りがちだから。花嫁が真っ白な衣装と化粧をするのと対称的だなと思う。
Posted by ブクログ
読むのにはハードルの高かった万葉集ですが、この本で万葉集の歌の詠み手たちをかなり身近に感じました。歌の背景にある彼らの悲喜こもごもは時代は違えど、普遍的なものだったのだな、と思います。
本の中で紹介される歌は、男女関係や防人に関するもの、酒の席の歌や仕事に関するものなど、それぞれのテーマごとに紹介されています。
呑兵衛が歌った短歌も、男女の営みを露骨ににおわせる短歌も、古語になり、5・7・5・7・7のリズムに乗るとあら不思議。高尚で雅なものに見えてくる。そのギャップが面白いし、改めて古の日本語の美しさ、短歌のリズムの素晴らしさみたいなものも感じます。
不謹慎だったり、人間臭い歌も面白いけど、恋の歌だったり、防人の任務のため引き裂かれる夫妻や親子を読んだ歌は、逆に古語の美しさ、短歌のリズムが作用してより悲哀をもって伝わってくるような気もします。そうした短歌の背景にある様々なドラマに思いめぐらすことができたのが良かったです。
最も印象的な歌は
庭に立つ麻手刈り干し布さらす 東女を忘れたまふな
というもの。
田舎に住む女性が都に帰る男に宛てた歌で、背の高い麻束を抱える姿が男女の抱擁と似ていることから、その姿を歌に入れることで男を思っていることを伝えたもの。挿絵もついていたのですが、それを見ていると、確かに男女の抱擁のようで、女性の切ない思いがより伝わってきます。
小説以外の文学になかなか触れることができないのですが、短歌や俳句がなぜ人の心の琴線に触れるのか、なんとなく感じられた一冊でした。
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