あらすじ
「どんなことをしても勝ちゃいいのさ」と、うそぶく男は、その名も土方歳三。茨のような鋭い棘を持った悪童、さわると棘で怪我をする危ないヤツ、だからバラガキ、と呼ばれている。攘夷が叫ばれる江戸を舞台に喧嘩三昧、そして京の街でもひと旗あげようと勢い込む。ナカバ的解釈の痛快新選組・青春グラフィティ。江戸で大暴れの新選組、京でもひと旗あげてやる!
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Posted by ブクログ
これは・・・・・!!
立てノリ、ハイスピード!なんてロックな新選組!!
なめんな、ふざけやがって・・・・・・・!!
やってくれますね。
土方歳三、いろんな料理方法がございます。
強烈で魅力的なキャラが彼にはすでにあるがゆえに。
五十嵐貴之氏の『相棒』然り、こういう新しい切り口、好きです。
うわあ、こう来ますかあーーーーって言う驚きがね。
試衛館で喧嘩売ってる頃(!)~池田屋へ向かう途中まで(!!)が描かれています。
そう、新選組がこれから歴史の大舞台へ躍り出る、その直前で物語は終わります。
この話がバラガキの話だから。
ゆえにこのラスト!!
終始“笑”を散りばめて、
次はいつ笑わせてくれんだあ?という気分で読んでいると、
最後ちょっとかっこよくてヤラレタ。
そしてこれから先の新選組の、土方歳三の運命を思うと・・・・・・。
何でだ、切ない。トリハダ(iДi)
ここまで“笑”で読んでただけに。
読み終えた時のこの気持ち、これを狙っての、このノリ・このぶつ切りラストですね!?
いやあ、まいった!
●ここではこんな土方さん
―――「てめえら、オレにケンカ売ってんのか!かかってきやがれ!」
ぺッ!とツバを刀の柄にかけた歳三は、草履をぬぎすて、それを道のはしにきれいにそろえて置くと、あらためて二人のほうをむいて刀を抜いた。
「オレ、ああいうところがあまり好きじゃないんだよな」
沖田がきれいに並んだ草履を見ながら言った。
↑画がうかぶ(笑)
―――「今日だって三十石船に乗っただろう。その時おまえは子供のようにさわいでいた」
「さわいでなんかいませんよ。さいわいでいたのは土方先生のほうでしょ」
「オレがいつさわいだよ。ちょっと水をかけたぐらいで泣き出したのはてめぇじゃねぇか」
「泣いてません!」
↑土方先生・・・はしゃいで水かけちゃってるよ・・・・・(笑)
―――まあ見てろ、と歳三は隊士たちの前に立った。
「いくぜ!いっちょ男をあげようじねぇか」
「おう!!」
「今だよ、近藤さん、いつまでも冷や飯食って、人の中古の大砲をもらってちゃいけねぇ」
それに・・・・・・。歳三が不敵に笑った。
「ケンカは数じゃねえんだよ」ギラリと刀をひきぬいている。
「トシにかかると、なんでもケンカだな。よし行こうか。目立ってやろうじゃねえか」
「おう。いくぜヤロウども!」
↑池田屋に向かうところね。このテンションでね。
芹沢暗殺とか、拷問とかもこのテンション(笑)
はい!読み手もこのままテンション保って一気にラストまでどうぞ~。
・・・・・・いやあ、まいった!
Posted by ブクログ
まず表紙に驚き。
確か最後までやらず、新選組結成ぐらいまでだったような・・・
子供時代を細かくとりあげてた。
あとなんかヤクザの世界のようだった。沖田が妙に怖かった。みんな普通に人を殺してた。でもおもしろくて、とても読みやすい本だった。江戸時代の怖さというかリアルさと感じた。土方かしこい!池田屋の前で隊士が脱走するのを探索といっていたけど本当かな?
Posted by ブクログ
なんとも人前で読みにくい表紙です。
このあいだ読んだ『歳三 往きてまた』が、敗走に次ぐ敗走の中でも武士であろうと足掻く、勝負を諦めないために負け続けてもなお生きることを諦めなかった土方歳三の話でしたが、これは試衛館で武士を夢見ていた頃から池田屋に突入するまでの話。
『歳三 往きてまた』は胸が痛くて読むのがしんどかったけれど、これは逆に愉快であるからこそ哀しくて辛かった。
この先もう、新選組の本は読めないのではないだろうか。
何を読んでも辛くてしんどい。
どちらの作品も、殺伐とした新選組の中で沖田の明るさが土方の心を救っていて、沖田の人気の一端がわかったような気がした。
しかし、陰謀と血にまみれた状況であそこまで明るくいられるのは、それはそれでちと怖いけど。
江戸を立つ直前のできごとにより土方の命を執拗に狙っていた男と、池田屋に向かう前に最後に対峙する。
もちろん土方がやられることはないのだが。
”首の骨が折れたのだろう。男が軟らかくなった。
「じゃあな」
歳三はバラガキに別れを告げた。刀を腰に差し込み、池田屋へと走った。
ふり返ることはなかった。”
もし、彼らが生きて明治を迎えることができたら、この時代を懐かしく思ったことだろう。
”彼らがのちに――もしかしたら死んでから懐かしく思い出すはずの”あの頃”だけを、物語にした。それが中場さんの優しさなのだと思う。”
重松清の解説にまで泣ける。
年のせいか、ハッピーエンドじゃないとしんどくなってきたなあ。